諸権益の回収とは? わかりやすく解説

諸権益の回収

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/29 13:47 UTC 版)

国権回復運動 (中国)」の記事における「諸権益の回収」の解説

中国における領事裁判権撤廃交渉は、1902年の英清通商航海条約改正交渉、および1903年の清米条約日清追加通商航海条約などに遡ることができる。これらにおいて列強中国治外法権撤廃原則的に同意する一方で撤廃条件留保しており実際撤廃につながることはなかった。1902年蔡元培らによって設立され中国教育会設立主旨には「中国男女青年教育し、彼らの知識開き、そして、彼らの国家概念促進し、もって他日国権回復基礎となす」と記述された。辛亥革命により中華民国成立した1912年以降も、1919年のパリ講和会議1921年ワシントン会議などでも繰り返し撤廃要求提示された。 1925年12月にはワシントン会議にもとづく治外法権委員会召集されたが、列強当初から消極的であり中国司法不整備などを理由撤廃要求事実上拒否した。この1925年五・三〇事件など中国ナショナリズム高揚した年であり不平等条約撤廃法権回復運動国民政府および北京政府対外基本要求となった北伐後の国民政府蔣介石政権)は、高まる中国ナショナリズム背景国権回復運動展開し対外的には強硬な撤廃要求提示しつつも漸進主義採用した回収すべき国権とは具体的には、 治外法権領事裁判権)の撤廃 関税自主権確立 鉄道権益回収 外国人租界租借地回復 外国軍隊の撤退 などである。 1929年12月28日治外法権撤廃宣言公知後、1931年5月管轄外国人実施条例提示するなど国民政府不平等条約無効一方的に宣言する外交方針採用した。しかし、これらの宣言中華民国外交的実力見合わぬ強弁留まる段階であり、言辞上で強く出る一方で実質においては引き続き各国交渉して円満な解決を図る方針がとられた。 欧米諸国北伐の完成により、それまで北洋政府正統政府とし派遣していた外交使節蔣介石政府派遣し事実上この政権中華民国正統政府承認し外交関係開設したが、日本政府奉天派北京政府後継とみなし対華21カ条要求継続(有効)を主張していた。 日中間(日清間)の通商条約ある日通商航海条約についても規定上の改訂期間が訪れた1926年10月北京政府条約改訂日本側に打診していたが、1928年北京政府に代わって中国掌握した蔣介石南京国民政府7月19日一方的に破棄通告日本側はこれを拒否して継続宣言する事態となっていた。その後日本側から対立悪化懸念する声が上がり1929年浜口雄幸内閣成立し幣原喜重郎外相対中宥和政策転換することで改訂交渉が行われ、1930年民国19年昭和5年3月12日日華関税協定仮調印され、同年5月6日締約され中国側関税自主権回復された。イギリス・アメリカ合衆国1928年承認していた。ただし関税収入対外債務償還担保として押さえられたままであった1931年以降国定税率による輸出入税が導入されるようになったものの、1949年中華人民共和国成立まで中国では税関管理職務には外国人雇用していた。また外国人の行う貿易については治外法権問題影響し事実上課税できない状態が続いていた。 治外法権については、イギリスとは1931年6月5日治外法権撤廃旨とする条約草案仮調印され、アメリカ同じよう条約案を7月起草した。しかし実際に満州事変および日中戦争の勃発太平洋戦争への拡大などの時節経たのち英米による治外法権撤廃1943年民国32年昭和18年)のこととなった1943年1月9日汪兆銘首班とする南京国民政府アメリカ合衆国・イギリス両国対し宣戦布告した同日、「大東亜共栄圏」を掲げ日本汪兆銘政権との間に租界還付治外法権撤廃協定結んだ1月11日米英蔣介石政権との間で不平等条約による特権放棄する条約結んだ。これにより中国は、中立国フランスヴィシー政権以外のあいだに結ばれていた不平等条約をすべて解消することとなった日本政府また、南京駐在ヴィシー政府代表に連絡して上海共同租界行政権汪兆銘南京政府還付させることに成功した。 こうして中国1842年道光22年)に清国イギリスむすんだ南京条約以来主権不平等の状態がようやく解消されのである

※この「諸権益の回収」の解説は、「国権回復運動 (中国)」の解説の一部です。
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