泡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/03 15:06 UTC 版)
泡の生成と消滅
発泡・起泡の機構
泡は各種界面活性物質または界面活性剤の気・液界面への吸着によって生じる[2]。工業上は混和剤が用いられるが、混和剤には界面活性作用により気泡を物理的に導入する起泡剤と、化学的な反応を利用する発泡剤がある[4]。
- 圧力・温度の変化による泡
- 液体にかかる圧力を低下させたり、温度を上昇させたりすると、液体に溶け込んだ気体が泡となって放出される。さらに圧力を低下させたり、温度を上昇させると、液体自体が沸騰して泡を発生させる。
- ベーパーロック現象 - 自動車のブレーキにおいて、過熱によってブレーキ液の内部に蒸気(vapor)の泡が発生し、ブレーキが利かなくなる現象。
- キャビテーション
- スーパーキャビテーション
- 化学反応による泡
- 液体中で気体を発生させるような化学反応を起こすと、比重の小さい気体が上昇する過程で泡が発生する。料理においては重曹がこの目的で用いられる。また、アルコール発酵も気泡を生じさせるが、例えばパンのように、それをむしろ利用する例もある。
- 機械的操作による泡
- 攪拌機、泡立て器などで液体を攪拌することによって、空気を泡の形で液体に取り込む。あるいは、液体中に気体を吹き込むことで作る。空中で作ればシャボン玉になる。
物質の泡立ちやすさを起泡力という[2]。起泡力は一般には単位液体体積から得られる泡体積で表される[1]。また、泡の消えにくさを安定性(安定度)という[2][3]。泡の安定性には泡沫内にある薄い泡膜(ラメラ)の粘弾性が関与しており、液体粘度が高くなるほど泡も安定化する[3]。泡膜を構成する液体が膜内で重力の作用で流下しようとする現象を排液というが、排液は膜を薄く不安定化させるため、排液を防止することも泡を安定化させることになる[4]。
消泡・破泡・抑泡の機構
消泡あるいは泡消し(Deforming)は破泡(Foambreaking)と抑泡(Antiforming)に大別される[2]。破泡は既にある泡沫に破泡剤などを加えて泡を破壊することをいう[2]。抑泡は予め抑泡剤を添加するなどして泡立ちを防止することをいう[2]。
- ^ a b 田村隆光「起泡と消泡の試験法」『油化学』第42巻第10号、日本油化学会、1993年、737-745頁。
- ^ a b c d e f g h i j 小山内州一「泡の化学」『オレオサイエンス』第1巻第8号、日本油化学会、2001年、737-745頁。
- ^ a b c d e f g h 青木健二「泡の安定化と消泡機構に関する考察」『塗料の研究』第156号、関西ペイント、2014年、27-35頁。
- ^ a b c 阿久津兼二「起泡剤(アルミニウム粉末を含む)」『コンクリートジャーナル』第8巻第3号、日本コンクリート工学会、1970年、40-44頁。
- ^ Morgan 2008
- ^ Kooistra, Deshpande & Wadley 2004; Queheillalt & Wadley 2005;
- ^ Courtney 2005
- ^ 浅野康一『物質移動の基礎と応用』丸善、2004年、137頁。ISBN 4-621-07356-7。
- ^ 【動画】アラスカの湖からメタンの泡の悪循環「今は北極の冷蔵庫が開きっぱなし」と研究者ナショナルジオグラフィック日本版サイト(2016年9月5日)2018年5月13日閲覧。
- ^ イエローストーン国立公園の「Mudpots」アメリカ合衆国内務省ナショナルパーク・サービス(2018年5月13日閲覧)。
- ^ 「マグマの複雑な泡の構造が火山の爆発的噴火を促すことを解明」東北大学(2017年12月4日)2018年5月13日閲覧。
- ^ a b c 「マイクロ・ナノバブル水-微細な泡で植物を活性化 農業現場に浸透」『日本農業新聞』2020年1月13日(18面)
- ^ 【サイエンスview】小さな泡の大きな力■国際規格「0.1ミリ未満」■鮮度保持や汚れ洗浄『読売新聞』朝刊2018年4月29日(くらしサイエンス面)。
- ^ 一般社団法人 日本マイクロ・ナノバブル学会(2020年2月4日閲覧)
泡と同じ種類の言葉
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