フェネチルアミンとは? わかりやすく解説

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フェネチルアミン

分子式C8H11N
その他の名称フェネチルアミン、Phenethylamine、2-Phenylethylamine、ω-Phenylethylamine、ω-フェニルエチルアミン、β-Phenylethylamine、Benzeneethanamine、β-Phenylethanamine、2-Phenyl-1-ethanamine、2-Phenylethan-1-amine、2-Phenylethanamine、2-Aminoethylbenzene、(2-Phenylethyl)amine
体系名:ベンゼン(エタンアミン)、(2-フェニルエチル)アミン、2-フェニル-1-エタンアミン、2-フェニルエタン-1-アミン、2-フェニルエタンアミン、2-アミノエチルベンゼン、2-フェニルエチルアミン、β-フェニルエチルアミン、ベンゼンエタンアミン、β-フェニルエタンアミン


フェネチルアミン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/29 13:22 UTC 版)

フェネチルアミン
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
法的規制
  • なし
投与方法 経口
薬物動態データ
代謝 MAO-AMAO-B、PNMT、ALDH、DBH、CYP2D6
半減期 ~5-10 分
識別
CAS番号
64-04-0 
PubChem CID: 1001
IUPHAR/BPS 2144
ChemSpider 13856352 
UNII 327C7L2BXQ 
ChEBI CHEBI:18397 
ChEMBL CHEMBL610 
NIAID ChemDB 018561
別名 フェニルエチルアミン、2-フェニルエタノールアミン、β-フェニルエタノールアミン、1-アミノ-2-フェニルエタン
化学的データ
化学式 C8H11N
示性式 C6H5(CH2)2NH2
分子量 121.18 g/mol
物理的データ
沸点 195 °C (383 °F)
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フェネチルアミン (phenethylamine) は、アルカロイドに属すモノアミンである。フェニルエチルアミン (phenylethylamine) とも呼ばれる。この群に属する物質は向精神作用がある物質が多い。

ヒトの脳において神経修飾物質や神経伝達物質(微量アミン)として機能するとされている。無色の液体で、空気にさらすと二酸化炭素 (CO2) と反応して炭酸塩を形成する。天然ではアミノ酸であるフェニルアラニン酵素脱炭酸によって合成される。食物の中にも存在し、特にチョコレートなど微生物発酵したものに多く見られる。そのような食物を多量に摂取すると、含まれるフェネチルアミンによって向精神薬のような効果が得られるとする者もいるが、モノアミン酸化酵素 (MAO-B) によって速やかに代謝されるため脳に高濃度のフェネチルアミンが集積することはない。

フェネチルアミン誘導体には広範・多様な化合物が含まれ、神経伝達物質、ホルモン覚醒剤幻覚剤、エンタクトゲン (entactogens、「内面的なつながりをもたらすもの」の意味。共感性を起こす)、食欲低下薬、気管支拡張薬抗うつ薬などに用いられる。

フェネチルアミン骨格はより複雑な化合物の部分構造としても現れ、LSDエルゴリン環やモルヒネのモルフィナン環などがその例である。

フェネチルアミン誘導体

フェネチルアミン誘導体の一般構造

フェニル基、側鎖、アミノ基に化学的修飾を受けた誘導体がフェネチルアミン誘導体として知られる。

アンフェタミンはフェネチルアミンの類縁体であり、側鎖上にアミノ基に隣接する α-メチル基を持っている。さらに窒素上がメチル化されるとメタンフェタミンとなる。

カテコールアミンはフェニル基の3位と4位にヒドロキシ基 (−OH) を持つフェネチルアミン誘導体である。ホルモンおよび神経伝達物質のレボドパドーパミンノルアドレナリンアドレナリンはカテコールアミン類である。

芳香族アミノ酸フェニルアラニンチロシンはα位にカルボキシル基 (−COOH) を有するフェネチルアミン誘導体である。

誘導体の一覧

フェネチルアミン類のうち重要なものを以下の表に示す。簡略化のため側鎖の立体化学は含めない。単純な誘導体は数百種類存在するが、これはアレクサンダー・シュルギンによる先駆的研究による所が大きく、彼の仕事のほとんどは著書『ピーカル』(原題:PiHKAL: Phenethylamines I Have Known And Loved: A Chemical Love Story)で記述されている。

略称 Rα Rβ R2 R3 R4 R5 RN 名称
チラミン OH 4-ヒドロキシフェネチルアミン
フェニルアラニン COOH β-カルボキシフェネチルアミン
チロシン COOH OH β-カルボキシ-4-ヒドロキシフェネチルアミン
レボドパ COOH OH OH β-カルボキシ-3,4-ジヒドロキシフェネチルアミン
ドロキシドパ OH COOH OH OH β-カルボキシ-α,3,4-トリヒドロキシフェネチルアミン
ドーパミン OH OH 3,4-ジヒドロキシフェネチルアミン
ノルアドレナリン OH OH OH α,3,4-トリヒドロキシフェネチルアミン
アドレナリン OH OH OH CH3 α,3,4-トリヒドロキシ-N-メチルフェネチルアミン
イソプロテレノール OH OH OH CH(CH3)2 4-(1-ヒドロキシ-2-(イソプロピルアミノ)エチル)ベンゼン-1,2-ジオール
サルブタモール OH CH2CH2OH OH C(CH3)3 4-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール
アンフェタミン CH3 β-メチルフェネチルアミン
メタンフェタミン CH3 CH3 N-メチルアンフェタミン
レブメタンフェタミン CH3 CH3 N-メチルアンフェタミン … メタンフェタミンの立体異性体
エフェドリン
プソイドエフェドリン
OH CH3 CH3 N-メチル-α-ヒドロキシアンフェタミン
カチン OH CH3 α-ヒドロキシアンフェタミン
カチノン =O CH3 α-ケトアンフェタミン
メトカチノン =O CH3 CH3 N-メチル-α-ケトアンフェタミン
ブプロピオン =O CH3 Cl C(CH3)3 3-クロロ-N-tert-ブチル-α-ケトアンフェタミン
フェンフルラミン CH3 CF3 CH2CH3 3-トリフルオロメチル-N-エチルアンフェタミン
フェンテルミン (CH3)2 α,α-ジメチルフェネチルアミン
メスカリン OCH3 OCH3 OCH3 3,4,5-トリメトキシフェネチルアミン
MDA CH3 -O-CH2-O- 3,4-メチレンジオキシアンフェタミン
MDMA CH3 -O-CH2-O- CH3 3,4-メチレンジオキシ-N-メチルアンフェタミン
DOM CH3 OCH3 CH3 OCH3 2,5-ジメトキシ-4-メチルアンフェタミン
DOB CH3 OCH3 Br OCH3 2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミン
DON CH3 OCH3 NO2 OCH3 2,5-ジメトキシ-4-ニトロアンフェタミン
2C-B OCH3 Br OCH3 2,5-ジメトキシ-4-ブロモフェネチルアミン
2C-C OCH3 Cl OCH3 2,5-ジメトキシ-4-クロロフェネチルアミン
DOI CH3 OCH3 I OCH3 2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン
2C-I OCH3 I OCH3 2,5-ジメトキシ-4-ヨードフェネチルアミン
2C-D OCH3 CH3 OCH3 2,5-ジメトキシ-4-メチルフェネチルアミン
2C-E OCH3 CH2CH3 OCH3 2,5-ジメトキシ-4-エチルフェネチルアミン
2C-N OCH3 NO2 OCH3 2,5-ジメトキシ-4-ニトロフェネチルアミン
2C-T-2 OCH3 SCH2CH3 OCH3 2,5-ジメトキシ-4-エチルチオフェネチルアミン
2C-T-4 OCH3 SCHCH3CH3 OCH3 2,5-ジメトキシ-4-イソプロピルチオフェネチルアミン
2C-T-7 OCH3 SCH2CH2CH3 OCH3 2,5-ジメトキシ-4-プロピルチオフェネチルアミン
2C-T-8 OCH3 SCH2C3H5 OCH3 2,5-ジメトキシ-4-シクロプロピルメチルチオフェネチルアミン
2C-T-9 OCH3 SC(CH3)3 OCH3 2,5-ジメトキシ-4-tert-ブチルチオフェネチルアミン
2C-T-21 OCH3 SCH2CH2F OCH3 2,5-ジメトキシ-4-(2-フルオロエチルチオ)フェネチルアミン
誘導体の構造式 左上はノルアドレナリン。

薬学

モノアミン神経伝達物質と構造が類似するため、置換フェネチルアミン類の多くは薬理活性を持つ。

外部リンク


フェネチルアミン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 02:03 UTC 版)

脱法ドラッグ」の記事における「フェネチルアミン」の解説

詳細は「フェネチルアミン」を参照 フェネチルアミン骨格を持つ薬物は、フェネチルアミン系と呼ばれるトリプタミン系と同様、多数薬物がフェネチルアミン系である。アンフェタミンは日本の法律覚醒剤に、メスカリン、MDMA、MBDB(英語版)、2C-B(英語版)、2C-T-7(英語版)などは日本の法律麻薬指定されている。興奮作用をもつ覚せい剤や、幻覚剤のMDMAのデザイナードラッグである。 フェネチルアミンの化学構造 アンフェタミンは、日本では覚醒剤で、興奮作用がある。 ブプロピオン医薬品だが共通した骨格有するためイギリス包括的な指定から除外される必要が出た。 MDMAは、愛のとして知られ典型的な幻覚剤とは異なり親密さ対人関係能力共感力を増強する日本では麻薬。 5-APDB(英語版)、2014年から日本では指定薬物メスカリンは、幻覚剤で、音が見え共感覚といった、知覚歪みのような幻覚もたらされる天然存在する物質で、国際的に規制され日本では麻薬

※この「フェネチルアミン」の解説は、「脱法ドラッグ」の解説の一部です。
「フェネチルアミン」を含む「脱法ドラッグ」の記事については、「脱法ドラッグ」の概要を参照ください。

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