キノリンとは? わかりやすく解説

キノリン【quinoline】

読み方:きのりん

ベンゼン環ピリジン環が縮合した構造複素環式化合物特異臭のある無色液体コールタールから得られ、また合成もできる。には不溶染料合成原料分析試薬利用


キノリン

分子式C9H7N
その他の名称ヒノリン、キノレイン、1-ベンゾアジン、ベンゾ[b]ピリジン2,3-ベンゾピリジン、Quinoline、Chinoleine、1-Benzazine、Benzo[b]pyridine、2,3-Benzopyridine、Benzazine、Chinoline
体系名:キノリン


キノリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/19 15:39 UTC 版)

キノリン[1]
識別情報
CAS登録番号 91-22-5 
PubChem 7047
ChemSpider 6780 
UNII E66400VT9R 
EC番号 202-051-6
国連/北米番号 2656
KEGG C06413 
MeSH Quinolines
ChEBI
ChEMBL CHEMBL14474 
RTECS番号 VA9275000
バイルシュタイン 107477
Gmelin参照 27201
3DMet B00959
特性
化学式 C9H7N
モル質量 129.16 g/mol
外観 無色の油状液体
密度 1.093 g/mL
融点

−15℃

沸点

237℃

への溶解度 わずかに溶ける
溶解度 アルコール、エーテル、二硫化炭素に溶ける
酸解離定数 pKa 4.85 (共役酸)[3]
磁化率 −86.0·10−6 cm3/mol
熱化学
標準生成熱 ΔfHo 174.9 kJ·mol−1
危険性
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
Hフレーズ H302, H312, H315, H319, H341, H350, H411
Pフレーズ P201, P202, P264, P270, P273, P280, P281, P301+312, P302+352, P305+351+338, P308+313, P312, P321, P322
NFPA 704
1
2
0
引火点 101 °C (214 °F; 374 K)
発火点 400 °C (752 °F; 673 K)
半数致死量 LD50 331 mg/kg
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

キノリン (quinoline) は分子式 C9H7N、分子量 129.16 の複素環式芳香族化合物の一種である。その構造を、1-アザナフタレン1-ベンズアジンベンゾ[b]ピリジンと表すこともできる。無色で吸湿性の油状物質で、強い臭いをもつ。

水にはわずかしか溶けないが、多くの有機溶媒に容易に溶ける。光が当たる場所で長期保存すると、キノリンは黄色に、さらに褐色へと変色する。

キノリンは色素、高分子、農薬の製造において、合成中間体として用いられる。保存剤、消毒剤、溶媒としても利用される。

キノリンは有毒である。キノリンの蒸気に短時間さらされると、鼻、眼、喉に炎症を生じ、めまいと吐き気を催す。長期間さらされた場合の影響ははっきりと知られてはいないが、肝臓の損傷との関係が疑われている。

毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている[4]

消防法による第4類危険物 第3石油類に該当する[5]

存在と合成法

キノリンは、コールタールの中に発見され、そこから1834年にF.ルンゲによる最初の抽出が行われた。

キノリンは以下に示す手法で合成できる。

Combes 合成
アニリンと 1,3-ジケトンから生じるイミンを酸で環化させる。
Conrad-Limpach 合成
アニリンとβ-ケトエステルを用いる。
Doebner-Miller 反応
アニリンとα,β-不飽和カルボニル化合物を用いる。
Friedländer 合成
2-アミノベンズアルデヒドとアセトアルデヒドを用いる。
Skraup 合成
ニトロベンゼン硫酸のもとに、グリセロールとアニリンに硫酸鉄(II)を作用させる[6]。詳細はスクラウプのキノリン合成を参照。
Povarov 合成
アニリン、ベンズアルデヒドと活性アルケンを用いる。
Camps 合成
o-(アシルアミノ)アセトフェノンを塩基により環化させる。
Knorr 合成
β-ケトアニリドから酸のもとで (1H)-キノリン-2-オンを得る。
Gould-Jacobs 反応
アニリンとエトキシメチレンマロン酸エステルとの縮合環化。

参考文献

  1. ^ QUINOLINE (BENZOPYRIDINE)”. Chemicalland21.com. 2012年6月14日閲覧。
  2. ^ Nomenclature of Organic Chemistry : IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). pp. 4, 211. doi:10.1039/9781849733069-FP001. ISBN 978-0-85404-182-4. "The name ‘quinoline’ is a retained name that is preferred to the alternative systematic fusion names ‘1-benzopyridine’ or ‘benzo[b]pyridine’." 
  3. ^ Brown, H.C., et al., in Baude, E.A. and Nachod, F.C., Determination of Organic Structures by Physical Methods, Academic Press, New York, 1955.
  4. ^ 毒物及び劇物指定令(昭和40年1月4日政令第2号)第2条第22号の4 - e-Gov法令検索
  5. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  6. ^ Clarke, H. T.; Davis, A. W. Org. Synth., Coll. Vol. 1, p.478 (1941); Vol. 2, p.79 (1922). オンライン版

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