欧州連合の機能に関する条約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 03:53 UTC 版)
「欧州連合基本条約」の記事における「欧州連合の機能に関する条約」の解説
英語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。Consolidated version of the Treaty on the Functioning of the European Union 欧州連合の機能に関する条約(Treaty on the functioning of the European Union)では欧州連合の役割、政策、活動についての詳細が規定されている。欧州連合の機能に関する条約は7部で構成されている。 第1部 原則 第1条では欧州連合の機能に関する条約の基礎と法的地位を定めている。第2条から第6条までは、それぞれの分野における欧州連合の権能についての概要が示されている。第7条から第14条は社会的理念を、第15条と第16条は文書や会議の公開についてそれぞれ定め、第17条では欧州連合が国内法の下における教会の地位を尊重することをうたっている。 第2部 無差別と連合の市民 第2部は第18条から始まり、同条は基本条約の範囲内において、国籍による差別を禁止している。第19条では、欧州連合は「(仮訳)性別、人種や民族的な出身、宗教や信条、障がい、年齢、性的指向による差別と戦う」とうたわれている。第20条から第24条では欧州連合の市民権について、移動の自由[要リンク修正]、他国からの領事的保護、地方選挙および欧州議会議員選挙での投票と立候補、欧州議会や欧州オンブズマンへの請願についての権利や、欧州連合の機関に対して自身が使用する言語で接触し、回答を得る権利を定めている。第25条は欧州委員会に対して、3年ごとに欧州連合の市民権の状況について報告を欧州議会に提出させることを求めている。 第3部 連合の政策と域内活動 第3部は、域内市場、関税同盟などの商品の自由な移動、農業および漁業、人・サービス・資本の自由な移動、警察や司法協力などの自由・正義・安全についての分野、運輸政策、競争の原理・課税・法の調整、ユーロなどの経済・金融政策、雇用政策、欧州社会基金、教育・職業訓練・青年・スポーツ政策、文化政策、衛星、消費者保護、欧州横断ネットワーク、産業政策、経済・社会・領域の結合、研究・開発(ERA)および宇宙政策(英語版)、環境政策[要リンク修正]、エネルギー政策(英語版)、観光、市民保護、行政協力といった、分野ごとに24の編に分かれている。 第4部 海外領土の連携 第4部では海外領土の連携について定めている。第198条は連携の目的について、附属文書2で列挙されている領土の経済的、社会的開発の推進としている。またそれ以降では関税などの連携の形態について詳述している。 第5部 連合による対外活動 第5部は欧州連合の外交政策について扱っている。第205条では、対外活動は欧州連合条約第5編第1章で定められた原則に従わなければならないことをうたっている。第206条と第207条では欧州連合の対外貿易政策について定めている。第208条から第214条では、第三国との開発と人道支援に関する協力について規定している。第215条では制裁措置について定め、第216条から第219条では第三国との国際条約締結のための手続について規定している。第220条では外務・安全保障政策上級代表と欧州委員会に対してほかの国際機関と適切に協力することを説示し、第221条では欧州連合の代表部の設置について定めている。第222条「結束条項」では、加盟国はテロリストによる攻撃、自然災害、人的災害にさらされている加盟国に対して支援を行なうことを定めている。この条項では軍隊の使用も含められている。 第6部 機関と財務に関する規定 第6部では欧州連合条約における機関に関する規定の詳細を定めている。第288条から第299条では機構に関する詳細にくわえて、EU法や立法手続の形態について定めている。第300条から第309条では経済社会評議会、地域委員会、欧州投資銀行について規定している。第310条から第325条では欧州連合の予算についてうたっている。第326条から第334条は強化された協力についての規定となっている。 第7部 一般・最終規定 第7部は地理的、時間的な適用、機関の所在地、刑事責任の免除、1958年以前または加盟した日以前に署名された条約への影響といった最終的な法的問題について扱っている。
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