陣形および戦術とは? わかりやすく解説

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陣形および戦術

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 05:10 UTC 版)

大陸軍 (フランス)」の記事における「陣形および戦術」の解説

ナポレオン優れた戦略家として知られており戦場に立つとカリスマ的であったが、戦術発明家でもあった。彼は何千年もの間使われてきた古典的な陣形戦術組み合わせ、さらにフリードリヒ大王斜角陣形ロイテンの戦い使われた)や、革命初期国民皆兵Levee en masse軍隊使われ群衆戦術といったより新しいものを取り入れたナポレオンの戦術は高度に流動的柔軟性があった。対照的に敵の軍隊多く固定的な戦列Linear戦術陣形執着していた。戦列戦術とは歩兵集団単純に戦列をなし一斉射撃を交わすもので、戦場敵軍打撃与えるか、側面から包囲するものであった戦列陣形側面からの攻撃に弱いものであるので、敵の側面衝くように部隊操作するのが高等戦術考えられていた。これが成功するとしばしば敵は撤退する降伏したその結果、このやり方固執する指揮官側面安全にすることに重点を置き、強い中衛後衛部隊を回すことがあった。ナポレオンが度々やったことは、この戦列考え方逆手にとることであり、側面攻撃をする振りをしたり、あるいは敵に自軍側面が餌であるよう見せてアウステルリッツの戦いや後のリュッツェンの戦い実践された)、自軍主力を敵の中央進めさせ、戦列割って入り追い詰めてしまった。 ナポレオンは常に彼の近衛からなる力部隊を温存しておき、戦況うまくいっているときは止めを打つために、うまくいていない時は流れを変えるために投入した。 より有名で広く使われ効果的かつ興味ある陣形戦術下記に示す。 横隊Ligne基本的な3階層の横隊組んだ陣形歩兵騎兵一斉射撃行ったり、正面攻撃を行うときに適していたが、動き比較鈍く側面からの攻撃弱かった行軍縦隊(Colonne de Marche軍隊急な動き持続する移動、および正面攻撃には最善隊形であったが、集中できる火力少なく側面攻撃待ち伏せ砲撃および突入には弱かったV字形隊形(Colonne de Charge) 鏃(やじり)あるいは穂先の形をした騎兵陣形急速に接近したり敵の戦列を破るために考案された。歴史的にもよく使われ効果のあった陣形であり、今日でも戦車隊使っている。しかし突進止められた時やタイミング失った時にその側面への反撃に弱い。 攻撃縦隊(Colonne d'Attaque) 歩兵の広い縦隊であり、戦列縦隊組み合わせであった軽装歩兵散兵線で敵を混乱させたり、縦列での前進排斥するために用いられた。縦隊接近する散兵側面防御し縦隊一斉射撃銃剣による攻撃行った通常の薄い戦列陣形には効果的な陣形であった攻撃縦隊フランス革命初期フランス軍使った群衆」あるいは「大群戦術から発展した。その欠点火力集中度が劣り大砲攻撃に弱いことだった。 混成陣形(Ordre Mixte) ナポレオン好んだ歩兵隊形である。複数部隊多く連隊大隊)が戦列陣に配置され、その背後や間に縦列攻撃部隊配するのだった。これは戦列火力速度組み合わせ縦列攻撃部隊の行う混戦散兵戦利点もたらした多少欠点もあったが、この戦術成功させるためには、砲兵騎兵支援が特に重要だった散兵(Ordre Ouvert) 歩兵騎兵部隊毎にあるいは個兵毎に散開する戦術。この戦術軽装部隊散兵部隊には効果的だった。この戦術では丘やのある荒れた地形では特に移動速度速く散開しているので敵の攻撃に対して防御面で有効だった。その欠点一斉射撃のような手段がなく、接近戦場合は特に騎兵弱かった方陣(Carre) 騎兵対す歩兵古典的防御陣形兵士中空四角形構成し、1辺は3層ないし4層とする。士官砲兵騎兵中に入る歩兵にとっては最も防御適した陣形であり、特に丘の頂上下り坂面している時、有効だった。 この陣形では動き緩慢になり、固定され目標とされることがあった。その密度濃くすると大砲攻撃弱くそれほどまでではないにしても歩兵銃撃にも弱かった。この陣形がいったん壊れると完敗に終わる傾向があった。 空飛ぶ砲兵大隊(Batterie Volanteフランス砲兵移動性能と訓練生かした隊形一つ大隊戦場のある地点移動し短時間で鋭い砲撃行い続いてまた荷車積んで別の地点移動し攻撃加え、といった操作繰り返すものであった多く大隊がこの攻撃組み合わせ集積していくことで、敵の戦列壊滅的な打撃与えた騎乗砲兵隊はこの戦術に特に適していた。ナポレオン初期方面作戦でこの戦術使い大きな成果得た。この戦術柔軟性で、攻撃加えたい目標素早く攻撃集中できた。この戦術は特別の訓練を必要とし、また砲兵と馬が整然と行動できるように密接な指揮連携を必要とした。 大砲兵大隊Grande Batterie) もう一つ砲兵戦術であり、空飛ぶ砲兵大隊使えない時に用いられた。 大砲単一急所となる地点多くは敵の中央)に集中するのである。敵が恐怖捕らわれたり陣形崩れると大きな損害与えられた。ただし、敵の情報不足したままで単一地点多く砲火合わせることには細心の注意を払わなければならなかった。いったん砲門開き目標明確になると、照準合わせ直すことで上記のことを回避できた。この戦術は敵の大砲からの反撃弱く騎兵攻撃対す防御必要だった。これがフランス砲兵の最も良く知られ戦術であったが、ナポレオン空飛ぶ砲兵大隊の方を好み、この戦術を使う必要のある時、あるいは使った方が成功機会増える思われ時のみに、この戦術使った戦闘の開始時点で、ナポレオン多く砲兵大隊をさらに大きな大砲兵大隊にして、集中砲火浴びせその後にそれを解いて空飛ぶ砲兵大隊変えた初期方面作戦ではあまり使われなかったが、大陸軍の馬の数や砲兵の質が落ちてくると、この戦術を使う機会を増やさざるを得なかった。 イノシシの頭Tete du Sanglier) 複合した陣形であり、混成陣形似ているところもあるが、三軍歩兵騎兵砲兵)がV字のような方形に組むもので、集中攻撃防御場面で使われた。歩兵最前線短く何層にも厚く隊形組み、これをイノシシの鼻とした。その後ろに2組砲兵隊を置き、イノシシの目とした。側面最後尾斜角陣で縦列横列方形陣の歩兵イノシシの顔を作った。さらに側面後ろを守るのが2組騎兵隊であり、イノシシの牙の役目果たした。 高度に複雑な陣形であり、容易にまた急速に組めるものではなかった。いったん組まれると、牙を除いて動き緩慢であった。しかし、伝統的な方形陣よりも動き速く砲兵歩兵攻撃に対して防御堅かった。牙は強い攻撃能力持っていた。 後の1830年代1840年代行われた北アフリカ制圧ではこの戦術効果的に用いられ1920年代まで使われていた。

※この「陣形および戦術」の解説は、「大陸軍 (フランス)」の解説の一部です。
「陣形および戦術」を含む「大陸軍 (フランス)」の記事については、「大陸軍 (フランス)」の概要を参照ください。

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