自己免疫の病因とは? わかりやすく解説

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自己免疫の病因

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 21:02 UTC 版)

自己免疫」の記事における「自己免疫の病因」の解説

自己免疫疾患病因には、遺伝的素因環境調節背景に、いくつかの機構作用していると考えられている。これらの機構一つ一つ余すところなく説明することは本稿範囲超えるため、重要な機構いくつか要約して説明したT細胞バイパス - 正常な免疫系では、B細胞形質細胞プラズマB細胞)に分化しその後大量抗体産生する前にT細胞によるB細胞活性化が必要である。T細胞のこの必要条件は、スーパー抗原産生する生物感染などでまれに回避されることがあり、これはスーパー抗原が多クローン性B細胞活性化英語版)やT細胞活性化さえ開始できるためである(T細胞受容体βサブユニット非特異的直接結合する)。 T細胞-B細胞間の不調和 - 正常な免疫応答は、同じ抗原対すB細胞T細胞反応を伴うと想定される。たとえ、B細胞およびT細胞抗原認識する方法が全く異なることを知っている場合でも(B細胞分子表面上の立体構造認識しT細胞タンパク質前処理されたペプチド断片認識する)。しかし、このことを必要とするものは私たちが知る限り何もない必要なのは、抗原Xを認識したB細胞が、想定外タンパク質Y(通常はX)をエンドサイトーシス処理し、それをT細胞提示することである。RoosnekとLanzavecchiaは、IgG Fc認識したB細胞が、免疫複合体英語版)(抗原抗体からなる分子)の一部としてB細胞によってIgGと共エンドサイトーシスされた抗原応答した任意のT細胞から助け得られたことを示したセリアック病では、組織トランスグルタミンを認識するB細胞が、グリアジン認識するT細胞助け得ていると考えられるB細胞受容体介したフィードバックの異常 - ヒト自己免疫疾患特徴は、その大部分少数抗原群に限定されていることであり、その中には免疫応答におけるシグナル伝達役割知られているものがいくつかある(DNA、C1q、IgG FcRo、Con. A受容体、ピーナッツアグルチニン受容体(PNAR))。この事実から、特定の抗原抗体結合すると、膜結合リガンドを介してB細胞異常なシグナルフィードバックされ、自然発症的な自己免疫生じるのではないか考えられた。これらのリガンドには、B細胞受容体抗原対する)、IgG Fc受容体補体C3dと結合するCD21、Toll様受容体9および7(DNA核タンパク質結合する)、PNARがある。また、アセチルコリン受容体胸腺筋様細胞上)やホルモンおよびホルモン結合タンパク質対す自己抗体など、より間接的なB細胞異常な活性化想定される。この考え方は、T細胞-B細胞間の不調和上述)という概念とともに自己反応性B細胞自己永続するという仮説基礎となっている。自発的自己免疫における自己反応性B細胞は、T細胞ヘルプ経路B細胞受容体介したフィードバックシグナルの両方破壊されたために生存していると見られその結果、必ずしもT細胞自己寛容性を喪失しなくとも、B細胞自己寛容性の原因となる負のシグナル克服できる考えられている。 分子擬態英語版) - 外来抗原は、特定の宿主抗原構造的に類似していることがある。したがって、この抗原自己抗原模倣するに対して産生され抗体は、理論的に宿主抗原にも結合し免疫応答増幅させることができる。分子擬態という考え方は、A群β溶血性レンサ球菌感染した後に発症するリウマチ熱との関連生まれたリウマチ熱半世紀わたって分子擬態起因するとされてきたが、正式に同定され抗原はない(どちらかと言えばあまりにも多く抗原提案されている)。さらに、この病気複雑な組織分布心臓関節皮膚大脳基底核)は、心臓特異的な抗原がないことを提示している。この疾患が、たとえば免疫複合体補体成分、および血管内皮の間における異常な相互作用よるものという可能性大い残されている。 イディオタイプ交差反応 - イディオタイプ英語版)とは、免疫グロブリン分子抗原結合部位Fab)に見られる抗原性エピトープのことである。PlotzとOldstoneは、抗ウイルス抗体イディオタイプ問題ウイルスの宿主細胞受容体との交差反応によって自己免疫生じ可能性があるという証拠示した。この場合宿主細胞受容体ウイルスの内部イメージとして想定されており、抗イディオタイプ抗体宿主細胞反応する可能性がある。 サイトカイン調節不全 - 最近サイトカインは、その機能促進する細胞集団ヘルパーT細胞タイプ1およびタイプ2に応じて2つグループ分けられた。タイプ2サイトカインTh2サイトカイン)には、たとえばIL-4IL-10、およびTGF-βがあり、炎症誘発性免疫応答誇張悪化)を防ぐ役割担っているようである。 樹状細胞アポトーシス - 樹状細胞呼ばれる免疫系細胞は、活動中リンパ球抗原提示する樹状細胞アポトーシス欠陥があると、不適切全身リンパ球活性化と、その結果として、自己免疫寛容低下する可能性がある。 エピトープスプレッディングまたはエピトープドリフト - 免疫応答一次エピトープ標的から他のエピトープ標的変化したときをいう。分子擬態上述)とは対照的に、他のエピトープ一次エピトープ構造的に類似している必要はない。 エピトープ修飾または潜在性エピトープ暴露 - この自己免疫疾患機構は、造血系欠陥起因しないという点で独特である。その代わりに、この疾患は、哺乳類の非造血系細胞および臓器糖タンパク質上に、下等真核生物および原核生物共通する潜在的なN-グリカン多糖結合露出することに起因するこのような系統的に原始的なグリカン露出は、1つまたは複数哺乳類自然免疫細胞受容体活性化し慢性的な無菌性の炎症状態を誘発する慢性的な炎症性の細胞障害があると適応免疫系が動員され自己抗体産生増加するに伴い自己寛容性が失われる。この形態疾患では、リンパ球の欠如臓器損傷促進する可能性があり、IgG静脈内投与治療につながる。このような自己免疫疾患への経路は、さまざまな変性疾患状態の根底にあると考えられるが、現在の所、この疾患機構診断する方法存在しないので、ヒト自己免疫におけるその役割不明である。 自己免疫疾患病因における制御性T細胞NKT細胞γδT細胞などの特殊な免疫制御性細胞型の役割は、現在研究進められている。

※この「自己免疫の病因」の解説は、「自己免疫」の解説の一部です。
「自己免疫の病因」を含む「自己免疫」の記事については、「自己免疫」の概要を参照ください。

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