分析論とは? わかりやすく解説

分析論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/05 22:46 UTC 版)

ホメーロス問題」の記事における「分析論」の解説

1795年フリードリヒ・アウグスト・ヴォルフホメーロス叙事詩全集第一巻編集したラテン語序論中でヴォルフホメーロス叙事詩テクスト伝承詳述することに力を入れたその際ヴォルフ古代同時代ホメーロスに関する論争をすべて分析し諸論争を体系化して、既に知られていた生成理論個々部分から一つ仮説打ち立てた。この仮説方法論的かつ新規的なものであったため、ヴォルフ序論学問として文献学基礎として通用するものになっているヴォルフ理論基本古代初期の数世紀間には文字存在しなかったという事実である。文字通じたテクスト固定化が行われず、口頭による再現し知られていなかった時代ホメーロス生きていた以上、ホメーロスあらすじの基的ライン(つまり確実に主要と言える中心部分)しか考え得なかったであろう、とヴォルフは言う。ラプソダイがこのようにして現前した基本構造口述拡張し紀元前6世紀アテーナイペイシストラトス手稿使ってテクスト固定化全体作らせるまで、文面変わった作品基本構想に従ってさらに変容させた、と。このためヴォルフは、イーリアスオデュッセイア多数詩人たちの共同創作である、というところから出発したのであり、彼によって狭義ホメーロス問題発展するための一撃加えられることになったのであるヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテはこの仮説その時代への影響について1821年に"Tag- und Jahresheften"中で以下のように描写している。「その教養ある人間性はもっとも深い部分興奮させられのである。最も高度に意義深い論敵の諸根拠論破し得なかったとしても、そういった人間性は、それ程素晴らしいものの起源であるところの源泉について考えるという、古来意識衝動を自ら完全には消し去ることはできなかった。」)。 ヴォルフ理論はやがて反論を受けることになった1871年には初期ギリシア語に文字存在したことが紀元前740年頃の出土品から証明されている)が、これに続く分析的なホメーロス文献学に、原-叙事詩つまり起源詩句を、今に伝わっているテクストから言語的文体的に及び構造的に基礎付けられた分析通じて濾過するという契機与えたカール・ラッハマン1793年1851年)はそのようにしてイーリアス10から14個別の歌に分解している。アドルフ・キルヒホフによっては、オデュッセイアの中で一人編纂者によって「へたくそ結合させられた」二つの詩が識別された。 既にこの時代まで統一論下記)との論争続けてきた分析論は、1916年にはウルリヒ・フォン・ヴィラモーヴィッツ=メレンドルフによってその最高点達した。ヴィラモーヴィッツの中心的な関心事は、オリジナル中核部分に何層にも渡って加えられてきたテクスト追加部分再構成すること(ヴィラモーヴィッツは四人編者について語っている)、さらにそうすることで「原-イーリアス」を現前する叙事詩から救い出すことであった。ヴィラモーヴィッツはホメーロス中に紀元前750年頃に既に存在していた複数トロイア伝説素材円環による詩を、アキレウスの怒りという決定的な構想の下で構成した一人詩人見出していた。こうしたホメーロスの「原-イーリアス」は、複数詩人による四段階の編集過程に於いて後に変えられてしまった、とヴィラモーヴィッツは言う。叙事詩統一はラッハマンに於いてはテクスト発展最後にヴォルフに於いては最初に設定されていたのであるが、その後のヴィラモーヴィッツはこの統一中間置いたということになる。詩人の名前「ホメーロス」は後に、イーリアスより多く原草稿や拡大部からなるオデュッセイアの上冠されたものである、とも彼は主張する。このテーゼこのように具体的なレヴェル証明することは困難であるが、言語的文体的文化的な考察に基いて、オデュッセイアはおそらく二世代を含む期間(約50年間)にイーリアスよりも遅く起草された可能性が高い、とは言われている。オデュッセイア言語はより新しい形、より軽やかな流麗さを示しているし、オデュッセイアでは比喩使用イーリアスとは逆に強く限定されている。また、様式イーリアス比べるとあまり力強く英雄的な領域結び付けられはおらず、より小さな人生領域沈んでいるのである1947年からはヴィリー・タイラーによって、1952年からはペーター・フォン・デア・ミュール(1885年1970年)によって、分析主導された。ミュール二人異なった古代起草者の存在根底置いている。その内の古い方(ミュールによってホメーロスとされた)が原-草稿を著し新しい方が紀元前6世紀現存版を編集拡張した、とミュールは言う。

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