B65型超甲型巡洋艦とは? わかりやすく解説

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B65型超甲型巡洋艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 01:19 UTC 版)

B65型超甲型巡洋艦超甲巡、B65がたちょうこうがたじゅんようかん en:Design B-65 cruiser)とは[注釈 4]日本海軍が計画した巡洋艦または巡洋戦艦である[4]


  1. ^ 後述の計画番号の経緯から、艦種としては、巡洋戦艦も記述した。ただし、本型計画時の艦種類別では、巡洋戦艦は既に廃止されていた。そのため、実際に建造された際の類別は、新艦種の追加や巡洋戦艦籍の復活が無い限り、戦艦または一等巡洋艦に区分されるものと考えられる。
  2. ^ 艦種の推定及び命名慣例から、山岳名が付与される蓋然性は高いが、命名に至る前に計画が中止されたため、公式な記録は確認されていない。
  3. ^ 本型の基本計画番号B65は、艦政本部で、天城型巡洋戦艦のB64に次いで、巡洋戦艦を意味するBの続番として正式に登録された計画番号である。従って、前型として天城型を明記した。本件から、紀伊型戦艦(『平賀遺稿集』でB65を付与と記述)、及び十三号型巡洋戦艦は、正式な基本計画番号が登録されていない事実が明らかとなっている。
  4. ^ 六 巡洋艦[3] 優勢ナル巡洋艦ニ對シテハ我ハ改装榛名型ヲ以テ之ガ撃破ニ任ズルノ外取敢ヘズ最上型ヲ二十ニ換装シ善處セントス 而シテ米國ハ英國ノ優勢巡洋艦ニ對シ今後相當多数ノ六砲艦ノ建造ニ努ムベク帝國トシテモ之ニ對シ安閑タリ得ル能ハザルヲ以テ今後更ニ情況ヲ見究メ超甲巡若クハ巡洋戰ノ建造ヲ必要トスルニ至ル可シ/水戰 潜戰旗艦ハ當分五,五〇〇噸型ヲ以テ之ヲ充當スルコトヲ得ト雖モ早晩艦齢ニ達スルガ故ニ多量ノ代艦ヲ要スベキ日 到來スルヲ以テ旗艦ノ艦型等ニ就キテハ各國軍備ノ情勢ニ依リ之ヲ定ムルヲ要ス 〕
  5. ^ 資料によっては、⑤計画の次の⑥計画が策定される際には、金剛級代艦として、追加で4隻の建造が見込まれていた、との記述がある。
  6. ^ 当初、利根型は最上型の5番艦と6番艦として建造予定だった[14]
  7. ^ (二)米國[18] 甲級巡洋艦ハソノ最後ノ一艦「ウイチタ」ヲ殘スノミトナリ主力ハ乙級巡洋艦ニ移リツヽアリ 建造中ノ乙級巡洋艦九隻ニシテソノ第一艦「ブルツクリン」ハ昨年十一月末進水セリ、コノ型ハ十五糎三聨装砲塔ヲ前部ニ 三基、後部ニ 二基有シ、發射管ヲ有セズ從來ノ米國巡洋艦ノ型ヲ破リ後甲板ノ兩舷ニ射出機一基宛ヲ有シ艦尾ノ形状特異ナル點ヨリ推スニ或ハ艦尾飛行機揚収装置ヲ装備スルニハ非ザルカ 「フラツシデツキ」ニシテ從來ノ如キ舟首樽甲板ヲ有セズ 我ガ巡洋艦型ニ近ヅキタリ 防禦ハ甲級巡洋艦ト同等ニシテ舷側一二五甲板五五ト傳ヘラル
  8. ^ アメリカ海軍は最上級巡洋艦を意識してブルックリン級軽巡洋艦を建造し[19]、イギリス海軍もタウン級軽巡洋艦サウサンプトン級グロスター級エディンバラ級)を建造した[20][21]
  9. ^ 1929年2月起工、1933年4月竣工。基準排水量12,100トン、速力28.5ノット。「ポケット戦艦」とも称された[28]
  10. ^ 日本海軍は巡洋戦艦と認識している[30]。1932年12月起工、1937年5月竣工、基準排水量26,500トン、速力約30ノット[31]
  11. ^ (日本)戰艦[34] 三隻若くは恐らく四隻の主力艦が建造中であると信ぜらるゝも、此の問題に關する公式の報道は今以て發表されてない。此の諸艦が四萬噸以上のものたることは可なり確實なものと思考し得べく、又備砲の口徑は四〇糎なるべきことも合理的に安全なる推定である。日本の造艦能力に關して知らるゝ所より判斷すれば、是等諸艦は及び横須賀海軍工廠及び夫々長崎、神戸の三菱及び川崎造船所に於て建造中なるものと推測される。一九三九年中に進水したと報ぜられる艦は、極めて疑はしき要素も含まれるが、十一月三十日呉に於て進水したる戰艦日進、十一月二十七日神戸に於て進水した瑞鶴、六月一日横須賀に於て進水したKade Kuru翔鶴のこと?)であると思はれる。佛國の情報に依れば此の最後の艦は一六,〇〇〇級の巡洋戰艦なるやも知れずと言はれるが、そのやうな艦種が建造中なりとの噂は完全には信用を置き得ない根據薄弱なるものである。第三の可能性としてはKade Kuruは航空母艦であるとの議論である。
  12. ^ a b 内閣情報部二・二〇 情報第四號/日本豆戰闘巡洋艦建造説[35] 英紙報道 ―同盟来電―不發表/ロンドン十九日發 ロンドンの保守党系週刊誌サンデイ・タイムス海軍記者は十九日の紙上に於て日本の新建艦計画と称し次の如く報じてゐる
     日本は目下通商路遮断の目的に使用する豆戰闘巡洋艦数隻を建造中であるが、その単艦噸數は一万五千噸乃至一万六千噸とし十二吋砲を装備し速力は三十節以上とならう 
  13. ^ この当時新規開発された日本海軍の大型艦砲は、砲口径をインチから近似のセンチ単位に切り上げており、本砲も、12インチ (304.8mm) ではなく、310mmを予定していたと推測されている。
  14. ^ 本砲と同時期に計画され、対となる「試製甲砲」(51cm45口径)が、超大和型戦艦用の主砲として試作砲の製造まで進んだ事実とは対照的である。
  15. ^ 一説には、この主砲では、日本海軍では珍しいアメリカ海軍のSHS(スーパーヘビーシェル)に匹敵する重量砲弾の使用が推測されている。その場合、性能はアメリカ海軍のMark 8砲に匹敵する威力を持っていたとする。ただし、日本側資料では、この重量砲弾採用についての公式な記録は確認されていない。
  16. ^ 福井静夫の著作群や、それらを引用したと思われる海外資料では、九三式魚雷、及び九二式四連装魚雷発射管の搭載が示されているが、石橋本をはじめとする近年の日本側研究では、兵装としての搭載を示す情報自体が確認できず、搭載説は否定されている模様である。
  17. ^ 日本海軍では、主砲装甲等の重量は兵装重量として管理されており(牧野茂『日米戦艦比較論』)、詳細設計に進んでいない計画案(例:十三号型金剛代艦)では、砲塔関係の装甲厚が造船側の記録に残されていない。
  18. ^ 建造時は装甲艦だったが、後日、重巡洋艦に類別変更されている[41]
  19. ^ ドイツ海軍は装甲艦(戦艦)に類別したが、イギリス海軍など列強各国から「巡洋戦艦」と評価される。
  20. ^ 無条約時代に入り、日本海軍が「条約型巡洋艦を超える」艦を建造する、という情報分析を行ったためである。
  21. ^ 計画当時、空母部隊は艦隊主力である戦艦部隊とは別編成で偵察任務などに行動する前提であり、空母部隊に随伴する戦艦は存在しなかったことに留意。
  22. ^ アラスカ級の防御強化も検討されたが、排水量増加に伴う艦型の大型化を招いた。これについては、海軍首脳部、特に、本型の建造に多大な関心を示したキング提督などから、当初意図した大型巡洋艦ではなく実質的に小型戦艦の建造となり、建造コストが増加する、及び、当初の用兵上の要求から乖離する、として、忌避する意見が多く出た。特に、キング提督は、本型の水中防御設計について、戦艦と同様の思想での設計による防御の強化を見送り巡洋艦式とすることでコスト削減が出来る、と主張、採用させるほど関心を寄せていた。
  23. ^ 実際、自艦主砲弾への対応防御は、舷側垂直防御(9.5インチ/241mm、傾斜10度)は23,500ヤード(約21,500m)以上、弾薬庫水平防御(3.25インチ/83mm)は26,600ヤード(約24,300m)以下、という限られた範囲の装甲となり、安全な交戦距離がほとんど確保できない問題を抱えていた。ただし、Mark 8主砲がSHS採用で旧型14インチ砲に匹敵する高性能砲であることから、数字が相当不利になっていることを割り引く必要はある。
  24. ^ 竣工2隻(アラスカ、グアム)、建造中止(ハワイ、1943年12月起工/1945年11月進水、1947年建造中止)、建造中止3隻[43]

脚注

  1. ^ a b #昭和25年度戦時編制案(昭和13年10月) p.4〔 昭和二十五年度帝國海軍戰時編制案(GF) |GF|2F|5S|⑤巡戰二 ⑥巡戰一 〕
  2. ^ 一部資料によれば傾斜20度。
  3. ^ a b c #S11御説明参考資料(2) pp.6-8
  4. ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, pp. 292–302米海軍の両洋艦隊に対抗するために
  5. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 220a-221超甲巡(日本)夜間雷撃戦で血路を開く超大型重巡
  6. ^ a b c ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 220b.
  7. ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, pp. 294–295.
  8. ^ 決定版、日本の戦艦 2010, pp. 105a-106戦艦に匹敵する"超甲級巡洋艦"計画
  9. ^ a b c 決定版、日本の戦艦 2010, p. 105b.
  10. ^ 世界の艦船、近代巡洋艦史 2009, pp. 62–163日本/一等巡洋艦「高雄」級 
  11. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 11.
  12. ^ a b ジョーダン、戦艦 1988, pp. 90–93日本 金剛級
  13. ^ 世界の艦船、近代巡洋艦史 2009, pp. 164–165日本/二等巡洋艦「最上」級 MOGAMI CLASS
  14. ^ 世界の艦船、近代巡洋艦史 2009, p. 106日本/一等巡洋艦「利根」級 TONE CLASS
  15. ^ #昭和15年末国防所要兵力表 p.2〔 條約決裂后ノ昭和十五年末ニ於ケル兵力表(昭和九.九.二五)軍令部一課|甲巡(略)中巡(改)ハ昭和15年末迄ナルヘク速ニ25㎝砲(又ハ20㎝)ニ改ス 其他 第二次補充計画ニヨル 〕
  16. ^ #S16年度海軍戦時編制案(昭和10年2月) p.4〔 昭和十六年度(一九四一年)帝國海軍戰時編制(案) 昭和十年二月十二日 〕
  17. ^ #列国海軍造艦術現状 p.10〔 二)最近六吋砲搭載ノ一〇,〇〇〇噸級巡洋艦七隻ノ建造ニ着手セラレタリ 甲級乙級共ニ米國海軍ノ新艦ハ何レモ大型巡洋艦ニシテ良好ナル耐波性能ト大航續距離トヲ眼目トシオルガ如シ 〕
  18. ^ #列国海軍造艦趨勢(昭和12年5月) pp.14-15
  19. ^ 世界の艦船、近代巡洋艦史 2009, pp. 98–99アメリカ/軽巡洋艦「ブルックリン」級 BROOKLYN CLASS
  20. ^ 世界の艦船、近代巡洋艦史 2009, pp. 84–85イギリス/軽巡洋艦「サウサンプトン」級 SOUTHAMPTON級
  21. ^ 世界の艦船、近代巡洋艦史 2009, pp. 227–228■ロンドン条約下の巡洋艦
  22. ^ a b c d e f g h i j k l 決定版、日本の戦艦 2010, p. 106a.
  23. ^ a b c 決定版、日本の戦艦 2010, p. 106b超甲級巡洋艦案
  24. ^ a b c イカロス、世界の巡洋艦 2018, p. 126■日米の大型巡洋艦
  25. ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, pp. 298–299日本海軍の各計画案
  26. ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 302.
  27. ^ イカロス、世界の巡洋艦 2018, pp. 124a-126コラム(5)大型巡洋艦/■ドイツの大型巡洋艦
  28. ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 152–157装甲艦ドイッチュラント級(ドイツ)
  29. ^ #列国海軍造艦術現状 pp.3-4〔 一、主力艦 〕
  30. ^ #列国海軍造艦術現状 pp.6-8〔 佛國ノ巡洋戰艦「ダンケルク」竝ニ独逸ノ一萬噸級「ポケット」戰艦 〕
  31. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 22–23フランス ダンケルク級
  32. ^ a b ジョーダン、戦艦 1988, pp. 36–41ドイツ シャルンホルスト級
  33. ^ a b ジョーダン、戦艦 1988, pp. 148–151アメリカ アラスカ級
  34. ^ ブラッセー海軍年鑑 1940, p. 24(原本32頁)戰艦
  35. ^ 日本豆戦闘巡洋艦建造説 英紙報道/各種情報資料・内閣情報部情報綴(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03024303900 
  36. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 74–77イギリス ヴァンガード級
  37. ^ ジョーダン、戦艦 1988, p. 76.
  38. ^ a b c d 石橋、大口径艦載砲 2018, pp. 296–297(超甲巡完成予想図)
  39. ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 307.
  40. ^ ジョーダン、戦艦 1988, pp. 30–35ドイツ ドイッチュラント級
  41. ^ 世界の艦船、近代巡洋艦史 2009, p. 130ドイツ/重巡洋艦(装甲艦)「ドイッチュラント」級 DEUTSCHLAND CLASS
  42. ^ 世界の艦船、近代巡洋艦史 2009, p. 229.
  43. ^ a b 世界の艦船、近代巡洋艦史 2009, pp. 162–163アメリカ/大型巡洋艦「アラスカ」級 ALASKA CLASS
  44. ^ a b ジョーダン、戦艦 1988, p. 150.
  45. ^ 『仮想・太平洋戦史 目標、砲戦距離四万!』(徳間文庫)所収。


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