《良いお年を》の敬語
「良いお年を」の敬語表現
「良いお年を」の敬語表現は、最もシンプルに表現する場合「良いお年をお迎えください」となるでしょう。「良いお年を」という挨拶自体が、「良いお年をお迎えください」を省略した表現です。友人や家族など、親しい関係にある人には「良いお年をお迎えください」では堅苦しすぎるため、「良いお年を」という表現となるのです。よって、上司や先生などの目上の人に対する挨拶には、省略を行わずに「良いお年をお迎えください」とするのが相応しいでしょう。「本年は大変お世話になりました」などのお礼の言葉も添えることで、より丁寧な表現となります。使用場面としては、12月の中旬から大晦日の前日にかけての挨拶となります。12月は別名の「師走」の名前のとおり、厄落としや1年の汚れを払うための大掃除や、年末の決算など、家庭でも仕事でも非常に忙しい時期です。よって、「良いお年をお迎えください」という表現には、「年末の忙しい時期を無事に乗り越えて、無事良い年を迎えられますように」と、年末の多忙さをいたわる意味が込められています。
「良いお年を」の敬語の最上級の表現
「良いお年を」の敬語表現である「良いお年をお迎えください」は、相手の立場を問わずに使うことが可能です。より丁寧な表現としたい場合は、「どうぞ良いお年をお迎えください」「良いお年をお迎えできますことをお祈り申し上げます」などのように、「どうぞ」をつけてより丁寧な表現にする、「お祈り申し上げます」を添えて年末の多忙さをいたわることをより明確化するのが適切でしょう。取引先とのメールなど、フォーマルな場においては丁寧な表現をさらに上乗せする形で表現することをおすすめします。「良いお年を」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「良いお年を」をビジネスメールや手紙で伝える場合は、結びの挨拶に用いるようにすると良いでしょう。例えば、通常は「何卒よろしくお願いいたします」とするところを、「本年は大変お世話になりました。どうぞ良いお年をお迎えください」に置き換えることが可能です。この1年の付き合いに感謝を述べつつ、年末の忙しい時期を乗り越えてほしいと相手をいたわり、新年を無事に迎えられることを祈る表現となります。また、来年の正月明けに顔を合わせることが確定している相手には、「新年にまたお姿を拝見できることを心待ちにしております。どうぞ良いお年をお迎えください」のように、来年に会うことを楽しみにしている旨を添えるとよいでしょう。なお、先方からのメールに「良いお年をお迎えください」とあった場合には、「○○さんもどうぞ良いお年をお迎えください」と返事を返すのが一般的です。「良いお年をお迎えください」には互いの年末の多忙さをいたわり、ねぎらうニュアンスがありますから、お互いに「良いお年をお迎えください」と伝え合うことで、どちらも気分よく年末を過ごし、新年を迎えることができます。
「良いお年を」を上司に伝える際の敬語表現
上司に対しては、急な人事異動や退職が無い限り新年以降も上司の下で働くことになりますから、「来年もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。どうぞ良いお年をお迎えください」と、来年の変わらぬ関係をお願いする言葉を付け加えるのがおすすめです。また、今年1年お世話になった感謝の気持も込めて、「今年1年、大変お世話になりました」「1年間ご指導ありがとうございました」のように、お礼の言葉も一緒に述べるようにするとよいでしょう。「良いお年を」の敬語での誤用表現・注意事項
「良いお年をお迎えください」という挨拶は、大晦日に使うのは適切ではありません。というのも、大晦日はすでに年末の用事が粗方終わっており、後は新年を待つだけ、という状況にあるからです。「良いお年をお迎えください」には、年末の忙しい時期を乗り越えられますようにというねぎらいとお祈りのニュアンスがありますから、すでに乗り越えた後の大晦日に使うにはタイミングを逸してしまっている挨拶となるのです。大晦日の挨拶としては、「来年もよろしくお願いします」が無難でしょう。また、「良いお年をお過ごしください」という表現は、「良いお年を」の敬語表現としては不適切とされています。「良いお年を」自体が「良いお年をお迎えください」を省略したものであるため、「良いお年をお過ごしください」と表現した場合、意味が通らなくなってしまうのです。ただし、「良いお年をお過ごしください」という表現は「来年1年間を良く過ごして欲しい」という意味合いを持つため適切であるという意見もあり、賛否両論の表現とも言えます。
さて、年末年始に際して、考慮が必要となるのが「喪中」の扱いです。近親者が亡くなった場合、遺族は最大で1年間の間喪に服す期間を設けます。この喪中においては、結婚式などの慶事や新年の挨拶などが自粛すべき事柄です。しかし、「良いお年をお迎えください」という挨拶に関しては、喪中の人が使っても問題はありませんし、逆に喪中の人に対して「良いお年をお迎えください」と挨拶しても構いません。実際、喪中の人から送られてくる喪中はがきにも、「どうぞ良いお年をお迎えください」の文言が書かれているケースがしばしば見られます。喪中の人に対して使う場合は、今年1年の悲しみや苦労を乗り越えて、どうか良い年を迎えて欲しいというねぎらいと祈りの意味合いとなりますから、喪中の人に対して使っても問題ないのです。ただし、どうしても気になる場合は「来年もよろしくお願いします」などの挨拶をするとよいでしょう。
「良いお年を」の敬語での言い換え表現
「良いお年を」の敬語の言い換え表現のひとつに、「良い年の瀬をお迎えください」というものがあります。使うタイミングとしては、大晦日まで1週間~数日の時点が適切でしょう。年の瀬は「慌ただしい1年の終わり」という意味があり、1年の残り数日をよく過ごして欲しい、という意味合いになります。「年末年始も健やかにお過ごしください」「何かとご多用とは存じますが、お気をつけて年末をお過ごしください」といった表現は、年末の慌ただしい時期を無事に乗り切ってほしいということをよりストレートな形で伝えている表現です。「良いお年を」の言い換えとしては適切な表現と言えるでしょう。
《良いお年を》の敬語
「良いお年を」の敬語表現
「良いお年を」はあいさつ語で、「お迎えください」を省略した形です。本来は、「良いお年をお迎えください」となります。普通の形は「良い年を迎えてくれ」です。「お迎えください」は「お」を伴った動詞「迎える」の連用形「お迎え」に補助動詞「ください」が付いて、相手に「迎えてほしい」と要望するときに使います。あいさつなので敬意を表する対象は自分があいさつをしている相手となり、敬語の種類は聞き手や話題の人に敬意を表する尊敬語です。「迎える」には尊敬語の特別な表現がないことから「お~なる」の形で尊敬語の「お迎え(になる)」を作ります。「ください」は「くれ」の尊敬語です。従って「良いお年をお迎えください」は、尊敬語を使った「良い年を迎えてくれ」の敬語表現となります。「良いお年を」だけの場合も、「年」に尊敬を表す「お」が付いていることから敬語表現です。「良いお年を」の敬語の最上級の表現
「良いお年を」の敬語の最上級の表現は、省略していない形の「良いお年をお迎えください」です。「良いお年を」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
文章は話し言葉よりも改まることから「良いお年を」をビジネスメールや手紙で使うときは、省略しない形の「良いお年をお迎えください」として文章の末尾に使います。その年の最後に送るメールなどに「この年の瀬は寒くなるとのことですが、お体に気を付けて良いお年をお迎えください」や、「来年も◯◯様とお仕事ができることを楽しみにしております。良いお年をお迎えください」などと添えます。「良いお年を」を上司に伝える際の敬語表現
「良いお年を」は省略された形なので、基本的には上司に対しては省略しない形を使いましょう。口頭で伝える際も、その年の最後に会ったときの別れぎわに「良いお年を」を伝えます。「本年はお世話になりました。良いお年をお迎えください」や、「来年もご指導をお願いします。良いお年をお迎えください」などのように伝えます。仕事納めの日の帰りぎわに、親しい上司に伝える際には省略した形の「良いお年を」でも問題ありません。同僚には省略した形で伝え、上司にだけ省略しない形を使うのはよそよそしいと感じる人もいるでしょう。逆に、自分だけ特別扱いされたと喜ぶ上司もいるかもしれません。上司の性格にもよりますが「良いお年を」は、あいさつ語として定着しており省略形で伝えたからといって非難する人はいません。敬語は関係性や状況を見ながら、人間関係を円滑にするために使うものです。「良いお年を」の敬語での誤用表現・注意事項
「良いお年を」は、その年の最後に会ったときに使います。文字の場合も、年の最後に出すメールなどに書きます。実際にいつが最後になるかはわかりませんが最後になると予想される場合に使うので、使い始める時期としては12月の中旬ごろからです。12月の13日から正月の準備を始める地方も多く、その日を基準にして使う場合もあります。使い始める時期は明確ではありませんが、使い終わりは12月30日とされています。12月31日には新年の準備が整っていると考えられることから、わざわざ「良いお年を(お迎えください)」という必要がないためです。大みそかのあいさつとしては、「来年もよろしくお願いします」などが良いでしょう。日常生活では目上に対してや、あまり親しくない場合には省略しない形の「良いお年をお迎えください」が良いとされています。「良いお年を」に対しては、「良いお年を」と返します。「良いお年を」は祝いの言葉ではないので、喪中でも使うことは可能です。自身が喪中のときにも使えるし、相手が喪中のときに使っても問題ありません。気になるようなら「来年もよろしくお願いします」を使います。「良いお年をお過ごしください」は、古い表現です。江戸時代は掛け売りが一般的で盆と年の瀬に売り掛け金を清算しており、年の瀬は多くの人がお金の工面に苦労していました。それも含めてあわただしい年末を無事に過ごせるようにと、「お過ごしください」を使っていた時期もあったようです。しかし現代では使われなくなっているので、使用を避ける方が無難です。
「良いお年を」の敬語での言い換え表現
「良いお年を」は、省略しない形の「良いお年をお迎えください」に言い換えることができます。親しい間柄でも、年末のあいさつとして改まって言うのは悪いことではありません。「今年もお世話になりました。良いお年をお迎えください」、「来年は一緒に旅行に行きましょう。良いお年をお迎えください」などのように使います。「良いお年を」の言い換えとしては、「良い年の瀬を」という言い方もあります。「良い年の瀬を」は、「良い年の瀬をお迎えください」を省略した形のあいさつ語です。「年の瀬」の捉え方には様々ありますが、「良い年の瀬を」として使うときは年が押し迫ってからと考えられます。使い方は「良いお年を」と同じです。「今年は色々ありましたが、良い年の瀬を」や、「来年は良いことがあるといいですね。良い年の瀬を」などのように使います。省略しない形を使うと「来年はお子さんも生まれるので、お父さんとしてがんばってくださいね。それでは良い年の瀬をお迎えください」、「大学の入学試験が近いので大変でしょうが、もうしばらくがんばりましょう。良い年の瀬をお迎えください」などのようになります。
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