植栽材料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/15 00:24 UTC 版)
セダム(メキシコマンネングサ) 潅水が要らないなど、簡便な屋上緑化の手段としてかつて人気であったが、最近では冷却効果が弱いとして避けられることが多い。 CAM型光合成特性を持つセダムは気温25℃以上で気孔を閉じる。つまり植物の蒸発散作用による潜熱消費からは、ヒートアイランド現象が問題になる夏の冷却効果が得られない植物である。この後、東京都や全国の自治体でセダムや苔の屋上・屋根緑化がヒートアイランド対策に有効植物でないとして助成金や補助金の拠出を止めている。 セダムによる屋上緑化では、庭としての利用は重視されない。つまり普段の屋上利用を立ち入り禁止にするような建物ではこのような形式が採用されている実例が多い。軽い土壌でも栽培できるので、増改築においての選択肢の一つである。工法によっては、工場のトタン屋根のような簡易的な屋根の上にも設置可能である。 なお、冷却を望まない用途は考えられる。セダムはドイツで住宅の屋根緑化として多く採用され、ドイツは札幌より北に位置しているため一般住宅にはクーラー設備がなく夏の気温も18〜24℃前後(日中)・夜間は15℃以下と日本の夏の高温気候条件とは大きく異なりドイツではセダム緑化に外気を冷却する効果を望んでいない。気温25℃以上で気孔を閉じてしまうセダムの生育生理条件が満たされているドイツの気候環境はセダムに適し、またドイツと類似気候の北海道ではセダム緑化を推奨できる。 芝 芝はセダムと同じく簡易的な屋上緑化の手段の一つである。また灌木と組み合わせて広場と茂みを適宜配置しての屋上緑化の事例が増えている。 花類、潅木植物 花壇や大きく成長することのない潅木植物などで景観にメリハリをつけ、屋上庭園として利用する。シンボルツリーとして2-3メートル程度の中高木を配する場合もある。これらの場合、建物の重量や漏水対策がセダムや芝よりも厳しく求められる。 つる植物 建築物の屋上にネットやつる棚を水平方向に覆うように設置し、つる植物の蔓を誘引していく。緑のカーテンを横向きに設置するようなもののため設置・管理・撤去も簡単で一般家庭でも設置が可能。極めて軽量なので建築物にも負担を掛けない。 苔 スナゴケなどが使用される。 マットプランツ グランドカバー等の根が互いに絡み合わせてマット状したもので、いんばマット・プランツなどが製品化されている。 花マット マットプランツの一種で、花壇苗などをマット化したものである。東京花マットなどが製品化されている。 現在、それぞれの項目について技術開発が進んでおり、選択の幅は広がって来ていると言える。しかし行政の推進はあるもののコストはまだまだ高く、建築基準法の荷重制限があり実際に設置するには大幅な改装が必要になる場合がある。 日本ではヒートアイランド緩和を研究目的にした夏の測定値を使っているものがほとんどで、植物種についての蒸発散量の違いを論じている研究論文は少ない。蒸発散量・蒸発散速度は草本、木本など植物の種類や特性で大きく異なる、また植物の生育環境気候条件、更には土壌や基盤自体に含まれる水分量に影響を受ける。猛暑の都心のビルの表面温度は摂氏70度にも達することもある。 そもそも植物の有無にかかわらず、灌水により顕熱フラックスが小さくなり、周辺空気の上昇を抑制する効果が得られる。
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