奇跡のバックホームとは? わかりやすく解説

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奇跡のバックホーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/03 06:30 UTC 版)

奇跡のバックホーム(きせきのバックホーム)


奇跡のバックホーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 21:37 UTC 版)

第78回全国高等学校野球選手権大会決勝」の記事における「奇跡のバックホーム」の解説

延長10回表、熊本工は井が右翼に入る。松山商渡部一塁ライナー石丸右翼フライ向井右翼ヒット出塁するが、久米三振無得点10回裏、熊本工攻撃開始前、ベンチ澤田は既に疲れ見せていた新田に声をかけたが新田の「行けます」の一言続投決意した。しかし熊本工先頭打者星子左中間を破る二塁打放つと、澤田新田右翼渡部交代させた。続く園村送りバント一死三塁。ここで澤田過去に同じサヨナラ場面で2回負けた苦い思い出があることから、満塁策決断する松山商1969年夏の第51回決勝対三沢戦で延長15回裏の一死二、三塁、16回裏の一死一、三塁ピンチいずれも満塁策切り抜け延長18引き分け持ち込んだことがあった。渡部野田坂田敬遠して一死満塁とし、打席3番本多迎えた。 このとき、渡部に代わって右翼守備に就いていた新田守備交代望んでいた。新田甲子園の三回戦で一度右翼守っただけで県大会では一度守っていなかった上、一度右翼守備練習したことがなかった。一方澤田右翼守備交代について、27年前決勝のように延長長引いた場合備え新田交代させずにおくか、この場を確実に凌くことを優先して守備固めを出すべきかで迷っており、結果的に左打者ロングヒッターである本多なら右翼打球が飛ぶ確率低くない判断、さらにこの時、何処からともなく『今を逃れなかったら後はないんだぞ』という声が聞こえた事もあり 、右翼守備交代決断した新田代わる守備固め起用され矢野勝嗣(まさつぐ)は背番号9を付けた右翼手春の甲子園でも先発出場していたが、その後新田渡部先発二本確立新田先発の時は渡部右翼に入るという起用法とっていたことから甲子園でもスタメン出場渡部先発した2試合のみと控え甘んじていた。加えて打撃不振に陥っており、スタメン出場した準決勝では三打席目で代打出されていた。それでも矢野は腐らず、一塁コーチャーとしてチームを脇から支えていた。澤田右翼へ向かう矢野に「信じてるぞ」と声をかけた。突然の交代となった矢野は、右翼へと着いた後肩回して返球備えたプレー再開され打席立った本多初球高めスライダー振り抜いた打たれ瞬間渡部ホームランだとサヨナラ負け覚悟した。「代わったところに打球は飛ぶ」の格言通り右翼飛んでいった大きな当たりは、NHK総合テレビ実況である高山典久アナウンサーが「行ったー! これは文句なし!」と言ったほどの大飛であった。 だが、打球甲子園特有の強い浜風押し戻され失速右翼線際へのフライとなった背走していた矢野一瞬打球を見失いかけるも、前進して捕球、それと同時に三塁走者星子タッチアップし、サヨナラ勝ち確信する状況でも全力走っていた。この一連のプレー田中は「犠牲フライには十分な飛距離だ、勝った」、澤田も「あ、終わったな」と思ったといい、打った本多自身犠牲フライだと手応え感じた一撃であった一方カットマン返球していたのでは万が一にも間に合わない判断した矢野は、前進して捕球した勢いそのまま力任せにバックホームするも、二塁手一塁手頭上大きく越え山なり送球となってしまった。一塁塁審等はとんでもなく高い返球に「これで終わった」と思い松山商捕手石丸も、普段練習でも矢野幾度となく暴投繰り返していたことを思い返し「またやったか」と星子タッチアップ成功覚悟した送球は3塁側に逸れたため石丸ホームベースから離れ送球ライン上、3塁ファールラインの上構えた。 しかし距離にして80mを超える矢野返球甲子園浜風乗り石丸捕球体勢見てその前をかすめるように右足からのストレートスライディングを敢行した星子目の前通ってミットダイレクト収まった。それとほぼ同時にミットヘルメット接触した星子スライディング後、両手広げてセーフ」を、石丸ボール入ったミット高く差し上げタッチアウト」をそれぞれアピール一塁ファールグラウンド見ていた田中美一球審アウト宣告したタッチが行われた瞬間星子右足ベース届いていなかった写真撮影されている。星子スライディング体勢ベース届かず星子の体に送球捕球妨げられず、星子の体にぶつかるという条件満たした箇所での捕球だったからこそであり、ボール逸れたことも幸運であった。少しでも球がずれていればセーフとなる、奇跡に近いピンポイント返球である。ダブルプレー熊本工は3アウトとなり、絶好サヨナラ勝ち機会逃した星子信じられないような表情浮かべ犠牲フライ確信し一塁手前でバンザイをしていた本多は、そのまま呆然と立ち尽くした。なぜあの深い位置からの返球アウトになったのかと、球場興奮どよめき包まれた。テレビでNHKで「フォースプレーですからタッチいらない」(すぐさま訂正している)、テレビ朝日系列中継当時朝日放送制作)では「(返球が)ホームベースまん真ん中に来ましたね」と誤った話をしてしまうほどであったバックホームした矢野当人クロスプレー状況こそはっきりと見えなかったものの、一塁手今井が踊るように喜んでいるのを見てアウト知り飛び跳ねるように引き揚げてきた。そんな矢野を、澤田ベンチ強く抱きしめた。 ちなみに朝日放送制作テレビ中継実況担当した中邨雄二は、「奇跡」という表現一切交えず一連のプレー伝えていた。中邨は、スポーツアナウンサーとしての大先輩に当たる植草貞夫同局勤務していた時期に、高校野球をはじめスポーツ中継での実況経験豊富な植草から「『奇跡』なんて簡単に起こるものではない。『奇跡の』や『世紀の』といった派手な表現本当に使っていいのかを、きちんと吟味できない一流アナウンサーとは言えない」と教わっていた。本人朝日放送テレビ定年60歳)を間近に控えた2022年初頭語ったところによれば、「試合後から報道などで『奇跡のバックホーム』と呼ばれるようになってからは、実況で『奇跡』と言わなかったことを何年後悔していた。このような葛藤2012年頃に(野球中継実況から既に退いていた)植草打ち明けたところ、『「奇跡」という言葉を使わなかった君の判断正しいと思う』と言われたので心が晴れたとのことである。

※この「奇跡のバックホーム」の解説は、「第78回全国高等学校野球選手権大会決勝」の解説の一部です。
「奇跡のバックホーム」を含む「第78回全国高等学校野球選手権大会決勝」の記事については、「第78回全国高等学校野球選手権大会決勝」の概要を参照ください。

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