中東諸国以外での普及
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 00:29 UTC 版)
バルカン半島 オスマン帝国の支配下にあったバルカン半島では、チェヴァプチチ、チェヴァピ、ケバプチェなどと呼ばれる小型のハンバーグ状のケバブが伝統料理として定着している。 ヨーロッパのその他の地 ヨーロッパのその他の地域では、ドイツにトルコ系の移民が持ち込んだドネルケバブが一般的で、ドネルケバブがファーストフードの定番となるほど広まっている。ドイツはトルコ移民が多くケバブ・ケバブピザ・ドネルケバブをレストランやファーストフード、屋台といった様々な形態で販売しており、味も悪くなく値段も抑えられており人気がある。これはマクドナルドやバーガーキングのような外資産業のようなロイヤリティや最低賃金の歯止め規定が、ケバブ売りにはまったく存在しないためである。 フランス フランスでは、ドネルケバブにはフライドポテトがつきもので、チュニジア発祥の唐辛子ソースハリッサをかけて食べる。価格はだいたい5ユーロ前後である。 パキスタン パキスタン西部のパターン人の多い地域では、串に巻かず平べったく捏ねてフライパンで焼くチャプリ・カバーブが食されている。チャプリ・カバーブは「サンダルのカバブ」という意味のウルドゥー語「チャッパル・キー・カバブ」が変化したもので、平べったい様がサンダルを連想させることから名づけられたと推測される。 ロシア ロシアでは、1870年にモスクワで初めてシシュ・ケバブ風の「シャシュリク」を売り物にするレストランが開店した。初期のシャシュリクは主にカフカース地方風のケバブで、後には中央アジア風のケバブもシャシュリクとして知られるようになり、ソ連時代に全域に広がった。タマネギやハーブなどとともに酢・ワインなどに長時間漬け込んで下味をつけ、串に刺して焼く人気料理である。なお、ドネルケバブは料理書などでは「シャシュリク・ポ・カルスキー」( shashlyk po-Karski 、カルス風シャシュリク)としても知られているが、路上で一般的に呼ばれているものはモスクワではシャウルマー、サンクトペテルブルクではシャヴェールマと呼ばれている。しかし「モスクワでこの料理に対して『ドネルケバブ』や『薄いパンに挟んだ肉』という名称を使い始める店が増加している」、「サンクトペテルブルクでシャウルマーという名称を使う店が増加している」、「上記2都市以外では別の名称を使用している場合がある」、と呼称には地域と時代によりゆれがある。なお、ロシア語には「国土の広さの割りには都市・地方ごとの方言的なゆれは比較的少ない」という特徴があるが、シャウルマーとシャヴェールマは「鶏肉」「縁石」などと並び、あまり多くない「モスクワとサンクトペテルブルクの二都市の間で呼称が異なる名詞」の代表例の一つである。 中国 中国では中規模以上の都市には、清真料理店としてウイグル料理店や新疆料理店があることが多く、それらの店の店頭や露店でジク・カワープ(烤羊肉串、kǎo yángròuchuànr)を焼いて供する姿は全国各地で見ることができる。 アメリカ アメリカ合衆国では、カバブ(しばしば"kabob"と表記)というとむしろ串焼き料理であると認識されている。アメリカではビーフ・カバブ、チキン・カバブのほかにベジタブル・カバブと呼ばれるようなものまであり、ピーマン、タマネギ、ズッキーニ、豆腐やマッシュルームなどが主に使われる。肉のカバブでも、肉と野菜を交互に刺すことも多い。英語でケバブというと普通シシュ・ケバブまたはドネルケバブを指す。ドネルケバブはギリシア料理のイロとして最も良く知られており、名称の知名度ではシャワールマとドネルケバブがこれに続く。 カナダ カナダでは、1970年代始めごろ、ドネルケバブにエバミルク、砂糖、酢などを材料とした甘酸っぱいソースをかけ、刻んだトマトと玉葱と一緒にピタのような平焼きパンで巻いた「ドネア (donair) 」がノバスコシア州ハリファックスに現れて以来、全国に普及した。現在「ドネア」はグレコ・ピッツァ・レストラン (Greco Pizza Restaurant) をはじめとするピザチェーンの人気メニューとなっている他、パン、ソースと肉をセットにした「ドネアセット」が市販されている。 ブラジル ブラジルでも第一次大戦前後にシリアなどから移住したトルコ人が持ち込んだものが普及している。やはりコッペパン状の長めのパンに切れ目を入れてモーリョ (Molho) と呼ばれる細かく切った野菜サラダと共に肉を挟み、オレンジジュースとともに供する。 ハンガリー ハンガリーは14世紀にトルコに支配されていた関係もあり、在住トルコ人によるドネルケバブの店が多い。特に「イスタンブール・ケバブ」と「スター・ケバブ」というチェーン店が有名である。ハンガリー語では"gyros"(ギロシュ)と呼ばれている。パンに挟むのではなく、シリアやレバノンのシェワルマのようにラップされて食される。
※この「中東諸国以外での普及」の解説は、「ケバブ」の解説の一部です。
「中東諸国以外での普及」を含む「ケバブ」の記事については、「ケバブ」の概要を参照ください。
- 中東諸国以外での普及のページへのリンク