菱沼一憲とは? わかりやすく解説

菱沼一憲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 02:05 UTC 版)

源義経」の記事における「菱沼一憲」の解説

菱沼一憲(国立歴史民俗博物館科研協力員)は著書で以下の説を述べている。 任官問題 頼朝との対立原因については、確かに『吾妻鏡』元暦元年1184年八月十七日条には、同年8月6日、兄の許可を得ることなく官位受けたことで頼朝怒りを買い、追討使猶予されと書かれている。しかし、同じく『吾妻鏡』八月三日条によると、8月3日頼朝義経伊勢国平信兼追討指示しているので、任官以前義経西海遠征から外れていたとも考えられるまた、同月26日義経平氏追討使の官符を賜っている。源範頼平氏追討使の官符賜ったのが同29日なので、それより早い。つまり、義経平氏追討使を猶予され記録はないのである。よって、『吾妻鏡』十七日条は、義経失脚後、その説明をするために創作されたものと思われる戦術家として 義経優れた戦略家であり戦術家であった。どの合戦でも、神がかった勇気や行動力ではなく周到合理的な戦略その実行によって勝利したのである一ノ谷の戦いでは、義経夜襲により三草山平家軍を破った後、平氏地盤であった播磨制圧しつつ進軍している。これは、平氏軍丹波ルートかの上洛を防ぐためでもあった。また、義経自身報告によると、西の一ノ谷口から攻め入っているのであり、僅かな手勢断崖駆け下りるという無謀な作戦実施していない。 屋島の戦いでは、水軍味方に付けて兵糧兵船確保し四国の反平氏勢力と連絡取り合うなど、1箇月かけて周到に準備している。そして、義経が陸から、梶原景時が海から屋島攻めるという作戦立てていたのであり、景時が止めるのも聞かず嵐の海漕ぎ出したわけではない壇ノ浦の戦い前にも、水軍味方引き入れて瀬戸内海制海権奪い軍備整えるのに1箇月要している。また、義経水手梶取弓矢狙えば、平氏方も応戦するはずである。当時平氏方は内陸拠点失い弓箭補給もままならなかった。そのため序盤で矢を射尽くし、後は射かけられるままとなって無防備な水手梶取から犠牲になっていったのであるそもそも当時合戦ルール存在せず厳密にうならば武士私的な理由所領問題名誉に関わる問題で、自力当事者間解決しようとして合戦に及ぶ場合には一騎討ち合戦を行う場所の指定などがあったことが『今昔物語集』などで確認できる)、義経勝因当時としては卑怯な戦法にある、と非難することに対す反論もある。 義経頼朝代官として、平氏追討という軍務遂行しつつ、朝廷との良好な関係を構築するという相反する任務をこなし、軍事政治両面成果上げたまた、無断任官問題『吾妻鏡』創作であり、「政治センス欠如」という評価は当らないのであるまた、菱沼別の著書で以下の説を述べている。 頼朝代官としての義経 まず、頼朝義経上洛命じた段階では、あくまでも後白河法皇供物届けることを目的としており、『玉葉寿永2年11月7日条にも、頼朝代官義経)が近江到着時点兵力は5・600騎しかなく合戦備えをしていなかったことが記されている。また、同じく10日条には義仲義経入洛認め様子見せている。頼朝義経派遣した当初の目的寿永2年10月宣旨受けて東海道東山道地域治安回復にあたるとともに朝廷との関係を改善することが目的であり、義仲との軍事的対決意図したものではなかった。それが、法住寺合戦によって頼朝義仲との対決決意して範頼率い義仲討伐軍を別途派遣し先行していた義経合流命じたとする。 こうした経緯から、頼朝から朝廷との政治交渉権限認められていたのは義経のみであった。対義仲戦、続く対平氏戦における主たるであったのは範頼であったが、後白河法皇への戦勝報告義経が行い、その後在京代官として義仲に代わって京都治安維持当たったのも義経であった当時朝廷の一番の関心京都治安問題であった)。頼朝朝廷との連携強めて義仲平氏戦への軍事作戦東国支配確立円滑に推進するための「事務的代官」として義経を、実際軍事作戦を行う大将役割を果たす軍事的代官」として範頼を置くことで自らの方針推進しようとしたとみる。

※この「菱沼一憲」の解説は、「源義経」の解説の一部です。
「菱沼一憲」を含む「源義経」の記事については、「源義経」の概要を参照ください。

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