論評など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 04:23 UTC 版)
「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」の記事における「論評など」の解説
産経新聞 産経新聞は次のように論じている。 占領期に連合国軍総司令部 (GHQ) が実施した「戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画」(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムと同義)は、今も形を変えて教育現場に生き続けている。(中略)文芸評論家の江藤淳は著書『閉された言語空間』の中で次のように書いている。いったんこの(GHQの)検閲と宣伝計画の構造が、日本の言論機関と教育体制に定着され、維持されるようになれば、(中略)日本人のアイデンティティと歴史への信頼は、いつまでも内部崩壊を続け、また同時にいつ何時でも国際的検閲の脅威に曝され得る 1999年(平成11年)7月21日に自死した江藤の「予言」は、不幸にも現実のものとなろうとしている。 高橋史朗 高橋史朗明星大教授は、 東京裁判が倫理的に正当であることを示すとともに、侵略戦争を行った日本国民の責任を明確にし戦争贖罪意識を植えつけることであり、いわば日本人への『マインドコントロール計画』だった」と論じている。 有山輝雄 有山輝雄は、『閉された言語空間』の新刊紹介で、第一次資料によって占領軍の検閲を明らかにした先駆的研究であるとしながらも「著者の主張に結びつけるための強引な資料解釈も随所に見受けられる。また、占領軍の検閲に様々な悪の根源を押しつける悪玉善玉史観になっているが、これは現在の政治状況・思想状況への著者の戦術なのであろう」と評した。 山本武利 山本武利は、江藤の占領研究について、占領軍の検閲方針を示した第一次資料をGHQ関係資料によって検証した先駆的な仕事であると評価した。Robert Jacobsによれば、山本は江藤の著書の重要性を認めながらも1996年の『占領期メディア分析』で江藤に反論し、降伏以前に日本当局による検閲が横行していた反面、米国による検閲に対しては日本の左翼[誰?]が抵抗したという事実を江藤は無視したと、山本は述べたとしている。 秦郁彦 秦郁彦は、江藤の「歴史記述のパラダイム規定…言語空間を限定し、かつ閉鎖した」や、高橋の「日本人のマインドコントロール計画」などの主張に対して、「果たしてそんな大それたものか」「江藤の論調は必然的に反米思想に行きつく」と否定している。秦は米留学中の江藤の体験談を引用しながら、江藤が「日米関係にひそむ『甘えの構造』に早くから気づ」いており「それを最大限に利用していたよう」だと論評。江藤の論は「アメリカ製の公文書を引き合いに、陰謀の『証拠固め』に乗り出した」、「相手が中国や朝鮮半島であれば厄介な紛争を招きかねないが、アメリカなら聞き流すか笑いにまぎらすだけ」の「陰謀説」であり、このような「(日米の協調と同盟の関係を)対米従属と見なし、『甘えても怒られない』(怒ってくれない)のを承知の上で反発する論調」は今後も絶えないだろうと述べている。 賀茂道子 賀茂道子は、日本は「無条件降伏」したにも拘わらず、日本軍による捕虜虐待と占領地での住民虐殺(バターン死の行進、南京虐殺、マニラの虐殺など)などの残虐行為に対し、日本側が全く反省の色が無いばかりか、外務省が原爆投下批判の国際世論を形成するために、在外公館を通じてプロパガンダを行おうとしていた。その対抗策として「ウォーギルトインフォメーションプログラム」が行われたのであり、それは連合国側からすれば当然であろうと述べている。
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