水密区画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 15:34 UTC 版)
21世紀現在、新たに建造されるすべての大型船では、船体内部は船底から上甲板へ達する水密隔壁により多数の水密区画に分割されていて、浸水時にも浸水範囲を限定することで浮力を大きく失わないようにしている。また、船底は「二重底」(Double Bottom)になっており、万が一、座礁などで浸水が始まっても沈没しないだけの必要な浮力を温存することや、たとえ多数の水密区画が浸水するような重大な事故においても出来るだけ長い避難時間を稼げるように考慮されている。 タンカーの二重船殻構造 二重底は鉄鋼船になって早くから取り入れられてきたが、大型タンカーに限っては一時期、二重底から「単底」(Single Bottom)に変更されていた時期があった。大型タンカーは他の船舶と比べても区画が多数に分割されているためや、油は水より軽く油で満たされた油槽に万が一、穴が空いても少しずつしか漏れ出さない事もあって浸水に対して比較的安全であることや、二重底にして油槽付近に空隙を放置すると石油や原油から発生したガスが二重底内部に溜まって危険であるなどがその理由であったが、1989年のエクソン・バルディーズ号が起こしたアラスカ沖での座礁による原油流出事故の後、環境保護の観点から船底と側壁を二重にする二重船殻構造(Double Hull)が国際条約(海洋汚染防止条約、MARPOL条約の改正)によって1992年以降、義務付けられている。
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