水雷防御
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 05:18 UTC 版)
「ヴァンガード (戦艦)」の記事における「水雷防御」の解説
この時期においてもイギリス海軍は水中防御に関する考え方が旧く、効果的な水中防御を考えていなかったとされる。第一次大戦後、各国で水中弾効果について研究が進められた結果、日本海軍の大和型、アメリカ海軍のサウスダコタ級、フランス海軍のダンケルク級以降の艦は傾斜した水線防御装甲を水線下まで延長する工夫が見られたが、本艦では水線部では356mmがあった装甲厚は水線下では112mmにまで薄くなった上に、水密区画の上端で水線装甲は終わっており、そこから先の水雷防御は細分化された空層区画で燃料タンクなどの液層区画をサンドイッチする計4層で浸水を受け止め、そのうち外側の1層を艦底部まで伸ばして二重底と組み合わせて対水雷防御とする構造をとっていた。これと強化された注水・排水システムで魚雷に対しての防御は最適とされているが、水中弾への対策は無きに等しく、本艦の防御は「旧来のデータで作られた独逸新戦艦」と「欠陥を持つプリエーゼ式のイタリア改装戦艦および超弩級戦艦」を除けば各国新戦艦の中でも充分とは言えなかった。 この構造は実戦において「プリンス・オブ・ウェールズ」がタービン軸近くで炸裂した航空魚雷により「当初の水中防御の想定よりもはるかに劣る炸薬で水雷防御を破られた」と言う結果に終わった。戦訓調査では最終的に「水中防御区画の縦深(幅)が不足している」と判定されている。イギリス海軍は戦訓を基にして「ライオン級」および「ヴァンガード」では水雷防御の見直しが行われ、水線部に近い箇所の舷窓の廃止や防御区画の細分化によって一定の改善を行った他、タービンシャフトの内軸と外軸の長さがキング・ジョージ5世級が10.2mだったものが本艦においては15.7mと離すことにより被害拡大を防ぐ工夫を行った。だが、根本的な水雷防御の改良は行われずに基本構造の欠点もそのまま「ヴァンガード」の基本設計にそのまま受け継がれた。
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