ポリエチレン【polyethylene】
ポリエチレン
熱可塑性の汎用樹脂でPEとも呼ばれる。製造の加圧条件により、結晶化度の低い低密度ポリエチレンと、結晶化度の高い高密度ポリエチレンの2種類に大別される。機械的性能、耐水、防湿性、耐寒性、耐薬品性、電気絶縁性に優れていて成形性もよく安価なことから、代表的な熱可塑性樹脂として、各種容器、包装材料、パイプ、家庭用雑貨、繊維、電線被覆など大量に使用されている。自動車では、高密度PEのほうが多く用いられており、天井、ドアのクッション、トランクルーム内張り、エアダクト、フェンダーライナー、リザーブタンクなどに使用されている。
参照 PFポリエチレン
名称 | ポリエチレン |
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英名 | polyethylene |
名称2 | ポリ(メチレン) |
英名2 | poly(methylene) |
名称3 | - |
英名3 | - |
備考(略号ほか) | PE |
構造式 | -[CH2CH2]n- |
分子データ |
ポリエチレン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/17 17:01 UTC 版)
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ポリエチレン | |
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ポリエチレンは最も簡単な構造をした高分子である。
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 9002-88-4 |
KEGG | C19503 |
MeSH | Polyethylene |
特性 | |
化学式 | (C2H4)n |
外観 | 無色固体 |
密度 | 0.91–0.96 g/cm3 |
融点 | 115 – 135 °C |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |

ポリエチレン(米: polyethylene、英: polyethene)、略称PEは、エチレンが重合した構造を持つ高分子である。最も単純な構造をもつ高分子であり、容器や包装用フィルムをはじめ、様々な用途に利用されている。
基本的にはメチレン(-CH2-)のくり返しのみで構成されているが、重合法によって平均分子量や分枝数、結晶性に違いが生じ、密度や熱特性、機械特性などもそれに応じて異なる。
一般に酸やアルカリに安定。低分子量のものは炭化水素系溶剤に膨潤するが、高分子量のものは耐薬性に非常に優れる。濡れ性は低い。絶縁性が高く、静電気を帯びやすい。
定義
JIS K 6748によると、ポリエチレンはエチレンの単独重合体、エチレンと5mol%以下のα-オレフィレン単量体との共重合体、およびエチレンと官能基に炭素、酸素、および水素原子だけを持つ1mol%以下の非オレフィン単量体との共重合体と定義されている。(-JIA K 6748)
分類
ポリエチレンの分類は密度による分類と、製造方法による分類の2種類がある。
組成上は同じポリエチレンであっても、構造によって性質が大きく異なるため、実用上、密度や分子量によって数種類に分類されている。リサイクル識別表示マーク(SPIコード)は高密度ポリエチレンが 2、低密度ポリエチレンが 4 と定められている。
- 低密度ポリエチレン (LDPE, Low Density Polyethylene)
- 比重 0.91 - 0.92、荷重たわみ温度 100 ℃ 以下。
- 超低密度ポリエチレン (VLDPE, Very Low Density Polyethylene / ULDPE, Ultra Low Density Polyethylene)
- 比重 < 0.9。
- 直鎖状低密度ポリエチレン (LLDPE, Linear Low density Polyethylene)
- 比重 < 0.94。
- 超高分子量ポリエチレン (UHMW-PE, ultra high molecular weight-polyethylene)
- 一般に分子量150万以上。
そのほか、ポリエチレンを部分構造として持つコポリマーも多く開発されている。代表的なものとして、酢酸ビニルとの共重合体であるエチレン酢酸ビニルコポリマー (EVA、Ethylene vinyl acetate copolymer) がある。
架橋反応により網目状の分子間結合させた架橋ポリエチレンというものも存在する。これは熱硬化性樹脂のように加熱しても溶融しなくなるなどの特性が有り、ケーブルなど耐熱性が求められる用途に使われている。
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LDPE製ボトル。
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PE粒
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ステンレスとUHMWPE製の人工股関節。
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メキシコの排水事業におけるHDPE配管。
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ポリエチレン製バッグ。
歴史
ポリエチレンは1898年、ペヒマンがジアゾメタンを熱分解している際に偶然発見された。
1930年代、ICIの研究者によって酸素を開始剤とする高圧合成法が開発され、工業的な合成が始められた。1951年に米フィリップス石油の研究者らによって酸化クロムが、続いて1953年にドイツのツィーグラーによってチーグラー・ナッタ触媒として知られるハロゲン化チタン系触媒が開発されると、高性能のポリエチレンが安価に製造されるようになり、世界的にポリエチレン製品が広まっていった。
1976年、カミンスキーがメタロセン骨格を持つ触媒を開発し、ポリエチレンの分子量、分岐数などの制御の他、コポリマーの合成も容易となった。
現在では、用途に応じて様々な合成法が利用されている。エチレン (CH2=CH2) を低圧条件(1 - 6気圧)で存在下、あるいは中圧条件(30 - 40気圧)で酸化クロム系触媒存在下で重合させると HDPE に、1,000気圧以上の高圧条件で重合させると分枝が増えて LDPE となる。過酸化ベンゾイルやアゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてラジカル重合によって製造することも可能である。
外部リンク
- 国際化学物質安全性カード ポリエチレン (ICSC:1488) 日本語版(国立医薬品食品衛生研究所による), 英語版
ポリエチレン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 18:22 UTC 版)
ポリエチレン(PE)の生分解は1970年代ごろから研究対象として注目されていたが、微生物による生分解を受けるのは主として低分子量成分であり、分子量が 2000 を超える高分子量PEが環境中で生分解を受けることは困難であるとされてきた。高い分子量が生分解を阻害する主要因となるため、PEの生分解を行うには熱や紫外線、酸化剤などを用いた機械的・化学的な前処理が必要であると考えられていたが、近年は、前処理が行われていない長鎖PEを分解することができる可能性のある細菌や真菌が環境中から多数見出されており、たとえば、日本からは低密度ポリエチレン(LDPE)を分解する Bacillus 属の細菌が報告されている。腐植栄養湖(英語: humic lake)において、生分解されたPE由来の炭素が植物プランクトンの必須脂肪酸の合成に用いられていることを示した Taipale et al. (2019) のように、環境中でのふるまいの観点からPEの生分解プロセスを調査した研究もある。
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ポリエチレン
「ポリエチレン」の例文・使い方・用例・文例
- ポリエチレン線形化触媒
- ポリエチレン繊維という化学繊維
- ポリエチレン製のバケツ
- ポリエチレン製の袋
- ポリエチレンという高分子化合物
- ポリエチレングリコールという,エチレングリコールの重合体
- このハート形の気球を作るために,ポリエチレンフィルムの木の葉形シート116枚がつなぎ合わされている。
- ボタンを押すと,プチッという音が聞こえ,ポリエチレン製の気泡をつぶしたときと同じ感覚が得られる。
- しかし,ポリエチレン製のカヤックは自転車並みに軽く,1人で運べる。
- これらの種目では,ポリウレタンやポリエチレンのホールド(手がかり,足がかり)がついているクライミング用の人工壁を使います。
ポリエチレンと同じ種類の言葉
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