大和路快速とは? わかりやすく解説

大和路快速

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/05 07:15 UTC 版)

大和路快速
大和路快速で運用される221系電車
概要
日本
現況 運行中
地域 大阪府奈良県京都府
運行開始 1989年4月10日
運営者 西日本旅客鉄道(JR西日本)
路線
起点 天王寺駅
終点 奈良駅加茂駅五条駅
営業距離 72.2 km (44.9 mi)(天王寺 - 大阪 - 加茂間)
79.2 km (49.2 mi)(天王寺 - 大阪 - 五条間)
列車番号 3303Kからの奇数(天王寺・大阪環状線方面)
3304Kからの偶数(奈良・加茂方面)
一部欠番あり
使用路線 大阪環状線関西本線大和路線)・和歌山線
車内サービス
クラス 普通車
座席 普通車指定席快速 うれしート」:1号車半室(一部列車のみ)
普通車自由席:上記以外
技術
車両 221系電車
吹田総合車両所奈良支所
軌間 1,067 mm
電化 直流1,500 V
最高速度 120 km/h
備考
指定席を設定する列車には「Q大和路快速」の列車名が付く
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大和路快速の方向幕

大和路快速(やまとじかいそく)とは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が天王寺駅 - 奈良駅加茂駅・高田駅・五条駅間を大阪環状線関西本線大和路線)および和歌山線経由で運転している列車種別である[1][2]

概要

大阪環状線と大和路線とを直通して運行される列車のうち、大阪環状線内でも快速運転を行うものを大和路快速とし、大阪環状線内各駅に停車する列車は区間快速として区別されている[2]

元々、大阪環状線は東半分(京橋鶴橋方面)の輸送量が圧倒的に多かったこともあり、この区間の混雑緩和を目的(大阪・天王寺間直通客を西半分経由に誘導)として1964年3月のダイヤ改正で大阪環状線で快速列車が運転を開始した[3][4]。その後、1973年に関西本線が電化されたこともあり、近鉄奈良線に対抗するために同年10月1日から大阪環状線の快速と関西本線の快速を組み合わせた快速列車を、主に休日昼間に113系を使って運転を開始した[4]。写真にある車両先頭部に「快速 奈良←→大阪(環状線)」のヘッドマークをつけて運転しており、1974年7月20日からは平日ダイヤでも運転されるようになった[5]。これが大和路快速の前身である。そして国鉄末期の1986年、天王寺鉄道管理局による「あなたとなら・大和路キャンペーン」の中で、「快速・大和路号」の愛称が付けられた[6]

民営化された後も113系の運用が続いたが、スピードアップとさらなるサービスアップを目的として、1989年にそれまでの113系に代えて221系を関西本線直通の快速列車に投入し、あわせて1989年3月のダイヤ改正により「大和路快速」と名づけられた[7]。転換クロスシートを備えた車両の投入によるグレードアップと、最高速度を120km/hに引き上げによる運転時分の短縮がおこなわれ、所要時間は大阪駅 - 奈良駅間で45分、天王寺駅 - 奈良駅間で30分に短縮された[7]

1995年9月30日の改正により大阪駅 - 奈良駅間の所要時間を41分[8]、天王寺駅 - 奈良駅間を29分にまで縮めたが、2001年3月3日のダイヤ改正時で久宝寺駅が停車駅に追加され、大阪駅 - 奈良駅間の所要時間が最速44分に延長された。JR福知山線脱線事故の影響を受けた運転時分の見直しが行われた2006年3月18日ダイヤ改正では、天王寺駅 - 奈良駅間で所要時間が最速33分、朝ラッシュ時上りの運転時間も最速38分にまで延びている[9]。2023年3月現在でも天王寺駅 - 奈良駅間の最速は同じく33分であるほか、大阪環状線内の停車駅増などにより大阪駅 - 奈良駅間の最速は50分にまでスピードダウンしている。

運行概況

全列車が吹田総合車両所奈良支所に所属する221系を使用し、王寺駅で分割された列車を除き8両編成で運行されている[10]

設定当初は6両のみであったが、利用客の増加に伴い8両編成での運転が増加し、2020年3月14日のダイヤ改正で全列車が8両編成となった。混雑の激しい大阪環状線での運行も行うためである[要出典]

2022年3月12日のダイヤ改正現在[11]、平日・土休日ともに日中から夕方にかけて1時間あたり大阪環状線 - 奈良駅間で4本(15分間隔)、奈良駅 - 加茂駅間で1本(1時間隔)運転されている[2]。また、土休日ダイヤでは朝・夜間にも運転されているほか、夕方には王寺駅で分割を行い和歌山線に直通する五条行き・高田行きが併結されている列車も2本設定されている。和歌山線から大阪環状線に直通する列車は設定されていない。

天理教祭礼時(おおむね毎月26日やその前後と1月4 - 6日)が土曜・休日ダイヤの場合は6両編成の大和路快速がそのまま奈良駅折り返しで天理駅まで延長運転されている[要出典]。しかし、現行のダイヤ設定では祭典の開始時間に間に合わないため信者の利用は少ない[要出典]。また過去には春と秋の行楽期には加茂行きの8両編成のうち後ろ2両を「奈良万葉レジャー号」として奈良駅で分割し、天理駅・桜井駅経由で高田駅まで延長運転されていたこともあるが近年の設定は無い[要出典]

大阪環状線内では天王寺駅の環状線ホーム発着を基本とするが、一部京橋駅発着の列車が存在する。  

停車駅

天王寺駅 -(鶴橋駅京橋駅を経由して各駅停車)- 大阪駅 - 福島駅 - 西九条駅 - 弁天町駅 - 大正駅 - 新今宮駅 - 天王寺駅 - 久宝寺駅 - 王寺駅 -
-(この間(大和路線)は各駅停車)- 加茂駅
または
-(この間(和歌山線)は各駅停車)- 五条駅

大阪環状線内は原則、野田駅芦原橋駅今宮駅を除く各駅に停車する。


歴史

  • 1973年昭和48年)10月1日関西本線湊町駅(現在のJR難波駅) - 奈良駅間が電化され、これにより大和路快速の原型となる大阪環状線直通の快速が、休日の日中のみ運転開始[4]
  • 1974年(昭和49年)7月20日:大阪環状線直通の快速運転を平日の日中にも拡大[12]
  • 1989年平成元年)
    • 4月10日:関西線での221系の運用が開始され、大阪環状線直通の快速に大和路快速の名称がつけられる。
    • 7月20日113系による大和路快速の定期運用が終了。
  • 1990年(平成2年)3月10日:大和路快速の最高速度120km/h運転を開始[7]
  • 1995年(平成7年)9月30日:ダイヤ改正により、大阪駅 - 奈良駅間の所要時間が41分にまで短縮[8]
  • 1997年(平成9年)3月8日:日中は基本的に加茂駅までの運転になる[13]
  • 2001年(平成13年)3月3日:久宝寺駅が停車駅になる[14]
  • 2011年(平成23年)3月12日:ダイヤ改正により、次のように変更[15]
    • 大正駅が停車駅になる。
    • 日中1時間あたりの運転本数が3本から4本に増発(2本が奈良駅発着、2本が加茂駅発着)。
    • この改正までは大阪環状線内を一周して天王寺駅発着のみであった大和路快速・区間快速は、この改正で新たに一周せずに京橋駅を発着とする列車を一部設定する。
  • 2012年(平成24年)3月17日:ダイヤ改正により、福島駅が停車駅になる[16]
  • 2015年(平成27年)3月14日:ダイヤ改正により、休日の夜間に大和路快速を増発[11]
  • 2020年令和2年)3月14日:ダイヤ改正により、全列車が8両編成に統一される[10]
  • 2024年(令和6年)3月16日:ダイヤ改正により、土休日の一部列車で指定席快速 うれしート」を導入[17]

脚注

  1. ^ 鉄道ジャーナル』2011年7月号、鉄道ジャーナル社
  2. ^ a b c 『JR時刻表』2012年3月号、交通新聞社
  3. ^ 寺本光照『国鉄・JR関西圏近郊電車発達史 大阪駅140年の歴史とアーバンネットワークの成立ち』JTBパブリッシング、2014年、p.81。4-533-09794-2。
  4. ^ a b c 寺本光照『国鉄・JR関西圏近郊電車発達史 大阪駅140年の歴史とアーバンネットワークの成立ち』JTBパブリッシング、2014年、p.88。4-533-09794-2。
  5. ^ 『関西の鉄道』1999年陽春号、関西鉄道研究会、1999年、p.11。
  6. ^ 当時発売されたオレンジカードに、「快速・大和路号」の表記が見られる。
  7. ^ a b c 寺本光照『国鉄・JR関西圏近郊電車発達史 大阪駅140年の歴史とアーバンネットワークの成立ち』JTBパブリッシング、2014年、p.115 - p.117。4-533-09794-2。
  8. ^ a b “JR西日本 「大和路快速」スピード向上 大阪-奈良41分に”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (1995年8月31日) 
  9. ^ 平成18年3月18日ダイヤ改正インターネットアーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース、2006年1月30日。
  10. ^ a b 2020年春ダイヤ改正について (PDF) - 西日本旅客鉄道近畿統括本部プレスリリース 2019年12月13日
  11. ^ a b 『JR時刻表』2015年3月号、交通新聞社
  12. ^ 「大阪環状線の歴史」『鉄道ピクトリアル』2009年6月号、電気車研究会、p.22。
  13. ^ 平成9年3月アーバンネットワークのダイヤ改正についてインターネットアーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 1996年12月16日
  14. ^ -平成13年3月 ダイヤ改正について-(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 1996年12月8日
  15. ^ 平成23年春ダイヤ改正について (PDF) (インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道近畿統括本部プレスリリース 2010年12月17日
  16. ^ 平成24年春ダイヤ改正について (PDF) - 西日本旅客鉄道近畿統括本部プレスリリース 2011年12月16日
  17. ^ 2024年3月16日 ダイヤ改正を実施します 西日本旅客鉄道、2023年12月15日(2023年12月15日閲覧)

関連項目


大和路快速

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 03:51 UTC 版)

大和路線」の記事における「大和路快速」の解説

詳細は「大和路快速」を参照 大和路快速は大阪環状線直通して大阪環状線 - 新今宮駅 - 奈良駅加茂駅間で運行されている。天王寺駅では大阪環状線ホーム発着し、大阪環状線一周して再び天王寺駅通り大和路線へ入る運転系統となっているが、京橋駅発着列車設定されている。大阪環状線内では、天王寺駅 - 京橋駅 - 大阪駅間は各駅に停車し大阪駅 - 弁天町駅 - 新今宮駅間は快速運転を行う。大阪駅 - 加茂駅間では福島駅西九条駅弁天町駅大正駅新今宮駅天王寺駅久宝寺駅王寺駅からの各駅に停車する日中土休日ダイヤ夜間1時間に4本(奈良駅 - 加茂駅間は1 - 2本)が運行されている。関西本線大阪環状線直通する快速列車1973年10月7日から運転されており、当初休日のみであったが、1974年7月20日からは平日日中にも20分間隔で運転されるようになった。「大和路快速」の名が付いたのは1989年3月11日からで、この列車名公募付けられた。その後大阪ステーションシティグランドオープン先駆けて行われた2011年3月12日ダイヤ改正1時間あたり4本に増発され(ただしこのとき、奈良駅 - 加茂駅間は逆に毎時3本が2本へ減便となった)、8両編成での運用増えた2015年3月14日ダイヤ改正では土休日運転時間帯が21時台まで拡大された。 土曜休日ダイヤ一部列車は、王寺駅後ろ編成分割し和歌山線高田五条方面へ直通運転をしている。加茂駅発着列車半数加茂駅関西本線伊賀上野亀山方面列車相互接続を行う。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}過去には桜井線経由定期列車存在していた。[要出典] 基本的に久宝寺駅普通列車接続する。また王寺駅では同駅折り返し普通列車接続する。 全列車221系使用し2020年3月14日ダイヤ改正より全列車8両編成運転されている。 最高速度後述直通快速と同様120km/h運転である。

※この「大和路快速」の解説は、「大和路線」の解説の一部です。
「大和路快速」を含む「大和路線」の記事については、「大和路線」の概要を参照ください。

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