腸粘膜
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腸絨毛 | |
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小腸の粘膜の絨毛 H&E染色
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十二指腸の部分図
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概要 | |
ラテン語 | villi intestinales |
ドーランド /エルゼビア |
v_08/12857047 |
解剖学用語 |

腸粘膜(ちょうねんまく、英: Intestinal mucosa)は、腸壁の一部を形成する粘膜[1]。腸壁は腸の内側の組織で[2]、4つの同軸状の層に分けられる。
粘膜
粘膜は、内腔もしくは管内の空間を囲っている消化管の最内層を形成している。この層は食べ物と直接接し、消化において重要な吸収と分泌を担っている。粘膜は次のように分けられる。
粘膜は消化管の各器官において消化に特に特化している。例えば胃のように低いpHに接したり、小腸においては数多くの異なる物質を吸収したり、大腸では比較的大量の水を吸収したりしている。これらの器官の粘膜の構造は、胃小窩のような分泌腺が陥入していたり、表面積を増大させるためにひだ構造の腸絨毛になっていたり、様々な必要性に対応している。
粘膜下層
粘膜下層は、大血管やリンパ管や粘膜や筋層に枝分かれした神経を有した不規則な緻密層の結合組織で形成されている。粘膜下層は、粘膜筋板の内側に位置するマイスナー叢、腸筋神経叢も含んでいる。
筋層
筋層は、内側の環状筋と縦走筋で形成されている。環状筋は食べ物が後戻りさせない機能があり、縦走筋は消化管を縮める機能がある。これらの層は良く連携した縮小運動である蠕動を行い、消化管内で混沌となった食べ物の塊を前進させる役割を持つ。 2つの筋層の間には筋層間神経叢(アウエルバッハ叢)がある。
外膜
外膜は、上皮の幾つかの層で形成されている。外膜が腹間膜や腹膜に接している場所では、外膜は奨膜とともに薄い結合組織層である中皮で覆われている。
脚注
関連項目
腸粘膜
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:02 UTC 版)
腸のILCは、食物、微生物、内因性代謝物に晒されている。ILCの小腸への帰還は、α4β7インテグリンと受容体であるCCR9によって行われる。ILC2は骨髄でCCR9を発現しているので直接腸に帰還出来るが、ILC1やILC3にCCR9を発現させるにはレチノイン酸が必要である。 ILCは、腸内のバリアーの維持を促進し、様々な細菌やウイルスの感染から保護する。ILC3は、成人と胎児の両方の腸に最も多く存在するサブセットである。腸内のILCの分布は発生過程で変化し、消化管の各部位に不均等に分布している。この様な腸内各部位への偏在は、其々異なるシグナルカスケードに誘導される。ヒトでは、腸内ILCの約70%がNCR+、15%がNCR-である。 ILC3は腸内細菌叢と直接相互作用し、微生物叢と宿主との間にネットワークを形成して恒常性を維持している。ILC3はIL-22を分泌し、上皮細胞を刺激して抗菌ペプチドを産生する事で、腸内の複数の非有益な細菌のコロニー形成を制限する。IL-22の分泌は、マクロファージや樹状細胞によるIL-23やIL-1βの産生に起因して誘導され、粘膜層の治癒を促進する。例えば、IL-22は化学療法や放射線療法後の腸管損傷の修復を促進する。ILC3は、常在菌の内腔への封じ込めを制御し、粘膜固有食細胞への暴露を可能にし、T細胞の活性化に繋がる。ILC3は、MHCクラスII受容体を介して抗原を提示する事が出来るが、共刺激分子を持たない為、T細胞アネルギー(不応答性)の役割を果たし、有益な常在菌に対する耐性を促進する。従って、ILC3と腸内T細胞の関係は、恒常性を維持する上で非常に重要である。ILC3が存在しない場合、T細胞の活性化が制御できなくなる可能性があるからだ。更に、ILC3によるIL-22の産生を微調整する役割を微生物が担っている。例えば、回腸のセグメント細菌(英語版)は、IL-22の産生を調整し、Th17細胞の分化を可能にする。 ILC3は腸管の恒常性を維持するために腸管神経系(英語版)と相互作用する。細菌に反応して、粘膜固有層のグリア細胞が神経栄養因子を分泌し、その神経栄養因子が神経制御受容体RETを介してILC3にIL-22を産生させるからである。また、樹状細胞は病原体によるストレス時にIL-23を産生し、ILC3を活性化してIL-22の産生を可能にする。IL-22が腸内の微生物を制御するメカニズムの一つは、上皮細胞のグリコシル化パターンを介したものであると考えられている。ILC3によるIL-22とリンホトキシンの発現は、フコース転移酵素(英語版)2の発現を制御し、上皮細胞のフコース化(英語版)を可能にし、腸内細菌の栄養源となる。 食事や微生物由来のAhRリガンドは、免疫細胞に認識され、腸内のILCの発達やNK細胞の機能を制御する。トリプトファン代謝物に応答して、AhRシグナルがIL-22の発現を維持し、腸の恒常性を維持する。樹状細胞が産生するレチノイン酸は、RORγtとIL-22をアップレギュレートすることで、ILC1とILC3の腸管帰還受容体の発現を促進し、ILC3の機能を高める。また、マクロファージとILC3sの間には、微生物のシグナル伝達に依存したRORγtによるGM-CSFの産生や、マクロファージによるIL-1βの産生を介した相互作用が存在する。食事性ビタミンAが不足すると、ILC3の数が異常に少なくなり、IL-22の産生が低下して感染症に罹り易くなる。逆に、レチノイン酸はIL-7Rα(英語版)をダウンレギュレートする事でILC2の増殖を抑制し、ビタミンAを欠乏させるとILC2を介したマウスの蠕虫感染に対する抵抗性が高まる事が示されている。従って、ILC3は、微生物叢、腸上皮、神経グリア細胞、その他の免疫細胞の間で、腸の恒常性を維持するための相互作用のネットワークを形成している。 LTi細胞はパイエル板やリンパ濾胞に存在し、B細胞と相互作用してIgAの産生を促進し、宿主と局所微生物群との共生を促進する。ILC1とNK細胞はIFN-γを産生し、細胞内の病原体と闘う。C. dificileが感染すると、ILC1とILC3が協力して感染に対抗する。ILC2は、寄生虫感染時に組織の損傷から守るために、腸内で杯細胞の分化と粘液の産生を誘導する。
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