時の勇者リンクが現れるまでの時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 03:00 UTC 版)
「ゼルダの伝説シリーズ」の記事における「時の勇者リンクが現れるまでの時代」の解説
創世の時代 『時のオカリナ』『神々のトライフォース』などで語られるゼルダの世界の創造にまつわる神話。遥か昔、「力の女神・ディン」が大地を、「知恵の女神・ネール」が秩序を、「勇気の女神・フロル」があらゆる生き物を創造し、世界が生まれた。 3人の女神はどんな願いでも叶えるトライフォースを残し、世界から去った。 創造された世界とトライフォースは女神ハイリアが見守ることになる。 スカイウォードソード(Wii) ハイラル史の始まりの物語である。遥か昔、世界を創造した三大神は万能の力「トライフォース」を残し、以降、それらは大地と共に女神ハイリアが守護してきた。時代は下り、地上ではトライフォースを得るために邪悪なる存在が魔族を率い、激しい殺戮が行われていた。そこで女神は生き残った人間と大地を空に浮かべ、命をかけて邪悪なる存在を封印した。しかし女神の力を持ってしても完全な封印は出来ず、長くは保たないことを悟った女神ハイリアはトライフォースを使って邪悪なる存在を完全に消滅させることを決意。トライフォースは神の姿では扱えないため、ハイリアは神の身を捨て、人間へと転生した。 時は流れ、空に浮かぶ島「スカイロフト」では、ある日、島で暮らす女性・ゼルダが巨大な竜巻に飲まれ大地へと落下してしまう事件が発生する。ゼルダの幼馴染である青年リンクは、ゼルダを捜すべく、島に眠る聖剣「女神の剣」を手に取り冒険へと向かう。一方ゼルダは、封印の地と呼ばれる場所に降り立っていた。そこで出会った老婆から自らに課せられた運命について聞かされたゼルダは、その運命に従って過去の世界へと渡り、邪悪なる存在である魔族の王を封印し続けるために封印の神殿で永い眠りにつく。 リンクは女神の剣を鍛え上げて完成した「マスターソード」を携え、トライフォースの力で邪悪なる存在を消滅させる。封印の役目を終えたゼルダは永い眠りから目を覚ましリンクと再会する。王の現世での復活の野望を断たれた魔族長・ギラヒムは、ゼルダをさらって過去の世界へ向かい、ゼルダが秘める力を利用して魔族の王「終焉の者」の復活を果たすが、戦いの末にリンクはこれを倒し、マスターソードの力で封印した。 今作ではこれまで断片的にしか描かれてこなかった「マスターソードの誕生」「ゼルダのルーツ」「ハイラルの創世」に関するエピソードが明かされている。終盤で登場する「終焉の者」は以降の歴史で登場するガノンドロフと見た目が類似しており、トライフォースを欲する姿勢も見せ、最期を迎える際は後世での復活を示唆するような言葉を残している。また、他作品で使われている「フィローネ」「オルディン」「ラネール」といった地名も登場しており、『ハイラル・ヒストリア』では今作のゼルダの子孫が後のハイラル王家であると記載されている。 ふしぎのぼうし(GBA) ハイラル建国から長い年月が経ったある時、ハイラルの地に魔物が現れ世界が闇に覆われようとしていた。すると天から小さな種族「ピッコル」が降り立ち人間の勇者に黄金の光と1本の剣を与えた。勇者はその光と剣を携えて魔物と戦い、魔物は剣によって大きな箱に封印された。以降、ピッコルがもたらした剣は魔物が封印された箱とともにハイラル王家の元で保管され、人々はピッコルへの感謝を示すために年に一度「ピッコル祭り」を開催するようになった。 時は流れ、人間の世界とピッコルの世界がつながるとされる100年の節目を迎えた。ピッコル祭りが例年になく盛大に行われる中、ハイラル王国のゼルダ姫は、幼馴染の少年リンクを誘い祭りに参加していた。一方、ハイラル城内で行われた恒例の武術大会ではグフーという名の男が優勝し表彰式が行われようとしていた。表彰式に現れたグフーだったが、突然、城内に安置されていたピッコルの剣を折って魔物を封印から開放し、更には強大な魔力を用いてゼルダを石に変えてしまう。リンクは、ハイラル王から、石化を解くためにはピッコルの剣が必要であること、そして折れたピッコルの剣の修復にはピッコルの力が必要であることを聞き、ピッコルを探す旅に出る。 旅の途中、リンクは緑色の帽子のような姿をした謎の生き物・エゼロと出会い行動を共にすることになる。旅が終盤に差し掛かった頃、エゼロはグフーとの関係について語り始める。エゼロとグフーは元々はピッコルであり、グフーは賢者であるエゼロに師事していた。グフーはピッコルでありながら人間が持つ悪しき感情に興味を抱いており、ある日、エゼロがつくった、被る者の願いを叶えるという「願いの帽子」を盗んでしまう。この帽子によりグフーは魔神の力を手に入れ、エゼロを帽子の姿に変えてしまったのだった。 冒険の末にピッコルの剣は修復され「フォーソード」として蘇り、リンクはこの剣を手にしてグフーと対峙する。グフーはゼルダから黄金の光「フォース」を奪って大魔神となるが、フォーソードを持つリンクによって倒される。戦いの後、願いの帽子の力で人々の石化の呪いが解け、荒廃していたハイラルが元に戻ったことを見届けると、エゼロはピッコルの世界へ帰っていった。 エンディングでは、今回の物語が「リンクのはじめての冒険」とされている。 4つの剣(GBA) 『ふしぎのぼうし』から時代が経過し、倒されたはずの魔神グフーが復活する。グフーは各地で若い娘をさらい我が物にしようとしていたが、そこに1人の少年が現れる。少年は手にした剣の力で体を4つに分裂させて戦いに臨み、最終的にその剣でグフーを封印した。封印に用いた剣「フォーソード」は、その後ハイラル王国の管理下で大切に祭られることになる。 さらに時代は下り、封印に異変を感じたハイラル王国のゼルダ姫が知り合いのリンクとともにフォーソードの元を訪れると、すでに封印は解かれており、その場に潜んでいたグフーによりゼルダ姫がさらわれてしまう。リンクは伝承上の少年と同様にフォーソードを手に取って4人に分かれ冒険へ旅立つ。途中、3人の大妖精の力を借りてグフーの待つ風の宮殿へ辿り着き、リンクは再びグフーを封印してゼルダ姫を救出した。 時のオカリナ(N64/3DS) ハイラル王国が統一戦争の戦火に包まれていた頃、ひとりの女性が赤ん坊を連れてハイラル南部にあるコキリの森に逃げ込み、息を引き取った。それから時が経ち、成長した少年リンクは育ての親のデクの樹から自分の運命を告げられ、ゼルダ姫のもとへ旅立った。一方、ゲルドの大盗賊であったガノンドロフは、その知性を生かしてハイラル王家に取り入り、王の信頼を得る。しかしその真の目的は聖地に眠る「トライフォース」の入手とハイラルの支配であった。ガノンドロフの野心を察知したハイラル王家の幼き姫ゼルダは神のお告げにあったリンクと出会い、先にトライフォースを手に入れて野望を阻止する計画を伝える。リンクは各地を巡り、聖地へ入るために必要な3つの精霊石を探し出して、聖地への入り口となる時の神殿へ向かう。しかしこの時、ハイラル城ではガノンドロフがクーデターを起こしていた。 リンクは時の神殿で封印を解き、中に安置されていたマスターソードを抜いて聖地への扉を開く。しかし、隙を突いてガノンドロフが聖地に侵入し「力のトライフォース」を強奪、ガノンドロフは大魔王となり、ハイラル全土を支配していった。一方、マスターソードの力で7年の時を渡り「時の勇者」となったリンクは冒険の中で六賢者を覚醒させたのちにガノンドロフが待つガノン城へと向かい城の最上階でガノンドロフと対峙、死闘の末にこれを撃破する。敗れたガノンドロフは「力のトライフォース」の力を暴走させて巨大な魔物「ガノン」となるが、リンクによって再び倒され、ゼルダ姫と六賢者によって「力のトライフォース」ごと封印される。役目を終えたリンクはゼルダ姫の力によって本来の7年前の時代に戻り、マスターソードは時の神殿にて再び永い眠りにつく。 本作のエンディングでリンクが元の時代へ帰還した後、7年後の未来について元の時代のゼルダ姫に話した事により、以後の時間軸分岐が発生し、ゼルダ史におけるターニングポイントとなっている。『ハイラル・ヒストリア』によると、以後の時間軸は作中での「時の勇者リンクが子供時代に戻った時間軸」「時の勇者リンクが魔王ガノンドロフを倒した時間軸」に加え、作中では語られない「時の勇者リンクが魔王ガノンドロフに敗北した時間軸」が存在する。この「敗北した時間軸」では、ガノンドロフが「力」のみならず「勇気」と「知恵」のトライフォースも手にして魔王ガノンとなったため、七賢者たちが最後の手段としてガノンを聖地ごと封印したとされる。 7年後の世界(魔王ガノンドロフを倒した時間軸)では、リンクが帰還する際、リンクに宿っていた「勇気のトライフォース」が解放され、後にハイラル王家の手により8分割されて管理される。一方で、本来の世界(子供時代に戻った時間軸)に帰還したリンクには勇気のトライフォースが宿ったままとなっている。このことが聖地のトライフォースに影響し、この時代のゼルダとガノンドロフにそれぞれ「知恵のトライフォース」「力のトライフォース」が宿る。帰還したリンクの勇気のトライフォースは、後の時代にあたる『トワイライトプリンセス』のリンクに継承されることになる。
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