予想と事実
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/20 19:04 UTC 版)
予想は、問題・対象の性質を理解することで成り立つのであるから、その問題に関係あるさまざまな事実をもとにして、その問題の性質を調べなくてはならない。このことは多くの場合、無意識的であるにしろ、誰がどんな予想を立てるときでも行っている認識活動である。 私たちが予想を誤るのは、無意識のうちに対象に持っていた先入観が誤りだった場合や、問題や対象自体の表向きの現象と本質が異なる場合である。たとえば、私たちには太陽が毎日地球の周りを一周しているように見えるが、それをそのまま「事実」とするならそれは誤りである。これは歴史上長くみられた誤りであるが、それは何も錯覚によるものではなく、私たちが地球上で生活して太陽を観察している事実によるのであって、対象と自分の両方に誤りに陥る要素があるのである。 私たちは世界や日本社会の断片的事実を目で見たり人から聞いたりして知ることはできるが、社会全体の仕組みやその本質を直接見ることはできない。1つ1つの事実は直ちにそれが社会ではないからである。天文学者が知る事実は地球から見た一面的な情報なのであって、それがそのまま宇宙の構造を見せているわけではない。原子の存在も直接をそれを見て知ったわけではない。 私たちが、直接認識不可能な「社会全体」、「宇宙の構造」、「原子の存在」などを認識するようになったのは、予想を立てて調べていくことによって初めて明らかになったのである。 「仮説実験的認識論」も参照
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