ラッピングフィルム (包装)
(包装用フィルム から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/11 09:47 UTC 版)

ラッピングフィルム (Wrapping film) とは、何か物をくるむため(包装)に用いる、プラスチックフィルム。ラップフィルム、包装用フィルム、包装フィルムとも呼ぶ。単にラップとも言う。
種類と出荷量
材料名称 | 1955 | 1960 | 1962 | 1964 | 1965 | 1966 | 1967 | 1980 | 1995 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
セロハン | 10.3 | 32.3 | 49.1 | 59.2 | 65.0 | 75.1 | 84.2 | 34.9 | |
ポリエチレンテレフタレート (PET) | 1.0 | 1.0 | 1.8 | 40.5 | |||||
延伸ポリプロピレン (OPP) | 0.8 | 3.0 | 5.5 | 195.6 | |||||
ナイロン (NY) | 0.1 | 8.0 | 40.5 | ||||||
ポリエチレン (PE) | 75.0 | 136.0 | 150.4 | 203.8 | 275.1 | 355.1 | 495.5 | ||
ポリプロピレン (PP) | 0.5 | 5.5 | 13.6 | 23.3 | 38.4 | 83.5 | |||
ポリ塩化ビニリデン (PVDC) | 2.9 | 3.7 | 3.7 | 4.5 | 4.9 | 46.8 | |||
ポリビニルアルコール (PVA) | 1.6 | 2.5 | 15.5 | ||||||
ポリ塩化ビニル (PVC) | 11.5 | 23.5 | 26.4 | 42.2 | 46.5 | 140.0 | 212.0 | ||
合計 | 115.2 | 344.3 | 749.9 | 882.3 |
このほか、ポリメチルペンテン (PMP)、ポリカーボネート (PC)、ポリスチレン (PS)、ポリアクリロニトリル (PAN)、エチレンビニルアルコール (EVOH) 共重合体、エチレンメタクリル酸 (EMAA) 共重合体も使われる。
用途
食品用
食品・食材・料理を直接触れる形で包装したり、電子レンジで調理するときや、冷蔵庫で保存するときに、密閉するために用いるもの。日本ではサランラップと言う商品名で呼ばれる事もある。こと包装という場合には、野菜や魚介類・食肉など生鮮食品が外気や店頭で消費者が直接触れないようにするために用いられており、スチロールトレイなどと共に使い捨ての包装材料として利用されている。
食品に溶出する成分があっては不都合があり、また衛生的でないと使用できないため、一定の安全基準が設けられるなどしている。
贈答用
クリスマスプレゼントなどの特別な贈り物や花束のラッピングに用いられる。
顔料を混ぜた素材でカラフルに着色してある場合や、塗料によって色彩されていたり、印刷によって意匠が凝らされる、あるいは金属蒸着を利用したミラーフィルムなど多岐に渡るものが利用されている。透明なプラスチックフィルムも利用される一方で、和紙をプラスチックコーティングないし接着して耐水性を向上させた製品もあり、内容物を飾るために様々な製品が見られ、一般に包装材料としてラッピングフィルムという場合は、これを指す。
ただ包装材料として使い捨てになるため、過剰包装である場合は廃棄が厭わしくなる場合もあることから、効果的に使うために工夫が凝らされることもある。包んでリボンをかけたり、ステープラーやシーラーで折り目や重ねた部分を留めて立体的な構造としたり、またセロハンテープで接着したりして、商品を包む。
広告用
列車やバスの車体に広告を描くために用いられる。一時的に塗装面に接着して利用する印刷物で耐光性・耐候性があり、特に窓ガラスなどガラス面に貼られるものでは、マジックミラーのように外からは印刷面がはっきり見えるが、中からは視界をあまり遮らない(スモークフィルムのようにやや暗く見える程度)ものも利用されている。
携帯電話機など
携帯電話などの外装をデコレーションするために用いられる。ラメなどの飾りがついているもの、片面が粘着面になっていて貼り付けられるもの、多少の曲面に対応できる伸縮性を持つものなどがある。
携帯電話や携帯ゲーム機など携帯機器に貼られるものは装飾に加え、本体が傷付いたり汚れたりするのを防ぐ意図もあり、また場合によっては密閉構造で防水性のある包装材も見られる。しかしこういった加工はやや操作性を損なう場合があり、また防滴程度の防水性しかない。その多くでは、必要に応じて、または機器の種類に応じて利用される。
出典
- ^ 新・食品包装用フィルム―フレキシブル包装・理論と応用 ISBN 4890861963
包装用フィルム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 03:01 UTC 版)
文字通りいろいろなものを包むためのフィルムを包括して定義する。ごみ袋に代表されるようにあらかじめ袋状に成型されたものが多いが、食品用ラップフィルムや梱包用フィルムなどロール状のまま提供されるものも含まれる。冷凍食品やレトルトの多様化など、食品包装分野などを中心に使用されるフィルムには複数の機能が同時に求められるケースが普通となり、それらに対応するために多層化されたものがほとんどとなっている。以下、包装材料の用途と多層構造の対比例を表に纏める。 フィルムの多層構成主な用途性能OPP/PE、OPP/EVA、OPP/L-LDPE 砂糖や塩などの粉体、菓子、冷凍食品など ○防湿性・酸素透過性・低コスト OPP/CPP ラーメンなど乾燥食品、繊維製品や雑貨など ○透明性・防湿性、×酸素バリア性、耐衝撃性 OPP/EVOH/PE、OPP/PVA/PE けずり節パック、粉末食品、お茶の葉など ○酸素バリア性 OPP/AL/PE 医薬品など ○ガスバリア性・防湿性・光遮断性 OPP/PE/VM/PET/PE/CPP ポテトチップスなど ○ガスバリア性・防湿性・光遮断性 OPP/VM/CPP ポテトチップス、飴、アイスキャンディーなど ○防湿性、×ガスバリア性 KOP/PE、KOP/EVA、KOP/L-LDPE 真空ボイル包装、ガス充填包装など ○防湿性・ガスバリア性 KOP/CPP 乾燥食品、ガス充填包装など ○防湿性・ガスバリア性・透明性 PET/PE、PET/EVA、PET/L-LDPE レトルト食品、冷凍食品、薬品など ○耐熱耐寒性・保香性、×耐アルカリ性 PET/CPP 水物の蓋など ○耐熱性、×耐衝撃性 KPET/PE、KPET/EVA、KPET/L-LDPE、KPET/CPP ガス充填包装、漬物、ふりかけなど ○耐熱耐寒性・保香性 ON/PE、ON/EVA、ON/L-LDPE 液体食品、透明レトルトなど ○耐熱耐寒性・耐ピンホール性・耐衝撃性 ON/CPP 透明レトルトパウチなど ○耐熱耐寒性・耐ピンホール性・耐衝撃性・透明性 KON/PE、KON/CPP 米袋、ハム・ソーセージなど ○防湿性・ガスバリア性・耐衝撃性 PET/VM/PET/PE、PET/VM/PET/EVA コーヒー豆など ○耐熱性・ガスバリア性・防湿性・遮光性 PET/AL/PET/L-LDPE 米袋など重量物 ○耐熱性・ガスバリア性・防湿性・遮光性・強度 PET/AL/PE、PET/AL/CPP 海苔、羊羹、お茶の葉、薬品など ○防湿性・ガスバリア性・遮光性 PET/AL/CPP カレーのレトルトなど ○防湿性・ガスバリア性・遮光性・耐熱性 PET/PAN 薬品、食用油、食品など ○耐薬品性・保香性 注)AL:アルミラミネート、VM:アルミ蒸着
※この「包装用フィルム」の解説は、「フィルム」の解説の一部です。
「包装用フィルム」を含む「フィルム」の記事については、「フィルム」の概要を参照ください。
- 包装用フィルムのページへのリンク