基本イデオロギー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/14 16:36 UTC 版)
「ドイツ国家民主党」の記事における「基本イデオロギー」の解説
NPDは、バイエルン州内務省の見解によるとナショナリスティックで、ドイツ憲法に敵対的で、人種差別的であるが、対外的にはいわゆる民族多元主義を標榜している。現在の基本政策は、2010年に可決されたものである。 NPDはエスニック・ナショナリズムを基本政策として掲げている。それによると、人間の尊厳(ドイツ語版)は、あるひとつの民族(ein Volk)に所属していることにある。NPDは、人間一人一人ではなく民族を政策の中心に据えており、この点は民主主義的な政党とは異なっている。NPDの見解では、国家の責務は、民族に対して責任を担うことにあり、民族とは、エスニック・グループ(民族)と人種とが均しく調和していることである。 このような基本方針に基づいて、具体的な政治要求が作られている。外国の「ネガティブ」な影響からドイツを引き離すことは、その政治要求のひとつである。経済であれ政治であれ文化であれ、全ての生活領域はもっぱらナショナルなものでなければならない。「ドイツ人が晒されている過剰な多民族(マルチ・エスニック)化」と「過剰外国化(独: Überfremdung)」を阻止しなければならない、とNPDは主張している。そのためにNPDが要求しているのは、ドイツ人でない住民のドイツ連邦からの追放、ドイツマルクの復活、NATOやEUなどの国際同盟からの脱退、第二次世界大戦終結後ドイツに駐留しているアメリカ軍の撤退、難民保護法(ドイツ語版)の撤廃などである。さらにEUへ支払っている高額な分担金を批判し、トルコのEU加盟交渉(ドイツ語版)にも反対している。 NPDは「民族共同体の意思」の貫徹を掲げる権威主義国家に賛成している。NPDの綱領は、様々なナショナリズム的、反資本主義的な展望を取り上げている。国家社会主義の言葉遣いをしており、国家社会主義を連想させる。例えば、「ドイツ家族」とは、女性は主婦であり母親でなければならないとする、最も価値のある生き方である。主婦の活動が職業であることを法的に認識すべきである。経済政策の点では、「経済はドイツ国民に奉仕しなければならない」とか「全ての土地は国民の所有物である」と主張している。また、「強姦殺人、児童殺人、強盗殺人、無差別殺人の再犯や重度の麻薬中毒」の場合に対処するために、死刑を再導入するよう要求している。党は環境問題にも強い関心を持っており、有機農業に賛成しており、原子力発電、遺伝子工学、乱獲、外来種、工場式畜産、動物実験には反対している。もちろん、このような見解はナショナリズム的、人種差別的、「国家衛生的」な観点から引き出されている。NPDの外国人敵視、ホモフォビア、反ユダヤ主義(ドイツ語版)、ナショナリズムに基づいた社会モデル、ポピュリズム・反資本主義、権威主義的指導体制への信仰から、専門家たちは、NPDの基本綱領と1920年代から1930年代初期のナチスの基本綱領には類似性が見られると指摘している。このようにNPDはたんに特定の政策目標を達成したいだけなのではなく、民主主義的な法治国家・憲法国家という今日の支配システムを排除しようとしている。このため、NPDは憲法敵対者(ドイツ語版)と評価されており、1998年のバーデン=ヴュルテンベルク州憲法擁護庁報告書(ドイツ語版)のなかに、「国民抗議(ドイツ語版)第1回大会」のホルガー・アプフェル(ドイツ語版)の公開演説が見られる。それによるとアプフェルは、「ドイツの政治システムと根本的に戦い、根絶やしにする」唯一の組織政党はNPDであると演説した。「諸君、我々が毎年憲法擁護庁報告書に載って、体制に対して敵対的だと、憲法に敵対的だと、記述されていることを、我々は誇りに思っている。その通り、我々は憲法に敵対的なのです」。
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