統一論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/05 22:46 UTC 版)
統一論はホメーロス研究では少数派であったし、今でもそうである。近代においては、イーリアスの作者はホメーロスだったが、オデュッセイアは別人、場合によってはより若い世代の人物によって書かれた、とする立場が支配的であった。1933年、フェリックス・ヤコービーは双方の詩の共通の構成要素を示唆することで統一論に反論した。1938年には、統一論的なアプローチが、一人の根底の著者を前提とするヴォルフガング・シャーデヴァルトによって進められた。シャーデヴァルトは、叙事詩的な語りという手段を使った観察(両方の叙事詩に共通して用いられている手法のこと。例えば、遅延、つまりあらすじの展開を遅らせること、高揚のテクニック、絡み合いのための努力、遡及や先行解釈は、シゃーデヴァルトの議論の中の数例に過ぎない)や、文体論的方法による観察を主に用いることによって立論し、双方の叙事詩で場面が対応していることを示した。 おそらく、シャーデヴァルトは起源に立つ両方の叙事詩の著者を前提にしたのであろうが、叙事詩の生成理論に際しては、ホメーロスのみが叙事詩形成に参加したというような意見を代表するものではない。シャーデヴァルトの理論はフォン・デア・ミュールの理論と大部分で一致しており、二人の古代詩人を前提としているのである。それ故、シャーデヴァルトは統一論と新分析論の中間に立っているのである。
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