ノボタンとは? わかりやすく解説

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の‐ぼたん【野×牡丹】

読み方:のぼたん

ノボタン科常緑低木暖地自生し、高さ約2メートル全体に毛があり、卵形で、縦に走る葉脈目立ち対生する。夏、淡紫色の5弁花を開く。実はザクロのように裂開し食べられる沖縄中国南部などに分布温室栽培もされる。《 夏》「—の一と日の命けさあえか/風生

野牡丹の画像

野牡丹

読み方:ノボタン(nobotan)

ノボタン科常緑低木園芸植物

学名 Melastoma candidum


野牡丹

読み方:ノボタン(nobotan)

ノボタン科常緑低木。夏、大きな紫色の五弁の花が咲く

季節

分類 植物


ノボタン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/13 10:25 UTC 版)

ノボタン
ノボタンの花
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : アオイ類 malvids
真正バラ類II eurosids II
: フトモモ目 Myrtales
: ノボタン科 Melastomataceae
: ノボタン属 Melastoma
: ノボタン M. candidum
学名
Melastoma candidum D.Don
ノボタンの果実
ノボタンの生育状況(沖縄県国頭郡国頭村)
ノボタンの花(花弁6枚)
ノボタンの花(花弁7枚)

ノボタン(野牡丹、学名:Melastoma candidum[1])はノボタン科ノボタン属の常緑低木

方言名ハンコーギー、ハンケータブ[2][3][4][5]

特徴

高さ0.5-2 m。やや4稜形の枝や葉柄に伏した剛毛が多数あり、細長い鱗片もみられる。葉は単葉、全縁で対生し、長さ6-12 cm。葉裏は3〜5行脈が太く目立つ。葉の両面に伏した剛毛が密生しざらつく。

花は桃〜紅紫色で稀に白色(品種シロバナノボタンMelastoma candidum f. albiflorum[6])、通常5弁、ノボタン科自生種中最大の直径6–8 cmで、頂生の単生または集散花序を形成する。花は放射相称だが雌雄蕊はやや左右相称。雄蕊は花弁の倍数個あり、半数ずつ長短2型に分かれる。花期は春〜夏で、梅雨の頃に林縁や傾斜面で開花株を多く見かける。

果実は可食で直径1–1.5 cmの洋ナシ型の液果、冬に熟し、成熟すると不規則に裂ける。果実を食べると口(stoma)の中が黒く(mela)染まることが属名Melastomaの由来とされる。

よく似たハシカンボクBredia hirsutaは花弁4枚、葉縁が鋸歯縁で毛が開出する点で異なる。また、園芸業界で「ノボタン」とされるものは、花色が紫の中南米原産のビロードノボタン(アツバノボタン)、シコンノボタンや栽培品種コート・ダジュールであることが多い[7][2][3][4][5]

分布と生育環境

屋久島、奄美群島〜先島諸島にやや普通にみられる。南硫黄島の雲霧林地帯にも記録がある。19世紀中頃には観賞用として日本本土へ導入された。国外では台湾、中国南部、インドシナ半島、フィリピンに産する。山地〜低地の林縁や乾いた草地に生育する。沖縄本島では北部地域の原野や斜面などの酸性土壌地に自生がみられる[7][2][3][4][5]

利用

公園・庭園、鉢物用。低木状で大きく咲く花が見所。日当たりが良く排水良好な酸性土壌を好む。アルカリ性土壌でも植栽可能だが微量要素欠乏症が現れやすい。徒長しやすいので花後に新芽を切り詰め、枝数を増やすと花数が多くなる。病虫害はほぼ無いが、まれにカイガラムシが発生することがある。挿し木や実生で繁殖可能[7]

近縁種

奄美〜琉球諸島のノボタンの他に、小笠原諸島北硫黄島にノボタンの変種イオウノボタン M. candidum var. alessandrense[8](桃色5弁、絶滅危惧II類 (VU)[9])、父島にムニンノボタン M. tetramerum var. tetramerum[10](白色4弁、絶滅危惧IA (CR)[11])、母島にムニンノボタンの変種ハハジマノボタン M. tetramerum var. pentapetalum[12](淡桃色5弁、絶滅危惧IB (EN)[13])が知られる[2][14][4]。 また、園芸用としては前述のビロードノボタンなどの他に、ヤドリノボタン属Medinillaのサンゴノボタン(Medinilla speciosa、マレーシア原産)やオオバヤドリノボタン(フィリピン原産)などが市販される。ヤドリノボタン属の2種は個々の花が小さいものの、花序と葉が大きく鑑賞価値が高く、植物園の温室でもよく栽培される[15][16]

脚注

  1. ^ (米倉 & 梶田 2003)
  2. ^ a b c d (岩槻 1997, p. 195–197)
  3. ^ a b c (大川 & 林 2016, p. 240)
  4. ^ a b c d (大橋 2021, p. 94)
  5. ^ a b c (林 & 名嘉 2022, p. 257)
  6. ^ シロバナノボタン”. YList. 2024年7月1日閲覧。
  7. ^ a b c (海洋博覧会記念公園管理財団 1997, p. 31)
  8. ^ イオウノボタン”. YList. 2024年7月1日閲覧。
  9. ^ (環境省 2020, p. 93)
  10. ^ ムニンノボタン”. YList. 2024年7月1日閲覧。
  11. ^ (環境省 2020, p. 70)
  12. ^ ハハジマノボタン”. YList. 2024年7月1日閲覧。
  13. ^ (環境省 2020, p. 81)
  14. ^ (下園 1997, p. 198)
  15. ^ (鈴木 1997, p. 194–195)
  16. ^ (林 & 名嘉 2022, p. 256)

参考文献

  • 米倉浩司; 梶田忠 (2003年). “ノボタン Melastoma candidum D.Don”. BG Plants 和名-学名インデックス (YList). 2024年6月30日閲覧。
  • 林将之; 名嘉初美『沖縄の身近な植物図鑑』ボーダーインク、2022年。ISBN 9784899824350 
  • 大川智史; 林将之『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版、東京都新宿区、2016年。 ISBN 9784829984024 
  • 岩槻邦男「ノボタン」『朝日百科 植物の世界』 4巻、朝日新聞社、東京、1997年、195–197頁。 ISBN 9784023800106 
  • 鈴木康夫「ヤドリノボタン属 メディニラ・スペキオサ」『朝日百科 植物の世界』 4巻、朝日新聞社、東京、1997年、194–195頁。 ISBN 9784023800106 
  • 下園文雄「危機を脱したムニンノボタン」『朝日百科 植物の世界』 4巻、朝日新聞社、東京、1997年、198頁。 ISBN 9784023800106 
  • 大橋広好 著「ノボタン」、大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司 編『フィールド版改訂新版 日本の野生植物』 2巻、平凡社、2021年、94頁。 ISBN 9784582535396 
  • 海洋博覧会記念公園管理財団『沖縄の都市緑化植物図鑑』新星出版、那覇市、1997年。 ISBN 9784902193732  
  • 環境省 (2020年). “環境省レッドリスト2020”. 環境省レッドリスト2020の公表について. 2024年6月30日閲覧。

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