スポ根ものの誕生とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > スポ根ものの誕生の意味・解説 

スポ根ものの誕生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 14:58 UTC 版)

スポ根」の記事における「スポ根ものの誕生」の解説

一般的にスポ根」の発祥となった作品元祖呼ばれる作品『週刊少年マガジン』1965年から1971年にかけて連載された『巨人の星』(原作梶原一騎作画川崎のぼる)である。 『週刊少年マガジン』4代編集長宮原照夫によれば、この作品1930年代人気獲得した吉川英治小説『宮本武蔵』のような一つの道を究めライバルとの対決打ち勝っていく人物主人公とする構想をもつ編集部と、アレクサンドル・デュマ・ペール小説モンテ・クリスト伯のような悲劇的な運命背負った人物主人公とする構想を持つ梶原とが結びついたことにより誕生した梶原によれば自身は元々は少年小説家志望し佐藤紅緑の『あゝ玉杯に花うけてのような作品手掛けたいと考えていた。漫画人気に押され少年小説がその役目終えようとしていた中、『週刊少年マガジン』第3編集長内田勝副編集長宮原から「大河小説代わる大河漫画」、『宮本武蔵』漫画版原作依頼されたことをきっかけ誕生したものとしている。 梶原には「クール」「ドライ」といった男性観賞賛された当時風潮への反発心があったといい、執筆にあたっては「とことんホットウェット」「カッコ悪い試行錯誤の繰り返しから磨かれ底光りする真のカッコよさ」を持つ人物描こうとした。これらの要素1960年代社会問題となっていた熾烈な受験競争後押しする教育ママ存在反映し人間教育には父親存在欠かせないものとし、「教育ママ対すアンチテーゼ」として父権的なキャラクター登場させ、主人公星飛雄馬と父・星一徹戦い葛藤物語の軸となった。 この作品は「一般社会普遍化できる生き方見本として、栄光目指し試練根性耐え抜く姿を野球世界借りて描いたもの」ともいわれる作画担当した川崎発案による過剰な表現手法や、原作を担当した梶原による大仰台詞まわし当時から批判の声もあったが、作品自体徐々に人気高め『週刊少年マガジン』部数100万部に押し上げた梶原は、その後柔道題材とした『柔道一直線』(作画永島慎二斎藤ゆずる)、プロレス題材とした『タイガーマスク』(作画辻なおき)、ボクシング題材とした『あしたのジョー』(作画ちばてつや)の原作務めた人生論的な要素が強い『巨人の星』とは異な趣向取り入れた梶原自伝によれば柔道一直線』では技と技の応酬といったエンターテインメント性に焦点当てる一方で立ち技優先傾向があった当時日本柔道界へのアンチテーゼを、『タイガーマスク』では往年の黄金バット』のプロレス版を標榜し善と悪二面性のあるヒーローを、『あしたのジョー』では『巨人の星』の主人公星飛雄馬のような模範的な人物へのアンチテーゼとして野性的な不良少年矢吹丈を主人公としアウトローぶりを意図した。 なお、梶原自身は「根性」「スポ根」という言葉にさほど価値見出しておらず、ミゲル・デ・セルバンテス小説ドン・キホーテ』に準え、「それを言うのならドン路線。すなわち、ドン・キホーテ男性路線とでも願いたい」と発言していた。この小説主人公騎士道物語熱中するあまり幻想囚われ従者連れて旅先騒動起こすといった内容であるが、ライター近藤正高は梶原真意について「はた目には滑稽に見えても、本人は真剣に巨大風車めがけて突撃していく、そうした姿こそが男の美でありロマンであると考えていた」と解釈している。 梶原主人公多くライバルとの戦い孤独の中で挑み時には両親師匠も敵となる。試合での勝利よりもライバルとの戦い価値追い求め、血のにじむ様な特訓重ね身体過度な負荷さらしながら道を究めようとする。『柔道一直線』の主人公一条直也のような一部例外はあるものの、『巨人の星』の星飛雄馬、『あしたのジョー』の矢吹丈、『タイガーマスク』の伊達直人をはじめ、その多く再起不能や死といった悲劇的な結末迎え競技表舞台から去っていく。 スポ根の手法は少女漫画にも伝播したが、このことは従来品行方正内向的な傾向強かった少女漫画作品世界競争原理導入した評されるバレーボール題材とした『アタックNo.1』(浦野千賀子)や『サインはV』(原作神保史郎作画望月あきら)では少年誌さながら必殺技応酬根性的な特訓描かれると共に、恋や友情家庭の問題思春期悩みといった少女漫画主要テーマ盛り込まれた。漫画評論家米澤嘉博は「スポーツものとは、ある意味肉体ドラマ」とした上でスタイル画ではない、動き肉体感じさせる『絵』を持たなければ表現できないジャンル肉体性を脱け落とした形では表現できなかっただろう」と評している。 これらの作品は「スポ根」の代表的作品評価されており、人気作品1969年前後次々とアニメ化テレビドラマ化された。

※この「スポ根ものの誕生」の解説は、「スポ根」の解説の一部です。
「スポ根ものの誕生」を含む「スポ根」の記事については、「スポ根」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「スポ根ものの誕生」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「スポ根ものの誕生」の関連用語

1
2% |||||

スポ根ものの誕生のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



スポ根ものの誕生のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのスポ根 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS