欧州連合条約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 03:53 UTC 版)
英語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。Consolidated version of the Treaty on European Union 欧州連合条約(Treaty on European Union)は前文と6つの編で構成されている。 第1編 総則 第1条では欧州共同体をもとに欧州連合を設立することと、欧州連合が欧州連合条約と欧州連合の機能に関する条約の法的地位を定めている。第2条では欧州連合が「(仮訳)人間の尊厳、自由、民主主義、平等、法の支配、マイノリティに属する人の権利を含む人権の尊重という価値のうえに成り立つ」ということをうたっている。また、加盟国は「(仮訳)多元主義、無差別、寛容、正義、結束[要リンク修正]、両性の平等が普及する社会」を共有するということもうたわれている。 第3条では欧州連合の目的を6項にわたって挙げている。第1項では、平和、連合の価値、市民の幸福を発展させることを定めている。第2項は、領域外との境界の管理を実施しつつ域内における異動の自由について述べている。第3項は域内市場を扱っている。第4項はユーロの設置をうたっている。第5条では、欧州連合がその価値を促進させ、貧困の撲滅(英語版)に努め、人権を遵守し、国際連合憲章を尊重することを規定している。第6項では、欧州連合は基本条約で与えられている権能にかなう「(仮訳)適切な手段」でこれらの目的を追求するとしている。 第4条は加盟国の主権と義務についてうたい、第5条では欧州連合の権能の限界について授権原理(英語版)、補完性原理、比例性原理を定めている。第6条は欧州連合が欧州連合基本権憲章および人権と基本的自由の保護のための条約に拘束されることを規定している。第7条では加盟国の資格停止について定め、第8条では近隣諸国との密接な関係を築くことをうたっている。 第2編 民主主義についての規定 第9条は市民の平等と欧州連合の市民権を定めている。第10条では、欧州連合が間接民主制において設立されていることをうたい、その決定にあたっては可能な限り市民の密接な参加がなされなければならないということを定めている。また欧州規模の政党や市民の意思の表明についても言及がなされている。市民の意思の表明とはすなわち、直接選挙される欧州議会と、加盟国の議会に対して責任を持つ加盟国政府の代表で構成される理事会および欧州理事会でもってなされる。第11条では、欧州連合の運営の透明性を確保し、広範な協議を行うことを義務付けており、また欧州委員会に対して少なくとも100万人以上の市民による請願で法案作成を請願することについて定めている。第12条は立法手続において加盟国の議会の一定の関与を認めている。 第3編 機関についての規定第13条は欧州連合の機関について定めている。すなわち、欧州議会、欧州理事会、理事会、欧州委員会、欧州連合司法裁判所、欧州中央銀行、会計監査院についてうたっている。 第14条は欧州議会の活動と選挙について、第15条は欧州理事会とその議長について、第16条は理事会とその形態について、第17条は欧州委員会とその任命について規定している。第18条では欧州連合外務・安全保障政策上級代表を、第19条では司法裁判所をそれぞれ設置することを定めている。 第4編 強化された協力についての規定 第4編は第20条の1か条しかなく、ほかの加盟国が受け入れない特定の分野における統合を、一定の加盟国間で協力して行なうことを認めている。 第5編 連合の対外行動についての一般規定と共通外交・安全保障政策に関する細則 第5編第1章は第21条と第22条の2か条で構成されている。第21条では欧州連合の外交政策の概要を示す原則について定められており、国際連合憲章の遵守と、国際貿易、人道支援、グローバル・ガバナンスの推進が挙げられている。第22条では欧州連合の外交政策の策定についての監督権を、欧州理事会が全会一致によって行使することを定めている。 第2章は2つの節で構成されている。第1節は総則となっており、欧州連合の外交政策についての指針と機能について詳述し、なかでも欧州対外活動局の設置と加盟国の責任について定めている。第42条から第46条で構成される第2節は軍事的協力について扱っている。 第6編 最終規定 第47条は欧州連合の法人格を定めている。第48条は条約の修正について規定しており、通常の改定と簡易的な改定についての手続を定めている。第49条は欧州連合への加盟申請、第50条は欧州連合からの脱退(英語版)について定めている。第51条は欧州連合条約と欧州連合の機能に関する条約に附属する議定書について定めており、第52条は本条約が適用される地理的領域を定めている。第53条は条約の無期限性をうたい、第54条では批准について、第55条では条約の正文と翻訳についてそれぞれ定めている。
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