違反が発覚した事案とその対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 07:12 UTC 版)
「越境通学」の記事における「違反が発覚した事案とその対応」の解説
2008年1月 虚偽の住民登録による越境入学を禁止している名古屋市の名古屋市立守山北中学校で、顧問教諭の勧誘や本人の希望で7人の男子バレーボール部員が転校・入学し、教諭の紹介で同部卒業生の住所に住民票だけを移し守山区外から通学していたことが発覚。同部は前年の全国中学校体育大会に初出場、優勝していた。市教委が是正を指導した結果、一部の生徒は転校した。また顧問を務めていた男性教諭は自ら勧誘していたことが重大視され戒告処分された。 2008年1月 名古屋市立若水中学校で、生徒21人が住民票だけを学区内に移し越境通学していることが発覚。ほぼ全員に当たる20人が全国優勝経験のある女子バスケットボール部顧問の指導を受けるためだった。2006年9月に校内で発覚した際に学校側は是正を指導したが、保護者らがこれに応じなかったという。 2008年3月 名古屋市教育委員会は、名古屋市の上記2件と時期を同じくして名古屋市立原中学校の男子バスケットボール部顧問の女性教諭についても不正な越境通学を容認していたとして文書訓告をしている。 2008年2月 松戸市内の市立中学校で、女子バレーボール部に所属する複数生徒が住民票だけを移して市外から越境通学していることが発覚。市教委の定める特殊事情には当たらず本来は認められないとされたが、生徒の教育環境を考慮し暫定的に通学継続が認められた。 2015年12月 姫路市内のスポーツ強豪で知られる公立中学校で、学区内に住民票を移し実際は学区外から通学している可能性のある生徒が19人いたことが判明。同校で発生した部活動内での暴行傷害事案を調査する過程で判明した。1名については市が定める校区外からの通学許可基準に該当したため今回の発覚を受け許可を申請。その他の生徒については保護者から提出された文書にある住所を基に市教委が訪問調査したところ居住が確認されなかった。またこれとは別に最大で6人の生徒が校区内にある顧問の教え子宅に下宿していることも分かった。学校側は前年4月には把握していたが市教委には報告していなかった。3年生の多くは卒業が近かったことから越境通学を例外的に認めた。残りの生徒については、その後の家庭訪問で校区に住む保護者や親戚、知人などの下で生活している事が確認され「疑いのあった越境通学は是正された」とした一方で、「下宿も公立にはそぐわない。教育委員会として対応する」ともしている。 2017年4月 三重県教育委員会は、野球やサッカーなどのスポーツ強豪県立高校5校で県教委の規則に違反して受け入れているとして改善を指導したと発表した。内訳としては四日市中央工業高校で24人、朝明高校で13人、菰野高校で6人、四日市工業高校で4人、いなべ総合学園で2人の計49人。いずれも県内転入の証明書類を出願時に提出していたが、実際には転入しておらず、生徒は保護者のいない民間が経営する寮で集団生活、もしくはアパートでの1人暮らしをしていた。最多で違反が発覚した四日市中央工業の教頭は取材に対し「有望な人材を集める目的ではなかった」などと主張している。 2017年5月 三重県教育委員会は、上記で報告された不正件数を計8校116人に修正した上で、違反に関しては「6月中には解消する」とした一方、人道的立場から暫定的に規制を緩和することで一定の条件を満たせば規律違反を容認するとも発表、翌年度の入学志願者に限り生徒に配慮して同措置、平成31年度以降についても同様の条件で容認する可能性も含めて協議・検討に入ることも明らかにしている。内訳としては、四日市中央工業サッカー部42人、名張高校の柔道部19人、朝明高ラグビー部17人、菰野高の野球部15人、いなべ総合学園の野球部とサッカー部計12人、四日市商業高校テニス部とバスケットボール部の計7人、白山高校の野球部と所属なし計3人、相可高校の調理部1人。出身については最多の愛知県52人の他、大阪や長崎など15都府県に渡った。この件に関しては、教職員から県内就職先を紹介し働きかけたことや、保護者らがそれに応じなかったこと、寮やアパートの他、新たに親権者ではない親族を隠れ蓑にしていたことなども併せて発覚。該当生徒のほぼ全てが不正の理由を部活動として挙げている。また、多くの教員が不正を知りながら『長年の慣例』として黙認していたことや、県教委が越境入学の発覚直後に「実態調査はしない」と拒否していたなど学校や県教委側の多くの問題も指摘されている。多くの教員が黙認していた事にくわえ、中には積極的に働きかけていた者もいたにも拘らず、県教委が「教員個人ではなく組織の責任」として個々の教職員を不処分とをしたこともあり、違反者数の多さや世間の反応に反して、現段階での実質的処分は当時の高校教育課長1人への厳重注意のみに留まっている。 以上の越境生徒受け入れ問題を踏まえ、三重県教委は、水産科のない府県からの水産高校志願のみが対象だった県外からの入学を、特定の部活動希望者や人口減少地域の高等学校の県外枠を設けることで、2019年度入学生より拡大した。なお、前記の高校では、テレビドラマ『高校生レストラン』で食物調理科が著名になった相可高校は県外枠が設定されなかったが、他の高校は越境生徒受け入れ実態に対応した県外枠を設定している。 2022年2月、静岡県で、サッカー部を中心とした運動部員に越境入学者が多数いることが判明。該当校は静岡県立藤枝東高等学校など。
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