泡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/03 15:06 UTC 版)
泡の形状と挙動
液中における気泡の形状はその大きさによって以下のように変わる[8]。
また、比較的小さな気泡はほぼ直線的に上昇運動するが、ある程度大きくなると螺旋状に上昇し、さらに大きくなると不規則な振動をしながら上昇する。
安定性
不安定化
ビトルド・リブジンスキー(英: Witold Rybczynski )とジャック・アダマール(英: Jacques Hadamard)は、泡粒(英: bubble)の表面の半径がであるという仮定のもとで、泡塊(英: foam)の中を上昇する泡粒の速度を計算する方程式を展開した。cm/sの単位の速度で
である。 とは順に気体と液体のg/cm3の単位の密度、とは順に気体と液体のg/cm·sの単位の粘度(英: dynamic viscosity)であり、 はcm/s2の単位の重力加速度である。
しかし、液体の密度と粘性が気体のそれよりもとても大きければ、気体の密度と粘性は無視でき、この場合の上昇する泡粒についての新たな方程式は次のようである:
しかし、泡粒上昇についてのより精確なモデルが示されてきた実験によれば
である。
自然界における泡
水面の泡は、風による水面の攪乱(波)や激しい水流(潮流や滝壺など)によって生じる。
このほか、水中・水底の有機物から発生した腐敗ガスや、水底の土中に閉じ込められていたメタンガスが泡を形成したり[9]、火山などによる高い地熱で水たまりや泥たまり[10]、マグマ[11]が泡立ったりする現象も見られる。
体液を利用して泡を作り、これを活用している生物に、アサガオガイやアワフキムシがある。卵を守るために泡で巣を作る例もある。ベタなどは水面に浮かぶ泡の層に卵を含ませ、モリアオガエルは樹上に体液をかき混ぜて作った泡の塊を作り、その内部に産卵する。
渓流においては、滝壺などに見られる細かい泡の堆積地で泡を採集し、顕微鏡下で観察すると、ここに水中の微小な顆粒が捕らえられており、特に水生不完全菌の胞子が多量に見られることが知られている。専門の研究者はよくこれを採集の試料として用い、ここから胞子を拾い出して培養することを試みる。
- ^ a b 田村隆光「起泡と消泡の試験法」『油化学』第42巻第10号、日本油化学会、1993年、737-745頁。
- ^ a b c d e f g h i j 小山内州一「泡の化学」『オレオサイエンス』第1巻第8号、日本油化学会、2001年、737-745頁。
- ^ a b c d e f g h 青木健二「泡の安定化と消泡機構に関する考察」『塗料の研究』第156号、関西ペイント、2014年、27-35頁。
- ^ a b c 阿久津兼二「起泡剤(アルミニウム粉末を含む)」『コンクリートジャーナル』第8巻第3号、日本コンクリート工学会、1970年、40-44頁。
- ^ Morgan 2008
- ^ Kooistra, Deshpande & Wadley 2004; Queheillalt & Wadley 2005;
- ^ Courtney 2005
- ^ 浅野康一『物質移動の基礎と応用』丸善、2004年、137頁。ISBN 4-621-07356-7。
- ^ 【動画】アラスカの湖からメタンの泡の悪循環「今は北極の冷蔵庫が開きっぱなし」と研究者ナショナルジオグラフィック日本版サイト(2016年9月5日)2018年5月13日閲覧。
- ^ イエローストーン国立公園の「Mudpots」アメリカ合衆国内務省ナショナルパーク・サービス(2018年5月13日閲覧)。
- ^ 「マグマの複雑な泡の構造が火山の爆発的噴火を促すことを解明」東北大学(2017年12月4日)2018年5月13日閲覧。
- ^ a b c 「マイクロ・ナノバブル水-微細な泡で植物を活性化 農業現場に浸透」『日本農業新聞』2020年1月13日(18面)
- ^ 【サイエンスview】小さな泡の大きな力■国際規格「0.1ミリ未満」■鮮度保持や汚れ洗浄『読売新聞』朝刊2018年4月29日(くらしサイエンス面)。
- ^ 一般社団法人 日本マイクロ・ナノバブル学会(2020年2月4日閲覧)
泡と同じ種類の言葉
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