報道姿勢への対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 11:42 UTC 版)
岩瀬の取材に対し、朝日新聞社は事実上回答を拒否している。ただし、「特殊候補」については、その締め出しは「選挙報道に関する確立された判例をいくつか参照」すれば何ら批判される行為ではないという旨の回答があった。また、産経新聞記者村山雅弥のブログによると、「売名的な行為に手を貸すことになるとの考え方から、弊紙では候補者のプロフィール記事などでは泡沫候補を外し、それ以外の人を「主な候補者」といった形で紹介しています。」と産経新聞では泡沫候補の排除を行っていることを明らかにしている。 その一方で、小田全宏(松下政経塾出身)らによる「リンカーン・フォーラム」や青年会議所などが中心となって開催される「候補者公開討論会」「候補者合同個人演説会」などでは、公然と泡沫候補の徹底排除を指示している。すなわち、泡沫と認定した候補者は討論会に呼ばず、来ても排除するために独自のマニュアルを作成している。また、「泡沫」ではない出席者が1人しかいない場合は、他に出席する意向の候補者がいても、討論会そのものを中止にしてしまう例が見られる。 また、その候補者がまじめか売名目的かといった基準は、結局主観に左右されるため、実際にはその候補者の得票予測で基準が設定されていると見られている。 ただし、候補者の内容にかかわらず、法律上の政党要件を満たした政党公認を受けたり、無所属であっても当選の可能性がある候補者を排除することはない。また、それまでの選挙で「特殊候補」として無視されていても、その候補者が政党の公認を受ければ、「一般候補」としての扱いになる。さらに、選挙戦が一騎討ちとなった場合、片方は普段は無視される「特殊候補」扱いを受けていても、この時だけは政見も含めて報じることもある。一騎討ちでなおかつ片方を「特殊候補」扱いする場合は、「(有力と見なした候補に対する)事実上の信任投票」などと報じられる。また6人が立候補し、このうち2人が特殊候補である場合に「事実上4人の争い」とするような表記もしばしば行なわれる。 政党については、法律上の政党要件の有無、国会議員所属の有無が大きな評価基準となっている。公職選挙法における政党要件は、以下の基準である。 所属国会議員が5人以上いれば、無条件 所属国会議員数にかかわらず、直近の衆院選か参院選で全国得票率が2%以上 ただし、政治資金規正法では、所属国会議員が1人以上いれば、参院選は前々回に2%以上でも要件を満たす たとえば、新社会党は第18回参議院議員通常選挙(1998年)までは議席を持っていたので、独自の党名で報じられた。しかし、以降は政党要件と議席を失ったため「諸派」扱いに転落した。政党要件の有無は大きな比重を占めているようで、第44回衆議院議員総選挙(2005年)では候補者を立てなかった自由連合(この時点で政治資金規正法上の政党要件あり)が議席勢力図には掲載されているのに、新党大地は議席を獲得したにも関わらず、政党要件を得ていないことから、NHKを除き勢力図では「諸派1議席」として扱い、注釈で新党大地としていた。第45回衆議院議員総選挙(2009年)では自民党や民主党を超える337人の候補者を擁立した幸福実現党でも泡沫候補扱いにされたが、NHKと産経新聞は「諸派」ではなく、党名で報じた。なお、幸福実現党はその後国会議員の入党者があった(のちに離党)ため、国会議員が在籍していた間は、他の全国紙も党名表記になった。また、新党大地は民主党を除籍(除名)された国会議員などを迎え、政党要件を得たため、第46回衆議院議員総選挙(2012年)では党名表記になった。 政党要件は、公職選挙法と政治資金規正法で基準が違うため、両者が使い分けられることがある。新党日本は、第46回総選挙の時点で、国会議員1人で前々回(2007年、第21回参院選)のみ全国得票率が2%を超えていたため、公職選挙法上の政党要件は失っていたが、政治資金規正法上の政党要件は維持していた。2012年11月30日に日本記者クラブ主催で行われた党首討論会では、政党要件を満たした政党のみが招かれたが、新党日本の田中康夫代表は、公職選挙法上の政党要件を失ったことを理由に招かれなかった。同様に、新党改革は第47回総選挙の時点で、国会議員1人で前々回(2010年、第22回参院選)のみ全国得票率が2%を超えていたため、公職選挙法上の政党要件は失っていたが、政治資金規正法上の政党要件は維持していた。2014年12月1日に日本記者クラブ主催で行われた党首討論会では、前回の新党日本と同様の理由で、新党改革の荒井広幸代表は招かれなかった。 また、同じ政党要件なし・国会議員不在の党派でも、確認団体となっているかどうかで、さらに差異を付けている場合もある。NHKは、確認団体となっている団体は「諸派」扱いせず党名で呼び、選挙区の報道でも、時間は短いが選挙運動を含めて報じる。しかし、確認団体となっていない党派は「諸派」扱いであり、その候補者個人が有力候補と判断されない限り、最低限の情報しか報じない(ただし前出の通り、幸福実現党は確認団体ではない衆院選でも、党名で報じた)。 地域政党、あるいは(本来は全国政党だが)特定の地域で勢力を維持している政党の場合は、その地域内では独自の党名で報じられるが、全国的には諸派扱いされることもある。前出の新党大地(北海道)や、沖縄社会大衆党(以後「社大党」、沖縄県)が代表例である。たとえば、社大党は地元紙では県議会の勢力を基準に社会民主党・日本共産党・公明党に次ぐ政党として扱われるが、全国的には「諸派」扱いされることが多い。 社大党が無所属として東京都に候補者を立てた第19回参議院議員通常選挙では、全国紙の判断は分かれ、有力候補と扱ったマスコミもあれば、泡沫扱いしたマスコミもあった。また、選挙前まで議席を持っていた、第二院クラブが推薦を決めた後に、有力候補に格上げしたマスコミもあった。
※この「報道姿勢への対応」の解説は、「泡沫候補」の解説の一部です。
「報道姿勢への対応」を含む「泡沫候補」の記事については、「泡沫候補」の概要を参照ください。
- 報道姿勢への対応のページへのリンク