ちょうせい(調整)ルーム
調整ルーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 17:08 UTC 版)
競馬の公正確保を目的として外部の第三者との接触を防ぎ、騎手の体調管理を行うため、競馬騎乗予定の騎手が原則として騎乗前日21時より入ることを義務づけられている施設。1965年の山岡事件を契機に、アメリカのシステムを参考に全国の競馬場に設置された。ただし地方競馬の場合、南関東地方競馬のように連日開催が続く地域ではこれでは騎手がほとんど帰宅できなくなってしまうため、別途自宅待機の制度を定めている地区もある。 なお、中央競馬では2020年4月から5月および同年9月以降、新型コロナウイルスの感染リスクの軽減・分散を理由に特例的な措置として、JRAが認めた自宅やホテルなど所定の場所を「認定調整ルーム」とし、騎乗当日に「認定調整ルーム」から競馬場への移動を認める運用が当面の間、継続的に実施されている。 中央競馬の場合、各競馬場の他、栗東・美浦両トレーニングセンターに設置されている。トレセン調整ルームは、騎乗予定の競馬場が府中・中山の場合は美浦、中京・京都・阪神の場合は栗東の施設が利用可能。この場合、早朝の調教で騎乗した後、マイカーもしくはJRAが手配したタクシーで騎乗予定の競馬場に移動する。 通常は一般に公開される事はないが、2019年1月20日放送のフジテレビの番組「馬好王国〜UmazuKingdom〜」にて、福永祐一・藤田菜七子の案内で中山競馬場の建物内が公開されている。ここではそれをまとめたものである。 入室制限入室出来るのは、騎手・JRA職員・施設運営の業者のみ。 馬主・調教師等の厩舎関係者・家族等も一切入室禁止。 騎手も一度入室したら、翌朝まで建物から出る事が一切禁止される(トレセンの場合は早朝の調教のみ外出可能)。 貴重品入れ(セーフティボックス)財布、腕時計、携帯電話等通信機器をこの暗証番号付きロッカーに入れる。特に通信機器は、外部との接触を完全に遮断する為、持ち込みが禁止され、インターネットの使用も禁止されている。その為、レース終了後までここに預ける事になる。 トレセンの場合は競馬場への移動がある為、一度返却され、競馬場に到着次第、再度預ける。 通信対応でなければゲーム機やポータブルDVDプレーヤー等の持ち込みは可能。 食堂兼娯楽室夕食と朝食をここで取る。日替わり定食や一品料理等が外部より格安で提供され、郷土料理が出る競馬場もある(例:中京競馬場で出る味噌煮込みうどん)。昼食はジョッキールームに併設された食堂で取る。 入る時間が21時までにと他の公営競技に比べて遅い為、外で夕食を取ってから調整ルームに入る者も。 飲食物はアルコールも含め、外部からの持ち込みも可能(競輪など他の公営競技では、ドーピング防止の観点から、生物やアルコール類など外部からの持ち込みが禁止されている競技もある )。幸英明は菓子類、ミルコ・デムーロは納豆を持ち込んで食べている(食堂でも売っている)。 財布を預けている為、料金は菓子・ドリンク類を含め、レース終了後、帰宅前に精算する。 食堂には「お祝い冷蔵庫」という儀式がある。これはGIを制した騎手が宿舎に対して飲み物の差し入れをし、他の騎手が冷蔵庫の中から自由に取って飲むというもの。ジュースやビールが中心で、費用はケース単位でGI勝利騎手が負担。 娯楽室にはテレビと将棋盤、各新聞社から提供される一般紙・スポーツ紙・競馬新聞等が置かれている。 居室全て個室である(他の公営競技は、競輪・オートレースは4人部屋の相部屋がほとんど。競艇は2~3人一部屋で就寝スペースのみ個室の半個室型)。 畳四畳半にテレビと布団とテーブルだけの簡素なもの。エアコンとインターホン完備。 騎手の好みに応じて、和室と洋室(ベッド付き)、禁煙・喫煙が選択出来る。外国人騎手は洋室を選ぶ事がほとんどであるが、ミルコ・デムーロなど和室を選ぶ者もいる。 浴場体重を調整するためのサウナも完備されている。 その為、室内の温度・湿度は高めに設定されている。
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