泡 泡の概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/03 15:06 UTC 版)

液体が空気を含んで丸くなった例 煎れたてのコーヒー表面の泡

泡の種類

泡には気泡(Micro-foamまたはBubble)と泡沫(Macro-foamまたはFoams)がある[2][3]。気泡とは、液体中もしくは固体中にある気体の粒子をいう[3]。泡沫は多数の気泡が液面に浮上して塊を形成したもの[3](多数が薄膜を隔てて密集しているもの[2])をいう。気泡が一つの界面(一層の界面活性剤層)からなるのに対し、泡沫は二つの界面(二層の界面活性剤層)からなる[2][3]

また、構成気泡間の泡膜の種類により、液体泡沫(ビール、石鹸、泡消火剤など)、弾性泡沫(フォームラバー、樹脂スポンジ、マシュマロパンなど)、固体泡沫(気泡コンクリート、泡ガラス、軽石木炭ビスケットなど)に分けられる[4]

構造

多くの場合において、ひとつの'泡塊'(: foam)は、'多尺度系'(: multi-scale system)である。

浮表面の泡塊における泡粒のそろいかた。

一つの尺度は'泡粒'(: bubble)である:材料の泡塊はたいてい不ぞろいでありそして泡粒の大きさがまちまちである。巨視的には、理想化された泡塊の研究は、極小曲面と、空間充填とも呼ばれる三次元の充填数学的な問題に密接に関連する。プラトーの法則石鹸の膜(英語: soap filmsがいかに泡塊において形成されるかを記述するなかで、ウィア=フェラン構造は完全にそろった泡塊のもっとも可能な(最適の)単位胞と考えられる[5]

泡粒よりも小さな尺度では、膜層英語版: lamella)と呼ばれるつなぎ合わされた膜のネットワークを考えることのできる、準安定状態の泡塊におけるその膜の厚みである。理想的には、プラトー境界として知られる、その結合点において120°の角度で膜層は稜辺を合する。

さらに低い尺度は膜の表面の液‐気界面である。ほとんどの場合この界面は、しばしば界面活性剤、(ラムスデン乳剤の)粒子、またはもっと複雑な結合子によってできた両親媒性分子構造の層により安定化される。

固体泡塊の力学的性質

開細胞または閉細胞の、固体泡隗は、細胞構造の部類として考えられる。これらはしばしば'蜂の巣構造'(: honeycomb)や'トラス格子'(: truss lattice )のようなほかの細胞構造と比較される、下位の接点結合を有する、したがって、それらの崩壊機構は部材の曲げによって引き起こされる、低接点結合と崩壊機構の結果は終局的に、それらの下位の機械的強度と、蜂の巣構造とトラス格子に比較される剛性に導く[6]

弾塑性泡塊

泡隗のような、弾塑性の細胞固体は圧縮され、最初細胞壁が曲がるようにして弾性的に挙動し、その細胞壁が反るにつれ、細胞壁が一緒に壊れる材料的な崩壊までの終局の、そのときまで材料としての強度低下と降伏がある[7]。これらは、急勾配の線形弾性領域、降伏(高原応力)後の'なだらかな'(: shallow)領域、および指数的に増大する領域のような、'応力‐歪曲線'(: stress-strain curve)においてみられる。開細胞の泡塊についての係数が次の方程式によって定義される、線形の弾性の領域において材料の'剛性'(: stiffness)が計算できる:

線形弾性、細胞壁降伏、および細胞壁崩壊のものである、段塑性泡塊の図式的な応力‐歪曲線。単位体積あたりのエネルギー割合を記述する曲線における領域では、泡塊はエネルギーを吸収する。

ここには固体構成要素の係数、は蜂の巣構造の係数、は1に近い値をとる定数、は蜂の巣構造の密度、およびは固体の密度である。


  1. ^ a b 田村隆光「起泡と消泡の試験法」『油化学』第42巻第10号、日本油化学会、1993年、737-745頁。 
  2. ^ a b c d e f g h i j 小山内州一「泡の化学」『オレオサイエンス』第1巻第8号、日本油化学会、2001年、737-745頁。 
  3. ^ a b c d e f g h 青木健二「泡の安定化と消泡機構に関する考察」『塗料の研究』第156号、関西ペイント、2014年、27-35頁。 
  4. ^ a b c 阿久津兼二「起泡剤(アルミニウム粉末を含む)」『コンクリートジャーナル』第8巻第3号、日本コンクリート工学会、1970年、40-44頁。 
  5. ^ Morgan 2008
  6. ^ Kooistra, Deshpande & Wadley 2004; Queheillalt & Wadley 2005;
  7. ^ Courtney 2005
  8. ^ 浅野康一『物質移動の基礎と応用』丸善、2004年、137頁。ISBN 4-621-07356-7 
  9. ^ 【動画】アラスカの湖からメタンの泡の悪循環「今は北極の冷蔵庫が開きっぱなし」と研究者ナショナルジオグラフィック日本版サイト(2016年9月5日)2018年5月13日閲覧。
  10. ^ イエローストーン国立公園の「Mudpots」アメリカ合衆国内務省ナショナルパーク・サービス(2018年5月13日閲覧)。
  11. ^ 「マグマの複雑な泡の構造が火山の爆発的噴火を促すことを解明」東北大学(2017年12月4日)2018年5月13日閲覧。
  12. ^ a b c 「マイクロ・ナノバブル水-微細な泡で植物を活性化 農業現場に浸透」『日本農業新聞』2020年1月13日(18面)
  13. ^ 【サイエンスview】小さな泡の大きな力■国際規格「0.1ミリ未満」■鮮度保持や汚れ洗浄『読売新聞』朝刊2018年4月29日(くらしサイエンス面)。
  14. ^ 一般社団法人 日本マイクロ・ナノバブル学会(2020年2月4日閲覧)






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