ヴァンウォール・ヴァンダーヴェル 680とは? わかりやすく解説

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ヴァンウォール・ヴァンダーヴェル 680

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/24 17:07 UTC 版)

ヴァンウォール・ヴァンダーヴェル 680
カテゴリー LMH
コンストラクター バイコレス
先代 CLM P1/01
主要諸元
シャシー カーボンファイバーモノコック
サスペンション(前) 独立懸架 ダブルウィッシュボーン プッシュロッド
サスペンション(後) 独立懸架 ダブルウィッシュボーン プッシュロッド
エンジン ギブソン GL458 4.5 L V8 自然吸気 ミッドシップ, 縦置き
トランスミッション 7速 X Trac社製シーケンシャルセミオートマチック
タイヤ ミシュラン
主要成績
チーム フロイド・ヴァンウォール・レーシングチーム
ドライバー エステバン・グエリエリ
トム・ディルマン
ジャック・ヴィルヌーヴ
トリスタン・ヴォーティエ
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
ライアン・ブリスコー
初戦 2023年のセブリング1000マイルレース
最終戦 2023年のバーレーン8時間レース
出走 優勝 ポール Fラップ
7 0 0 0
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ヴァンウォール・ヴァンダーヴェル 680 (Vanwall Vandervell 680) は、バイコレスル・マン・ハイパーカー (LMH)規定に基づき、FIA 世界耐久選手権(WEC)への参戦用に開発したプロトタイプレーシングカーF1で初のコンストラクターズチャンピオンを獲得したヴァンウォールの名を冠する。

概要

バイコレスが2019-20年までFIA 世界耐久選手権に参戦していたLMP1クラスのCLM P1/01の後継にあたる。エンジンはCLM P1/01から引き続きギブソン・テクノロジーV型8気筒自然吸気エンジンであるGL458をミッドシップに搭載していたが、後に他メーカーへの換装も行われている(後述)。

当初は2021年からLMHクラスに参戦予定だったが[1]、LMP時代と異なりシーズンエントリーが必須となり1レース毎のエントリーが禁止されたためその年の参戦は見送り[2][3]、翌2022年のシリーズエントリーを目指していたがこれはWEC選考委員会から却下され[4]2023年にようやくエントリーが認められている[5]

名称にVanwall (ヴァンウォール) を用いており、車両のカラーリングも意識されているが、かつてのF1コンストラクターであるヴァンウォールとは直接の関係は無い。純粋なレーシングカーコンストラクターの車両が参戦可能であったLMP時代と異なり、ハイパーカークラスへの参戦には市販の自動車メーカーとの繋がりが必要なため、バイコレスの関連会社であるPMC GmbHがドイツで商標を保持している「ヴァンウォール」の名前を用いているものである[6]。バイコレスの市販車メーカーとしての実績作りとして、本車両の公道走行可能モデルとなる「ヴァンダーヴェル 1000」[7][8]や、量産EVホットハッチとなる「ヴァンダーヴェル S」の開発が発表されている[9]が、2023年12月現在特に進展は無い。

レース活動

2023年

参戦に先立ち2022年4月、ドイツの飛行場にてロールアウト。クリストフ・ブシューが最初のステアリングを握った。2023年にシリーズエントリーが認められ同年よりの参戦となった。チーム名は「フロイド・ヴァンウォール・レーシングチーム」、ドライバーはトム・ディルマンエステバン・グエリエリ1997年F1ワールドチャンピオンのジャック・ヴィルヌーヴの3人を起用していたが、第4戦となるル・マン24時間レースではヴィルヌーヴに代わりトリスタン・ヴォーティエが、そして第5戦モンツァ6時間レースからはディルマンに代わりジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが、第7戦はライアン・ブリスコーがドライバーを務めるなどドライバー陣が頻繁に変更され、1台での参戦でありながら年間6人ものドライバーが起用され、その中でフルエントリーしたのはグエリエリのみとなった。

マシンも全体的な信頼性の不足に加えギブソン製エンジンのパワー不足も目立ち、BoPによる性能調整の上限値から80馬力ほども劣った出力しか得られないこともあり、成績は低迷した。クラス最高成績は開幕戦の8位、総合順位では第5戦の20位が最高、完走率は50%しかなく、獲得したポイントはモンツァ以降の2戦を欠場したグリッケンハウスよりも低かった[10]

2024年

2024年に向けてはV型10気筒エンジンへの載せ替えなども検討されたが、最終的に前年限りでWECから撤退したグリッケンハウス・007 LMHのエンジン(ピポ・モチュール社製P21エンジン・3.5L V型8気筒ツインターボチャージャー)を採用することを決めた。しかしFIA / ACOから2024年シーズンのエントリーを却下されてしまい、参戦は出来なかった[10]

2024年10月、チームマネージャーのコリン・コレスがメディアの取材に応じ、2025年のWECへの復帰に向けた準備を進めていることを明らかにした。コレスによれば「95%新しい」とされるバージョンアップ版の車両の開発が進められているが、実車での走行は「(復帰が)正式に決定してから」になる予定だという。ヴァンウォールでは「1年後(2026年)にヒョンデが来たときに、再び『グリッドが満員だ』と言われるのは困る」として、FIA / ACOに対し長期参戦のコミットメントを求めている[11]。しかし11月22日に公表された2025年のエントリーリストに名前はなく、またしてもエントリーを却下された形となった。

戦績

チーム クラス No. ドライバー Rds. 1 2 3 4 5 6 7 Pts. Pos.
2023 フロイド・ヴァンウォール・レーシングチーム ハイパーカー 4 エステバン・グエリエリ All SEB
8
POR
Ret
SPA
Ret
LMS
Ret
MNZ
12
FUJ
11
BHR
12
10 7位
トム・ディルマン 1-4
ジャック・ヴィルヌーヴ 1-3
トリスタン・ヴォーティエ 4-7
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ 5-6
ライアン・ブリスコー 7

脚注

  1. ^ “バイコレス、2021年のWECに参戦するハイパーカーの画像を公開。市販車バージョンも発表”. motorsport.com 日本語版. (2020年9月19日). https://jp.motorsport.com/wec/news/bykolles-reveals-images-of-2021-wec-hypercar-design/4877314/ 
  2. ^ “WECの”組織”に不満あり? バイコレス、エントリーしなかった理由を明かす”. motorsport.com 日本語版. (2021年1月22日). https://jp.motorsport.com/wec/news/bykolles-le-mans-hypercar-unlikely-to-race-this-year/5155501/ 
  3. ^ 2022年のWECハイパーカークラスデビューを目指すバイコレス、新車のロールアウトは今秋を予定 | ル・マン/WEC”. AUTO SPORT web (2021年9月16日). 2023年12月20日閲覧。
  4. ^ “バイコレス、2022年WECハイパーカークラスのエントリーを却下される。WEC側は詳細語らず”. motorsport.com 日本語版. (2022年1月13日). https://jp.motorsport.com/wec/news/wec-rejects-bykolles-le-mans-hypercar-entry-for-2022/7229404/ 
  5. ^ WECの2023年暫定エントリーリストが公開。LMDhの参加によりハイパーカーは計13台に | ル・マン/WEC”. AUTO SPORT web (2023年1月11日). 2023年12月20日閲覧。
  6. ^ バイコレス、『ヴァンウォールLMH』をドイツでロールアウト。2023年のWEC参戦を目指す”. jp.motorsport.com (2022年4月2日). 2023年12月20日閲覧。
  7. ^ ByKOLLESのツイート(1570077049733189632)
  8. ^ “実現できる? ナンバー付きのル・マンハイパーカー バイコレスが製作”. AUTOCAR JAPAN. (2022年9月20日). https://www.autocar.jp/post/860695 
  9. ^ かつてはF1、今年はWECハイパーカー。新生ヴァンウォール、初の量産車は580馬力の電動ホットハッチに”. jp.motorsport.com (2023年1月18日). 2023年12月20日閲覧。
  10. ^ a b “V10化も検討。WECにエントリー申請が拒否されたヴァンウォール、エンジンサプライヤー変更も報われず”. オートスポーツ. (2023年11月28日). https://www.as-web.jp/sports-car/1020307?all 
  11. ^ タイムリミットが迫るヴァンウォールのWEC復帰計画。2025年の参戦が保証されるまでテストは保留 - オートスポーツ・2024年10月8日

関連項目

外部リンク




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