西武 旅するレストラン 52席の至福
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「西武4000系電車」の記事における「西武 旅するレストラン 52席の至福」の解説
西武 旅するレストラン 52席の至福は、4009編成を改造した全席レストランの観光電車である。2015年6月に開発の着手が発表され、当列車の開発は「西武鉄道100年アニバーサリー」の集大成と位置付けられた。同年12月に愛称やロゴマークなどを含む概要が発表され、翌2016年3月22日に4009編成が武蔵丘車両検修場を出場、試運転や関係者の見学会を経て、4月17日に運行を開始した。なお、同日池袋駅で行われる予定だった出発式は、九州地方で発生した地震(熊本地震)を鑑みて中止された。運行開始からしばらくは池袋駅 - 西武秩父駅間、西武新宿駅 - 西武秩父駅間の行路で運転されていたが、12月17日に初めて本川越駅発着のプラン(本川越駅を出発後新宿線内を周遊して同駅に戻る行路と、本川越駅→西武新宿駅の行路)が催行された。 「西武 旅するレストラン 52席の至福」の愛称は、当編成の定員が52人であることに由来し、コピーライターの谷山雅計が担当。アートディレクターの古平正義が担当したロゴマークは、愛称の「52」にちなんでトランプの柄に見立てられており、スペードには「水」、ダイヤには「紅葉」、クローバーには「緑」と「至福」、ハートには「乗客とスタッフの気持ちが通う空間と時間に・・・・」という思いが込められている。なお、このロゴは商標登録されている(登録第6048676号 西武ホールディングスとそごう・西武の共同出願)。 また、列車の出発時と到着時に流す車内メロディの作曲は向谷実が手掛けた。この他、総合プロデュース・オペレーションは株式会社NKB、外装・内装のデザインは建築家の隈研吾が担当。埼玉県西部産西川材や柿渋和紙を使った天井 などで高級感を演出している。設計・製作は総合車両製作所が行い、工期は2015年9月 - 2016年3月で総工費は3億円。 各車両の形式、車両番号に変化はないが、形式称号が52型とされている。 改造点は以下の通り。 外装は沿線の風景に溶け込むよう空色基調に、荒川の水と四季をイメージしたデザインがラッピングされた。 内装は渓谷などの自然がモチーフとされ、沿線の伝統工芸品や地産木材が使用された。 1号車以外の床は、特注の住之江織物のタイルカーペットが使用された。 2・4号車では車内とデッキの仕切りに秩父銘仙が使用された。 運転台にあった監視カメラ用のモニタが撤去された。 床下機器に新設、移設があったため、重量バランスをとるために3号車などに鋼板製のバランスウェイトが搭載された。 1号車(クハ4009) 多目的車両。外装のイメージは「春:芝桜、長瀞の桜」。 車内の中央は多目的室となった。車内の2号車寄りにはテレビモニタが設置された。乗務員室後ろには「こども用展望ステップ」が設けられた。既存のトイレは撤去され、車椅子対応トイレと男性用トイレが設置された。あわせて車体妻部にあった換気扇カバーは撤去された。 2号車(モハ4109) 客室車両。4人用の座席が4卓、2人用の座席が5卓の計26席。外装のイメージは「夏:秩父の山の緑」。 車内中央はダイニングスペース、1号車寄りの車端部はギャラリー、3号車寄りのドアはエントランスホール、同車端部は業務用スペースと荷物置き場になった。車内の両端にテレビモニタが1台ずつ設置された。 既存の天井や照明器具は撤去され、柿渋和紙を貼ったアーチ状の天井とLEDの間接照明となった。なお、和紙には特殊な不燃処理が施されている。テーブルはローマタイルジャパン社製(4号車も同様)。 3号車(モハ4110) キッチン車両。外装のイメージは「秋:秩父連山の紅葉」。 クローズドキッチンとオープンキッチンを備えている。キッチンカウンターはMRC・デュポン社製で、内装はアルミ材。4号車寄りの車端部はバーカウンターと業務用スペースとなった。 床下には水タンクが設けられたため、CPがクハ4010に移設された。 4号車(クハ4010) 客室車両。4人用の座席が4卓、2人用の座席が5卓の計26席。外装のイメージは「冬:あしがくぼの氷柱」。 車内中央はダイニングスペース、4号車寄りのドアはエントランスホール、同車端部は業務用スペースと荷物置き場になった。車内の3号車寄りにテレビモニタが設置された。 天井は西川材を貼ったルーバ状で、和紙同様に不燃処理が施されている。それ以外の仕様は2号車に準じている。 これらの改造により、定員と自重がTc1:0人/34.4t、M1:26人/44.1t、M2:0人/43.5t、Tc2:26人/34.4tに変化した。
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