分枝と繁殖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/22 23:08 UTC 版)
ジャガイモの塊茎から生じた芽. 芽は葉腋 (鱗片葉痕を伴う窪み) から生じる. Kabuyea hostifolia (テコフィレア科) の球茎. 毎年更新され、上部がより新しい. 地上茎と同様に、地下茎の分枝も基本的に側方分枝である。ハラン (キジカクシ科) などでは、根茎が主軸となり、側枝として地上茎を生じていく。つまりこの場合、地下茎の分枝は単軸分枝である。レンプクソウ (レンプクソウ科) でも同様であるが、この場合は前年分の地下茎が枯死する点で異なる。一方、アマドコロ (キジカクシ科) などでは、地下茎主軸の先端が地上茎となり、その基部の側枝が地下茎として伸長していく (右図)。つまりこの場合、地下茎の分枝は仮軸分枝である。地下茎では仮軸分枝するものが多い。 例外的に、ヒカゲノカズラ植物の地下茎はその地上茎と同様、二又分枝をする。二又分枝は同等に分枝する場合もあるが、一方が明らかに優勢で主軸状になることもある (二又性仮軸分枝)。 多年生草本では、生育不適期 (冬など) に地上部は枯れてしまい、地下茎がその期間を耐えしのぎ、その後再び地上部を生じる生活史をもつものタケニグサ(ケシ科)が多い。また母軸が枯死するなどして地下茎が分断すると、これらは新たな個体となることで栄養繁殖を行う (右図)。さらに毎年地下茎の一部が切り離され、そこから新しい地上部が形成されるが、母体は枯死する草本もあり、分離型地中植物 (separated geophytic plant) とよばれる。分離型地中植物にはトリカブト (キンポウゲ科)、ミズタマソウ (アカバナ科)、モミジガサ (キク科) などがある。 球茎や塊茎、鱗茎では、毎年新しいものが形成される場合 (更新型;アネモネ、ジャガイモ、チューリップ、ニンニクなど) と、更新されることなく同じものが持続する場合 (非更新型;シクラメン、ヒヤシンス、タマネギなど) がある (右図)。また球茎や塊茎では、側枝が伸びてその先端が肥大する例 (ジャガイモなど) と、側枝がすぐに肥大する例 (サトイモなど) がある。後者の場合、"親イモ"と"子イモ"が密接している。
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