薩藩旧記雑録とは? わかりやすく解説

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薩藩旧記雑録

主名称: 薩藩旧記雑録
指定番号 163
枝番 00
指定年月日 1997.06.30(平成9.06.30)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 古文書
ト書
員数 362
時代区分 平安明治
年代
検索年代
解説文:  『薩藩旧記雑録』は薩摩藩記録奉行であった伊地知季安一七八二-一八六七)・季通父子の手になるもので、薩摩大隅日向三国にまたがる旧薩摩藩領内に関する平安時代末期より明治時代までに至る諸史料集大成して編年順に収めたのである。『薩藩旧記雑録』には、島津家本(東京大学史料編纂所)以外に内閣文庫本(国立公文書館)、鹿児島県庁本(鹿児島県立図書館)がある。島津家本は原本にあたる伊地知季安・季通父子自筆草稿本で内閣文庫本に増補修訂施し前編四八巻、後編一〇二巻附録三〇巻、追録一八二巻の全三六二巻からなっている。このうち前編・後編主として季安、附録追録は季通の筆になる。
 本書体裁袋綴冊子明朝装)で、表紙茶染紙、外題題簽に「〈前/編〉舊記雑録巻『幾』」と墨書する。各編ごとの背書に「舊記雑録 前編 巻『幾』」、下辺小口に「前『幾』」の墨書確認できる料紙には楮紙用いるが、紙質法量などはさまざまであり、統一性欠いている。また筆致書写す数量多さから倉卒で、正に自筆草稿としての状態をよく示している。しかし、書写されている文書記録をみると、書写に際して料紙欠失した部分点線表現したり、「キレテナシ」などと細かに注記しているところから原本忠実に書写す真摯な姿勢うかがわれる書写したもの文頭文末みられる文書記録類の所在出典正本写本の別、また文中朱墨注記などは多くが季通筆になるものである文書記録に関する考察考証は「按」「考」として加えており、そのために季安・季通が引用した史料としては、『島津家譜』『新編島津氏世録正統系図』、山本正誼の『島津国史』、得能通昭の『西藩野史』や『東鑑』等がみえている。
 島津家本『薩藩旧記雑録』の編纂過程は、まず伊地知季安文化末年一八一七)ころより編纂着手し始め慶応三年一八六七)の没後は父の意志を季通が受け継いで明治三十年(一八九七)ころまでの約八〇年を費やして完成させたものである。季通は弘化年間一八四四四八)のころより史料書写収集かかわっていたことが知られる。こうして収録され史料平安時代末期のものから年代順に配列し初代島津忠久から明治当主忠義に至るおよそ七百年間及んでいる。本書には旧薩摩藩内の古文書古記録類の大部分収録されているが、祢寝文書二階堂文書近世地方文書など収録されていない文書もある。文書記録のほかに、鰐口銘、推鐘銘などの金石文棟札銘、神像御正体図像をも収集している点は、記録史料として本書の幅の広さを示すものである
 収集書写されている文書記録類には、天喜三年七月廿五日薩摩国司庁宣台明寺文書)をはじめとする平安時代文書のように西南戦争などで失われたものの写し多く含んでおり、現在では『薩藩旧記雑録』による以外に内容知りえないものが多数にのぼる。前編巻八の原表紙には「巻六」を消して「巻八」と改め後編巻四の原表紙には「〈後/編〉舊記雑録巻三」の外題墨書の上に「〈後/編〉薩藩舊記雑録巻四」の題簽があり、また「巻四ノ下ノ二」を消しているところがみえるなど、現状巻数決定するまでに幾度か書き直しが行われたことを示している。このような推敲過程は『薩藩舊記雑録』の成立考えるうえにも注目される
 この島津家献上され伊地知季安・季通父子による自筆草稿本は、内閣文庫本、鹿児島県庁本よりも膨大な史料収録しており、その内容において島津氏薩摩藩研究不可欠な根本史料である。収載されている文書記録類は、本来編纂用に書写されたものではあるが、そのうちには現在喪失したものも多く含まれていて、古文書学歴史学上にもきわめて史料的価値が高い。


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