予想と研究とは? わかりやすく解説

予想と研究

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 09:59 UTC 版)

南海トラフ巨大地震」の記事における「予想と研究」の解説

1900年代初め東京帝国大学教授であった今村明恒過去歴史記録にある、仁和地震宝永地震など五畿七道大地震何れも津波伴い南海道沖を震源域とする巨大地震考え歴史的に繰り返されてきたことを論じている。更に、今村1928年南海地動研究所(現・東京大学地震研究所和歌山地震観測所)を私費設立した沢村武雄(1951)は、昭和南海地震発生後行われた水路部による測量結果から、四国南部の野根・安田・下田・月灘を結ぶ線を境とする南東上り傾動明らかになり、歴史地震知られている室戸岬隆起および高知平野沈降を伴う地殻変動とほぼ一致しているとした。また、白鳳から昭和に至る共通の性質有する歴代南海道地震震源が、潮岬沖から足摺岬沖へかけて続く大規模な傾斜断層線上に並ぶことから、この衝上断層を「南海スラスト」と名付けたその後1960年代プレートテクトニクス発展し金森博雄(1972)は昭和東南海・南海地震震源断層モデル求め、これらの地震南海トラフプレート境界起こっていることを明らかにした。 2003年時点の「東南海、南海地震等に関する専門調査会」による検討では、今後発生予測される南海トラフ地震のうち最大のものはマグニチュード8.7、破壊領域長さ600km程度の3連動である東海・東南海・南海地震とされていた。しかし、2011年東北地方太平洋沖地震発生後、この想定見直されることとなった。この3つの地震一挙に起きた場合、また安政地震のように短い間隔起きた場合は、太平洋ベルト全域地震動による被害が及び、地域相互救援支援実質不可となると見られており、早急に地方自治体連動型地震視野入れた災害対策講じる必要があるとされている。2010年防災の日には初め3地震連動発生想定した訓練実施されている。 津波は、東海地震東南海地震南海地震3つの地震生じた場合、または数分 - 数十分の時間差置いて連動発生した場合、波の高さが重なり合って土佐湾西部東海沿岸いくつかの狭い範囲で10m近い高さに達すことがあるシミュレーションされている。とくに浜岡原発にも近い御前崎付近では同時発生時に比べて海上波高が2倍以上となり11mに達すことがあるという。また、この連動型地震はさらに数百年に1回震源域日向灘まで伸びて津波九州佐伯市押し寄せていた可能性指摘されている(4連動型日向灘地震については日向灘地震参照)。1707年宝永地震がそれに当たり、再び起きた場合津波高想定は、九州太平洋沿岸従来予想2m付近から最大8m級に、四国南端部の土佐清水市従来6m級から10m以上になる可能性がある。加えて瀬戸内海まで津波入り込む恐れもあるという。 さらに1605年慶長地震引き起こした考えられた、通常の3連動地震震源域より沖合い南海トラフにかなり近い領域プレート境界のうち浅い部分)においても、これらの連動型地震連動してほぼ同時に地震発生することで、M9クラス超巨大地震になる可能性指摘されている。このような広域連動型地震発生した場合津波の高さも3連動である東海・東南海・南海地震従来宝永地震タイプとされていた)の1.5倍から2倍になる可能性があるという。ただし、慶長地震南海トラフ震源でないとする見解もあり、また、日本海溝異なり南海トラフは陸側と海溝側の二重の震源域セグメントとなる証拠はないとされる大分県佐伯市の間越龍神池では3300年前までの地層中に8津波堆積物発見されており、特に大規模な地震のみが津波堆積物残した考えられる有史以来ではこのうち3枚であり、新しいものから1707年宝永地震1361年正平地震684年白鳳地震対応する推定されている。また、高知県土佐市ヶ池で見つかった津波堆積物から、宝永地震時の砂厚さ上の粗粒な砂を運ぶ津波が約2000年前発生していたと推定されており、M9クラス超巨大地震による可能性指摘されている。さらに、年代不明であるが愛知県知多半島南部の礫ヶ浦礫岩層に見られる巨礫移動させた津波痕跡から数値復元した結果、M9クラス超巨大地震発生した可能性推定されている。 この他南海トラフから琉球海溝まで全長1,000kmにも及ぶ断層連動して破壊されることで、非常に細長い領域におけるM9クラス連動型地震、あるいはM9クラス二つ超巨大地震連動して発生する可能性近年では指摘されている。この場合震源域全長2004年スマトラ島沖地震匹敵するもので、過去には平均1700年間隔発生してたとする説もある。これは御前崎静岡県)、室戸岬高知県)、喜界島鹿児島県)の3カ所の海岸残されていた、通常の南海トラフ連動型地震による隆起予測比べて明らかに大きな隆起地形から推定されている。一方でこの大きな隆起痕跡の発見者らはプレート境界巨大地震ではなく分岐断層あるいは海底活断層による内陸地殻内地震と分類される活動よるものとしている。 文部科学省委託受けて東京大学東北大学名古屋大学京都大学海洋研究開発機構が「東海・東南海・南海地震連動性評価研究プロジェクト」を2008年度から2012年度まで実施中で、2012年2月には想定震源域直接設置する海底地震計圧力計(津波計)の観測機器電力供給し観測データ送信するための地上局立地場所決定された。 2012年1月東京大学海洋開発研究機構研究グループは、紀伊半島沖の東南海と南海震源域にまたがる長さ200km以上、高さ500m-1kmの分岐断層発見した発表した。これは東南海・南海の過去連動証拠だとされている。また、地震の際に津波増幅させるもので、同時に活動した場合大きな津波発生する可能性があるとされている。

※この「予想と研究」の解説は、「南海トラフ巨大地震」の解説の一部です。
「予想と研究」を含む「南海トラフ巨大地震」の記事については、「南海トラフ巨大地震」の概要を参照ください。

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