ヴァンガード_(戦艦)とは? わかりやすく解説

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ヴァンガード (戦艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/11 23:28 UTC 版)

ヴァンガード (HMS Vanguard, 23) は、イギリス海軍新標準艦隊で建造した戦艦。イギリス海軍が保有した最後の超弩級戦艦で、同型艦はない[1]。建造を急ぐために、15インチ主砲カレイジャス級巡洋戦艦から撤去したものを、機関部はライオン級戦艦に搭載予定のものを流用した[2]デンマーク海峡海戦で撃沈された巡洋戦艦フッド (HMS Hood) の代艦という側面もあったが、完成は第二次世界大戦終結後となった[3]ヴァンガードはイギリス海軍の伝統的な艦名であり、甲鉄艦 (Ironclad warship) としては3代目である[注釈 1]


注釈

  1. ^ 甲鉄艦(装甲艦)初代はオーディシャス級甲鉄艦ヴァンガードイギリス海軍が保有した装甲艦一覧)、甲鉄艦2代目はセント・ヴィンセント級戦艦ヴァンガードで、1917年7月9日にスカパ・フローで爆沈し、日本海軍駐在武官江渡恭助海軍少佐も戦死した[4]
  2. ^ フランス海軍はポケット戦艦対策としてダンケルク級戦艦を建造[12]、ドイツ海軍はダンケルク級に対抗してシャルンホルスト級戦艦を建造[13]、イタリア海軍は弩級戦艦コンテ・ディ・カブール級[14]カイオ・ドゥイリオ級[15])を高速戦艦に大改造すると共にリットリオ級戦艦を建造[16]、フランス海軍は負けじとリシュリュー級戦艦を建造した[17]。アメリカ海軍は欧州の新型戦艦の動向のにらみつつノースカロライナ級戦艦を計画した[18]
  3. ^ 文献では「巡洋戦艦 (Battlecruiser) 」とされており、同艦がダンケルク級戦艦シャルンホルスト級戦艦超甲巡等、列強で流行していた中型戦艦群に対抗する存在でもあることを示唆している。
  4. ^ ライオン級戦艦ならば、ドイツ海軍のビスマルク級や拡大発展型(H級戦艦[22]にも対抗可能と見做されていた[23]
  5. ^ (日本)戰艦[26] 三隻若くは恐らく四隻の主力艦が建造中であると信ぜらるゝも、此の問題に關する公式の報道は今以て發表されてない。此の諸艦が四萬噸以上のものたることは可なり確實なものと思考し得べく、又備砲の口徑は四〇糎なるべきことも合理的に安全なる推定である。日本の造艦能力に關して知らるゝ所より判斷すれば、是等諸艦は及び横須賀海軍工廠及び夫々長崎、神戸の三菱及び川崎造船所に於て建造中なるものと推測される。一九三九年中に進水したと報ぜられる艦は、極めて疑はしき要素も含まれるが、十一月三十日呉に於て進水したる戰艦日進、十一月二十七日神戸に於て進水した瑞鶴、六月一日横須賀に於て進水したKade Kuru翔鶴のこと?)であると思はれる。佛國の情報に依れば此の最後の艦は一六,〇〇〇級の巡洋戰艦なるやも知れずと言はれるが、そのやうな艦種が建造中なりとの噂は完全には信用を置き得ない根據薄弱なるものである。第三の可能性としてはKade Kuruは航空母艦であるとの議論である。
  6. ^ アメリカ海軍は大和型戦艦について16インチ砲9門で排水量約45,000トンと推測していた[27]
  7. ^ 同年12月10日、マレー沖海戦レナウン級巡洋戦艦レパルス (HMS Repulse) が撃沈され[34]、イギリス海軍が保有する巡洋戦艦はレナウン (HMS Renown) 1隻になった[35]
  8. ^ イタリア王立海軍の新戦艦も反り返りは弱かったが、これは地勢的に地中海内で活動するのに凌波性は重要視されなかったためで、外洋海軍であるイギリス海軍とは運用条件が異なる。
  9. ^ 戦争勃発等の理由により開発されなかった。
  10. ^ 最大射程21,702m→33,380m。砲戦距離の短い欧州戦に限定するならば充分な性能であった。
  11. ^ コンテ・ディ・カブール級戦艦[48]カイオ・ドゥイリオ級戦艦[49]リットリオ級戦艦[50]
  12. ^ 機関砲の数は充実しているため、問題が指摘された13.3cm両用砲を補えると判断された。後にエンガノ岬沖海戦での航空戦艦伊勢型の戦訓から妥当な判断といえる。

出典

  1. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 74–77イギリス ヴァンガード級
  2. ^ a b c d ジョーダン、戦艦 1988, p. 76.
  3. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 146a-149戦艦ヴァンガード/戦艦の歴史を締めくくったリサイクル艦
  4. ^ 忠勇列伝 1917, pp. 170–171(原本309-311頁)
  5. ^ a b ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 147.
  6. ^ 世界の艦船 特集 海上王 戦艦の時代(海人社)p54
  7. ^ a b c 世界の艦船増刊第67集
  8. ^ a b ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 148.
  9. ^ a b ジョーダン、戦艦 1988, p. 77.
  10. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 30–35ドイツ ドイッチュラント級
  11. ^ a b ジョーダン、戦艦 1988, pp. 8–11戦艦の新造
  12. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 22–23フランス ダンケルク級
  13. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 36–41ドイツ シャルンホルスト級
  14. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 78–81イタリア コンテ・ディ・カヴール級
  15. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 82–84イタリア カイオ・デュイリオ級
  16. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 86–89イタリア リットリオ級
  17. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 24–29フランス リシュリュー級
  18. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 132–135アメリカ ノースカロライナ級
  19. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 68–73イギリス キング・ジョージ5世級
  20. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 130–135戦艦キング・ジョージV世級/満を持して現れた英国機体の新鋭戦艦
  21. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 226a-227戦艦ライオン級(イギリス)/40cm砲9門を装備したイギリス最強戦艦
  22. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 222–223戦艦H級(H39)(ドイツ)/ビスマルクを拡大強化した強力戦艦
  23. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 226b.
  24. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 90–95日本 金剛級
  25. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 220–221超甲巡(日本)/夜間雷撃戦で血路を開く超大型重巡
  26. ^ ブラッセー海軍年鑑 1940, p. 24(原本32頁)戰艦
  27. ^ ジョーダン、戦艦 1988, p. 104.
  28. ^ ジョーダン、戦艦 1988, p. 49.
  29. ^ 世界の戦艦 砲力と装甲の優越で艦隊決戦に君臨したバトルシップ発達史 (学習研究社)p145
  30. ^ 第2次大戦時のイギリス戦艦(海人社)p111
  31. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 71戦艦登場主要海戦 part2 欧州戦線
  32. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 136–141巡洋戦艦フッド/最強の巡戦もビスマルクの一撃で爆沈
  33. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 146b.
  34. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 66戦艦登場主要海戦 part1 太平洋戦線
  35. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 142–145巡洋戦艦レナウン級/高速戦艦として通商破壊戦阻止に奔走
  36. ^ ジョーダン、戦艦 1988, p. 73.
  37. ^ a b c 世界の艦船 特集 列強最後の戦艦を比較する(海人社)p97
  38. ^ 第2次大戦時のイギリス戦艦(海人社)p80
  39. ^ イギリス戦艦史(海人社)p106
  40. ^ a b 世界の艦船 特集 列強最後の戦艦を比較する(海人社)p99
  41. ^ イギリス戦艦史(海人社)p105
  42. ^ a b c 世界の艦船 特集 列強最後の戦艦を比較する(海人社)p98
  43. ^ 第2次大戦時のイギリス戦艦(海人社)p145
  44. ^ 第2次大戦時のイギリス戦艦(海人社)p110
  45. ^ 第2次大戦時のイギリス戦艦(海人社)p141~142
  46. ^ 第2次大戦時のイギリス戦艦(海人社)p144
  47. ^ a b 世界の艦船 特集 列強最後の戦艦を比較する(海人社)p37
  48. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 187.
  49. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 191.
  50. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 195.
  51. ^ a b 世界の戦艦 砲力と装甲の優越で艦隊決戦に君臨したバトルシップ発達史 (学習研究社)p147
  52. ^ イギリス戦艦史(海人社)p139
  53. ^ 世界の艦船増刊第22集 近代戦艦史(海人社)p173
  54. ^ ジョーダン、戦艦 1988, p. 75.


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