油屋の従業員
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 17:57 UTC 版)
従業員の大半はカエル(男衆)とナメクジ(女衆〔主に江戸時代にいた大湯女〈おおゆな〉に相当する〕)であり、ヘビ(ハク)と合わせて三すくみの関係にある。 釜爺(かまじい) 声 - 菅原文太 油屋のボイラー室を取り仕切っている黒眼鏡をかけた老人。クモのような姿で、伸縮可能な6本の腕を自在に操り、油屋で使われる湯を沸かし、薬湯の生薬を調合する仕事をしている。休憩時間の際は、リンが運んできた漬け物つきの天丼を食べている。湯屋の従業員の中で、彼だけが私服であり、何も被らない。 人間に対する差別意識は無く、突然ボイラー室に現れた千尋に対し厳しめの態度を取りながらも、人間である彼女がいることに騒ぐリンに「わしの孫だ」とうそをつき、庇うなど彼女を気遣い、リンに湯婆婆の所へ連れていくように頼む時に、イモリの黒焼きを彼女に渡した。その後も傷ついたハクを手当し、銭婆の所へ行こうとする千尋に40年前に自分が使い残した電車の切符を渡すなど、千尋をサポートする。 部下に石炭を運ぶススワタリがいる。 前述の通り仕事には厳しいが、千尋に対しては本当の孫のように優しい一面も見せる。 リン 声 - 玉井夕海 油屋で働いている娘。外見年齢は14歳。一人称は「オレ」、もしくは「あたい」。仕事中は腰に前掛けをつける。 口調は荒っぽいが性格はサッパリとした姉御肌。人間である千尋を初めて見た時は驚いて戸惑い、少々きつく当たっていたが、彼女の雇用が決まるとハクから半ば押しつけられる形であったとはいえ、雇用してもらえるように頑張った千尋に対し「うまくやったなぁ」と彼女を認め、湯屋の先輩として千尋に仕事を教えて面倒を見る。千尋と共に風呂釜の中の掃除中に、千尋に番台から薬湯の札を一枚持って来させ、札と風呂場の壁の仕掛けの使い方を教えた後、湯を釜に入れるための樋の先端から垂れる綱を、千尋に引かせたりした。 出自は不明で、不本意ながら湯屋で働く自分の運命を呪っており、いつか湯屋を出て海の向こうの町に行くことを夢見ている。そのため、雇い主である湯婆婆に対する忠誠心や敬愛の念などは無く、湯婆婆やハクのことは呼び捨てで呼び、上司であるはずのハク・父役・兄役らに対してもタメ口で話す。 彼女のほかにも人間の少女と全く変わらない外見をした湯屋で働く下働きの少女(主に江戸時代にいた小湯女〔こゆな〕に相当する)が何人かいる(彼女やほかの少女の千尋に対する言動を見る限り、人間ではないと思われる)。ほかの従業員は人間である千尋を差別的に嫌っているが、彼女にそういった差別意識は無く、千尋に対してもほかの従業員と同等に接している。カオナシに対しては「千に何かしたら許さないからな」と叫んでいた。 好物はイモリの黒焼き(油屋では貴重な品で、従業員は皆イモリの黒焼きに目がない)。 父役(ちちやく)、兄役(あにやく)、番台蛙(ばんだいかえる) 声 - 上條恒彦(父役)、小野武彦(兄役)、大泉洋(番台蛙) それぞれ油屋の従業員達と湯婆婆の間の中間管理職的役割を担っており、父役はハク以外の従業員の中で最も地位が高く、兄役はその下という位置づけ。 番台蛙は番台に座り、様々な薬湯の札を渡す役割を担っている。いずれも蛙の化身。この3人は、烏帽子を被り(父役と兄役の烏帽子は黒とは違う色) 、水干の上着には色がつき、父役と兄役は白い袴を穿き、白い足袋を履く(橋の上でオクサレ様を止めようとするカエル男達の中で、青蛙の隣にいる番台蛙が、上着と違う色で白とは違う色の袴を穿き、裸足なのが映る)。ちなみにほかのほとんどのカエル男の水干は、上下共に白く(上下共に同じ色のついた水干を着た男性もいる)、裸足で、草履を履く男性もいて、烏帽子を被る。青蛙以外のカエル男は、人間化してジャンプ力を失っている。 それぞれ、上にはへつらい下には威張るような態度を取るキャラクターとして描かれている。下の者を見下しており、特に人間である千尋を嫌っている。兄役は、千尋とリンの風呂釜の中の掃除中に「リン、千、一番客が来ちまうぞ」と言って風呂の準備を急がせた。 父役は、千尋がカオナシのいる客室に入った直後に千尋を心配するように、湯婆婆に「千、一人で大丈夫でしょうか」と言ったが、湯婆婆から「お前が代わるかい」と言われ、カオナシが怖くて黙ってしまう場面もあった。 兄役は、カオナシが客として振る舞っていた時に幇間もしていた。彼の言葉を誤解して怒ったカオナシに、傍にいたナメクジ女と共に飲み込まれてしまうが、千尋がニガダンゴを食べさせたことで救出される。カオナシを追い払ってからは、父役ともども千尋に対する態度を改め、同じように救出された青蛙と共に湯婆婆から千尋を庇う姿を見せている。 青蛙(あおがえる) 声 - 我修院達也 湯屋で下働きをしている蛙。カエル男の中で彼だけがカエルそのものの姿。千尋を最初に見た時などにジャンプしている。カエル男の中で彼だけは髪がないためか何も被らず、青い着物を着て、裸足である。砂金に目がなくがめつい性格。橋を渡りきる直前に、人間の言葉を話す彼を見て、驚いた千尋が息をして魔法が解け、人間である千尋を最初に見た。橋の上でハクに魔法をかけられ、気絶させられた上に、人間である千尋を見た記憶を消された。オクサレ様が湯屋に近づいて来た時に、橋の上でほかのカエル男達と一緒に「お帰り下さい」と言った。その直後、青蛙だけがオクサレ様の臭気により気絶した。 大湯で砂金探しをしていたところ、カオナシの手から出す大量の砂金(土くれ)に目がくらみ、最初に飲み込まれる。その後はカオナシが言葉を発するために声を借りられていたが、千尋がニガダンゴをカオナシに食べさせたことで最後には吐き出される。カオナシを追い払ってからは父役、兄役と共に「千のおかげでオレたち、助かったんです」と千尋を庇う様子を見せている。 ススワタリ イガ栗のような形をした黒い体で、その真ん中に二つの目がついている。手足が生えている。釜爺からは「チビ共」と呼ばれている。 魔法の力ですすから生まれたらしく、働いていないとすすに戻ってしまう。 釜爺の指示で石炭を抱えて運び、ボイラー室の炉に放り込むのが仕事。休憩時間の際は金平糖を食事として与えられている。千尋の服と靴を預かるなど、釜爺と共に千尋を手助けする。千尋に最初に会った時、一匹が自分の体よりも大きい石炭を運ぼうとして千尋の目の前で潰れてしまい、彼女が代わりに運んであげた。彼女が石炭を持ち上げた時、潰れた一匹は手足のない状態で復活したが、彼女の質問を無視して宙を飛び巣穴に戻ってしまった。 『となりのトトロ』にも同名の生物が登場するが、本作に登場するススワタリと違って手足がない。
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