植栽方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 05:32 UTC 版)
開花期を基準とした品種の選定 見応えのあるサクラの名所を作るためには、その空間のサクラが同時に開花する集中開花型の空間を作る必要があり、単一の品種のみを植栽した場合は統一感や地域性(その地が発祥の品種などの場合)を演出でき、花期が同じ異なる品種を植栽した場合は華やかさを演出できる。ただしこれらの植栽方法は集客に優れるため、駐車場やトイレの設置が必要となることが多い。花期が異なるサクラの品種を植栽した分散開花型の空間作りの場合は、集客が分散して長い期間にわたってサクラを楽しめるので地域の憩いの場に向いている。この場合、花期が違う品種を隣接して植栽した場合には見応えに欠けることになるが、花期が同じ品種ごとにゾーンを設定してまとめて植栽することで見応えを改善できる。 時期 落葉期の11月中旬から12月上旬、もしくは2月下旬から3月中旬を選び、厳冬期は避けること。 陽当たり サクラの健全な成育には十分な陽当たりが必要なので、隣接地に新築の建造物が出来たりしない将来にわたって日陰にならない場所が望ましい。 植栽間隔 隣接するサクラとの植樹間隔が狭いと陽当たりや根の発育に悪影響を及ぼし、過密であると病害虫発生の原因になるので、10mの間隔を開けて植えるのが望ましい。 土壌 サクラの健全な成育には、水はけが良く適度に湿り気があり肥沃な土壌が必要である。植えるのを避けるべき水はけが悪い土壌の目安は、雨の翌日にも水が引かない土壌、深さ30センチの穴を掘って水を穴の上までに入れて1時間経過後もまだ水が溜まっているような土壌である。また避けるべき固い土壌は、両手で直径1センチの園芸用ポールを垂直に力いっぱい突き刺して50センチ以上刺さらない土壌である。また避けるべき栄養分が不足している土壌は、生えている草が黄色味を帯びていたり草の丈が低い土壌である。例えば、関西でよくみられるような花崗岩が風化してできた真砂土の土壌は、乾燥しやすく、踏みしめられて固くなり水はけが悪くなりやすく、栄養に乏しいため、これらの悪条件に該当する。このような土地では、サクラの植栽には十分な土壌改良を必要とする(土の作り方と植え方で解説)。 街路樹や公園でよくみられるように、サクラの周りをコンクリートやアスファルトで舗装したり、大勢の人が根本の土を踏み固めるような土壌環境は避けるべきである。サクラは樹冠よりさらに根を浅く広く広げるため、土が舗装されたり踏み固められると、根に酸素と水と有機物の供給ができなくなってしまい健康を損ない樹勢を削いでしまうのである。特にある程度成長してから根周りが舗装された場合は伸びた根が腐って死んでいき、生育した上部に必要な分だけの十分な酸素と水と養分が供給できなくなり大きく健康を害するため避ける必要がある。土壌が舗装や人間により踏み固められていると根頭がんしゅ病やネコブセンチュウ病を誘発し、これらの病気は土壌を汚染する。早いうちであれば土壌改良によって病気を止めることができるが、これらでサクラが枯れた場合、何度サクラを植えても枯れる場合がある。このため、これらの病気に罹った土壌は加熱殺菌すること、石灰などで消毒すること、土そのものを入れ替えること、サクラの枯れた後には数年の間樹木を植えないことなどで対策をとることができる。 土の作り方と植え方 土の作り方と植え方は、まずは植える3時間から前夜程度前からサクラの苗木の根を水につけておく。そして植え穴を掘る。標準な植え穴は直径と深さが50センチ程度であるが、土壌改良を必要とする場合は、植え穴は直径2メートル、深さ70センチ以上を必要とする。次に植え穴用に掘り出した土を6対4の割合で分け、4の土と4と同量の堆肥と1平方メートル当たり100グラムから200グラムの肥料(NPK10-10-10)を混ぜ合わせて植え穴に埋め戻す。次にその上から6の土の一部を使って5センチほど埋め戻す。倒れず苗木の幹を誘導できるよう、穴の中心に園芸用支柱や竹を十分な深さまで刺し、傍らに苗木を立てて残り6の土でさらに埋め戻す。80センチから1メートルの高さで支柱と苗木を結束する。この際、苗木が実生台木の場合は接ぎ目を土中から出して植え、挿し台木の場合は土中に入れて植える。また幹と支柱が擦れて傷つかないように、必ず保護材で枝を巻いたうえで麻縄などの1年から2年で分解する紐で、きつ過ぎて食い込んだり緩すぎて擦れたりしないように注意しながら8の字に結束する。なお支柱は通常1.8メートルから2.4メートル程度の長さが必要であるが、枝や幹の成長が下向きになりやすい品種では将来の樹形を整えるために竹などのより長い支柱が必要となる。例えばカワヅザクラなどの枝や幹が横や斜め下に伸びやすいサクラには、基準の幹を3メートルから3メートル50センチ程度の高さまで支柱に沿わせて上方に誘導できる長さが、枝垂性のサクラの場合には基準の幹を4m程度の高さまで支柱に沿わせて上方に誘導できる長さが望ましい。最後に周囲を土の壁で囲って水鉢を作って水を入れる。また幹は8月下旬以降に急激に太るので、定期的に巡回して支柱と結んだ紐が苗木に食い込まないように注意して調整する。基本的に水やりは必要ないが、夏場の乾燥している時には1週間毎の夕方に水鉢が満杯になるまで水を与えると良い。
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