分析試薬としての応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 07:03 UTC 版)
「ニトロプルシド」の記事における「分析試薬としての応用」の解説
ニトロプルシドは塩基性条件下でアセトンまたはクレアチンと反応することが1882年に発見された。水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いるその方法は改良されてアンモニアを用いる様になった。この反応は現在ではメチルケトン特異的であることが知られている。アンモニウム塩(硫酸アンモニウム)を添加する事でも感度が改善される。 ロゼラ試験法(Rothera's test)として知られるこの反応では、アルカリ性条件下でメチルケトン(CH3C(=O)-)が鮮赤色を呈する(ハロホルム反応も参照)。ロゼラ試験は当初ケトン尿(英語版)(糖尿病の症状の一つ)の検出に使用された。現在では尿試験紙(英語版)に使用されている。 ニトロプルシドは、ニトロプルシド反応を応用してメルカプタン(チオール基)を検出する事もできる。これを応用した、シアン-ニトロプルシド試験またはブランド試験法(Brand's test)と呼ばれる尿試験法がある。この試験ではまず青酸ナトリウムを尿に加えて10分静置する。この時ジスルフィドが青酸で破壊され、シスチンからシステインが、ホモシスチンからホモシステインが生成する。次いでニトロプルシドを尿に加えるとジスルフィド由来のチオールと反応して赤紫色を呈し、尿中アミノ酸の存在(アミノ酸尿(英語版))が示唆される。システイン、シスチン、ホモシステイン、ホモシスチンは全てこの反応で陽性となる。この試験は、二塩基性アミノ酸の輸送経路の病態から生じるシスチン尿症(英語版)などのアミノ酸トランスポーターの先天異常を検出することができる。 ニトロプルシドはアミンの検出にも応用できる。この場合はニトロプルシドは薄層クロマトグラフィーの呈色試薬として利用されたり、違法薬物などのアルカロイド推定試験に応用される。シモン試液(英語版)と呼ばれるニトロプルシドナトリウム-アセトアルデヒド水溶液で被験物質を溶き、2倍容量の炭酸ナトリウム水溶液を加えると、二級アミンが存在する場合は青色を呈する。法化学で頻出する二級アミンは3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA、“エクスタシー”の主成分)やメタンフェタミンなどのフェネチルアミンである。
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