トルコのEU加盟
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2015年11月29日、アンゲラ・メルケルがEU・トルコ間で事前サミットを主催し多くのシリア難民をEUに受け入れる提案を行った。そしてEUは、トルコからの移民流入の数を制限する措置と引きかえにトルコをEUへ加入させる道を開くことで合意に達した。トルコ首相アフメト・ダウトオールはトルコとEUの新しい関係の歴史的な始まりだとした。 この協定によってトルコはエーゲ海のパトロールと人身売買を行うギャング達の取り締まりを強化し、EU加盟国に受け入れを拒否された移民をトルコに連れ戻すことになっている。その見返りにEUは資金30億ユーロをトルコに提供し、トルコのEU加盟の公開交渉のためのサミットを開いていくことで合意した。EU首脳らはトルコのEU加盟に近道はないことを明確にしているものの、トルコ国民がEUにビザ無しで行くことを可能にするように努力していくことを誓っている。ダウトオールは「トルコのEU加盟は2016年に速度を増し、近い将来現実のものとなるだろう」と述べている。 「2015年欧州難民危機」も参照 ダウトオールは難民危機の対処に30億ユーロでは不十分だとしてEUに追加の資金提供を求めている。ダウトオールは、もしEUが難民危機に伴う痛みを本気で分かち合おうと考えているならば資金提供に関しての更なる会合を開く必要があると述べた。
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トルコのEU加盟
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「イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票」の記事における「トルコのEU加盟」の解説
トルコとEUの関係が緊密になるほどイギリスとEUの政治的距離は大きくなるかもしれない[誰によって?]。イギリスの欧州懐疑論者達はトルコのEU加盟はイギリスへの脅威だと考えている。イギリス独立党のように、人口が急増するトルコのEU加盟で(トルコが多くの投票権を持つことになり)欧州議会におけるイギリスの発言権が拡散して弱まるのだと論じる者達もいれば、デービッド・デービスのようにトルコのEU加盟によってトルコがジハーディストを容易に欧州に送り込むことが出来るようになると警告する者もいる。 2013年度の世論調査ではイギリスの有権者の約5割がトルコのEU加盟に反対している。トルコ市民に欧州でのビザ無し移動をする権利が与えられるべきかという質問に対しては6割近くが反対している。欧州委員会は2020年までEUに新規加盟する国はないと主張する。その主張がどれだけ現実的かはわからない。2016年3月、EUは2015年欧州難民危機に対処するためギリシャ・マケドニア間の国境を封鎖しつつ、トルコと協定を結び、欧州へ流入する不法移民をトルコへ強制送還する決定を下した。トルコは移民を引き受ける見返りとしてEUから資金を得る。トルコは既に30億ユーロの資金をEUから受け取っているが2018年までに追加の30億ユーロを得ることになっている。トルコへの送金60億ユーロのうちイギリスは5億ポンド負担することになった。それと同時に、トルコのEU域内へのアクセス権利についての交渉についても同意がなされた。トルコは72の規準のうち35を満たしていないが、これを満たせば2016年6月からシェンゲン圏にビザ無しで行き来できる。トルコのEU加盟も加速するかもしれないが、キャメロン首相は全てのEU加盟国が拒否権を持っているためにトルコのEU加盟はありえないとしている。最近の世論調査ではフランス人の4分の3がトルコのEU加盟に反対している。たしかに新規加盟については加盟国の全会一致の賛成が必要であるためイギリスには拒否権があるのだが、イギリスの拒否権は発動されそうにない。キャメロン首相がトルコのEU加盟を支持しているからである。 2016年4月下旬、内務大臣テリーザ・メイはトルコやバルカン諸国を組織犯罪・汚職・テロリズムと関係ある国とし、イギリス国民はEUが肥大化し続けるべきなのかどうか考えるべきだと述べた。 2016年5月上旬の段階ではトルコはEU側が提示した72の条件のうちの5つを満たしていなかった。だが欧州委員会は、トルコ国民にビザ無しでシェンゲン圏内を90日間移動できる許可を与えるための勧告を出した。この勧告は公式なものであり、EU側はそれら条件がすぐに満たされると考えているのだという。キャメロン首相はトルコのEU加盟には相当の時間がかかるとし、トルコのEU加盟は今回の国民投票に関連する案件ではないと述べた。その翌日、労働党党首ジェレミー・コービンは予定していたトルコのEU加盟推進のためのスピーチをキャンセルすることを余儀なくされた。トルコのEU加盟問題がEU残留派を利さないからである。 リチャード・ディアラブは、トルコにシェンゲン圏内ビザ無し渡航権をあたえることは火事の隣でガソリンを貯めるようなものだとして警告した。 デイヴィッド・オーウェン元外務大臣は、仮にNATO加盟国(でもありEUにも加盟している国)がトルコのEU加盟を拒否すればトルコがNATOを離脱しうると論じている。オーウェンは、イギリス人が避けるべき事態としてトルコのNATO加盟を危険にさらすことを挙げている。ISILの脅威に立ち向かわねばならない時に、(NATOにおいて)イギリスとトルコは互いを必要としているからである。オーウェンは、イギリスの最優先課題はNATOでの強い影響力を再確立することとトルコのNATO加盟を再確約させることだとし、もしNATOの同盟国がトルコに不誠実な態度をとればトルコのNATO加盟が盤石でなくなると考えている。 EUが課す条件を満たさなければトルコはEUに加盟できないという主張があるが、クロアチアはいくつかの条件を満たさないままEUに加盟したのであり、似たようなことがトルコの場合でも起こるだろうというような意見もある。 キャメロン首相は2010年の時点ではトルコのEU加盟には熱心だったが、2016年5月時点では大きくスタンスを変えてトルコのEU加盟は西暦3000年までは無いだろうと述べている。だがキャメロン首相の主張とは逆に、アンカラにあるイギリス大使館はトルコがEUに加盟するための手助けを継続させている。 2016年6月に、アンカラ駐在のイギリス外交官が書いたとされる秘密文書がサンデータイムズ紙にリークされた。リーク情報によれば、EU側がトルコ国民のシェンゲン域内のビザなし渡航を許可しない場合は、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がトルコにいるシリア難民などをEUに流入させるのだという。その外交官は、エルドアンを怒らせてEU・トルコ間の協定を空中分解させないためにも、イギリスはトルコの公務員とその家族ら150万人に対してイギリスへのビザなし渡航を許可する必要があると述べていた。内務大臣テリーザ・メイらはこのリーク情報は正しい情報ではないとした。メイらは共同声明を出し、シェンゲン協定参加国とトルコが締結する協定内容にかかわらず、イギリス政府の政策はこれまでと同様すべてのトルコ国民にビザを求めると述べた。 移民についてのEuropean CommissionerであるDimitris Avramopoulosが、2015年欧州難民危機だけでなく難民に関するEU・トルコ間の協定によっても両者の距離がより近くなると発言した。Avramopoulosによれば、トルコはEU加入のための条件を満たすためにEUと協調する強い意志があるのだという。 これに対し、ボリス・ジョンソンとマイケル・ゴーブはキャメロン首相に手紙を出し、トルコのEU加盟に拒否権を行使することやシェンゲン圏へのビザ無し渡航を停止させるよう求めた。離脱派は、トルコの出生率が高いためにトルコからイギリスに流入する移民の数が非常に多くなると考えており、国民保健サービスなどイギリスの公共サービスに大きな負荷がかかると論じている。 2016年の6月30日からトルコのEU加盟についての協議が再開されることが明らかになっている。2016年6月30日、EUはトルコのEU加盟についての新たなチャプター(財政・金融部門)を開いた。
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