「あさかぜ3・2号」「瀬戸」用改造車
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「国鉄24系客車」の記事における「「あさかぜ3・2号」「瀬戸」用改造車」の解説
いずれも1989年から1990年初めにかけて「あさかぜ3・2号」(→「あさかぜ」・通称「下関あさかぜ」)、「瀬戸」のグレードアップに伴い改造された車両。両列車はそれまでの全車B寝台車のみの編成からA個室寝台車・ラウンジカー各1両を組み込む編成に変更され、全区間直流電化区間を走行することから、一部の編成については電源車のカニ24形を外してラウンジカーにパンタグラフを搭載し、架線から集電を行う方式となった。これらの車両は1990年初頭から同年3月のダイヤ改正までに順次使用開始された。 オハネフ25形300番台 (301 - 303) オハネフ25形に荷物室を設置した車両。「あさかぜ3・2号」「瀬戸」用編成のうち、電源方式をロビーカーのスハ25形からの架線集電に切り替えた編成では、カニ24形の連結が中止され、荷物輸送スペースを編成中に新たに設ける必要が生じたことから改造された。乗務員室側に荷重3 tの荷物室を新設し、従来の客用扉は荷物室用の扉として引き戸に変更し、デッキと客用扉を荷物室と客室の間に移設した。荷物室の新設で乗客が乗務員室に行くことができなくなったため、インターホンが設置された。荷物室の荷重はカニ24形に比べて縮小され、代わりに荷物室内に棚を設けている。荷物室は名目上は業務用室であるため、形式に荷物車を示す「ニ」は入らず、形式変更は行われなかった。また機関車からスハ25のパンタグラフの降下制御をするためのジャンパ栓が編成端のオハネフ25形と合わせて取り付けられた。 2005年の「あさかぜ」廃止により3両とも保留車となっていたが、2008年に全て廃車された。オハネフ25 134・135・141→オハネフ25 301 - 303 オロネ25形300番台 (301 - 305) オハネ25形100番台を改造した1人用A個室寝台車。国鉄時代に製造されたオロネ25形0番台に比べ、個室スペースの拡大を図り、10室を配置した。寝台にはリクライニング機能付きのものが使用されている。また車端部にはA寝台利用者専用のシャワー室を備えている。 「あけぼの」用改造車 スロネ24 550番台(551 - 553)と同様、ベッドと反対側の仕切が可動式となっており、こちらは2名の利用が可能である。 外観については、通路側の窓は車端近くの一部の窓が埋められた程度であるが、寝台側の窓は個室設置に伴い窓割が大幅に変更されている。 2005年の「あさかぜ」廃止にともない運用から外れ、同年中に303が、2008年に302と304がそれぞれ廃車されている。301・305は1998年に「瀬戸」の電車化により「日本海1・4号」へ転用されたが、2008年に「日本海」が1往復に減便されたことにより同年中に全て廃車され、廃区分番台となった。オハネ25 153 - 155・157・172→オロネ25 301 - 305 オハ25形300番台 (301 - 303) 1989年に12系のオハ12形の改造により登場したラウンジカー。 ロビー、シャワー室、サービスカウンターを備える。後述のスハ25形とは異なりパンタグラフ、静止形インバータ (SIV) などの電源設備は搭載されておらず、スハ25形でSIVが設置されているスペースはサロン室になっている。 外観上ではラウンジ部分に広幅の固定窓を新設するなど、窓割がほぼ全面的に変更されている。また屋根高さは12系のままであり他車とは一致しない。冷房装置は12系のAU13形を6基から3基に減らして設置している。 種車が横軽対策車であったため、改造後も車両番号表記の前に白丸(Gマーク)が入っている。これはスハ25形も同様。 1991年に1両(303)が電源関連設備を追加されスハ25形に再改造され、残った2両は「瀬戸」の電車化に伴って余剰となり廃車になった。オハ12 18・31・41→オハ25 301 - 303 スハ25形300番台 (301 - 303) 前述のオハ25形と同じく1989年に12系のオハ12形の改造により登場したラウンジカー兼電源車。 パンタグラフ、SIVの電源設備が設けられ、日本の客車としては1967年に登場した車両性能試験車のマヤ10形以来、特急用車両としては20系客車の電源車カニ22形以来のパンタグラフを持つ客車となった。なお同車の運用開始にあたり、JR東海から動力車ではない他社車両がサービス用に自社の電源(架線からの電気)を使用して通り抜けることに難色を示したため、JR東日本、西日本で調整を行っている。また緊急時に同車のパンタグラフを機関車側から降下させる機能を持たせることが必要となり、JR西日本下関運転所(現・下関総合車両所運用検修センター)に配置されているEF66形電気機関車とJR東日本田端運転所配置で品川運転所に常駐しているEF65形1000番台において、スハ25のパンタグラフ降下制御装置の設置と、EF66形には配線引き通し用ジャンパ栓の取り付け改造工事を実施した。 電源設備の他にオハ25形300番台同様のロビー室・シャワー室・サービスカウンターを備える。 外観的にはパンタグラフがあるほか、電源設備設置部分に窓がなく通気口があるのがオハ25形300番台との相違点である。屋根高さは12系のままであり他車とは一致しない。冷房装置は12系のAU13形を6基から3基に減らして設置している。 1991年にはオハ25 303に電源関連設備を追加してスハ25形へ編入している。 2005年の「あさかぜ」廃止により302と303が廃車、301が保留車となっていたが、2008年に301も廃車され、廃形式となった。オハ12 350・351→スハ25 301・302 オハ25 303→スハ25 303
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