嚮導駆逐艦とは? わかりやすく解説

嚮導艦

(嚮導駆逐艦 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/22 03:46 UTC 版)

嚮導艦(きょうどうかん)[1](flotilla leader)は、駆逐艦隊指揮する旗艦小型巡洋艦あるいは大型駆逐艦がその任に当たり、駆逐艦の場合は嚮導駆逐艦(きょうどうくちくかん)[1](destroyer leader)と呼ばれる。 第一次世界大戦で発展した艦種だが、ワシントン海軍軍縮条約ロンドン海軍軍縮会議後の発展や運用は、地域や各国で異なる[2][注釈 1]


注釈

  1. ^ a b c d e 超驅逐艦たる水雷戰隊嚮導艦は、歐洲戰爭中著しく發達した新艦型であつて、驅逐艦を以て編成せる水雷戰隊を戰闘に導かんが爲使用せられたもので、驅逐艦に比すれば幾分大型であり、戰隊司令官坐乗し、作戰上至大の便益を得たものである。之は輕便なる艦型の一であり、砲力比較的大に、通信装置も亦優秀であつた爲め、過般の戰爭に於て頗る有用のものたるを示したのであつて、當時一般に承認せられた所である。尚此等大型の驅逐艦が巡洋戰艦々隊の障屏となることも認められたのであるが、それは主として波荒き海上に於て、高速力を維持するの能力を具へて居る爲であった。
    歐洲戰爭の期間中交戰者たる列國海軍が、米國を除き此の型種の艦多數を製造した事實に徴すれば、其の價値あることを證明するに足りる。則ち英國は三十四隻を下らざる本型種の艦を其の艦隊に加へ、獨逸は又未曾有の大さと武力を有する水雷戰隊嚮導艦を起工し、伊國及日本に於ては共に或着目に値すべき計畫上の發展を見た。佛國の新造艦案中には又二千噸の嚮導艦六隻を包有し、米國海軍省も亦之が建造上尚議會の協賛を經ることを要するけれども、本型種の艦に對する計畫を準備したものとして知られてゐる。
    華府會議結了後は、列國とも其の精神を尊重するの意に出づるのか、将た又財力の如何に由るのか、水雷戰隊嚮導艦の如き小型種の輕巡洋艦に類する者を建造する代りに、砲力速力共に優秀なる輕巡洋艦をして、水雷戰隊嚮導艦の任務に就かしむる傾向を生ずるに至つた。[3]
  2. ^ a b 「四、列國の嚮導驅逐艦 日本」/日本海軍には嚮導驅逐艦なる類別はありません。ですから新型一等驅逐艦中の大型を假に嚮導驅逐艦として説明しませう。昭和八年(一九三三年)三月竣工した駆逐艦は基準排水量一,七〇〇噸の雷級二十三隻(深雪缺)中の最新のものであります。この級の排水量も猶ほ制限度より一五〇噸少いのです。其後計畫建造せられたものは一,五〇〇噸以下となつてゐます。[5]
  3. ^ (性能比較表略)以上の二表を對照するに日米兩國は特に水雷戰隊嚮導艦と稱するが如き小型輕巡洋艦を建造せずして、輕巡洋艦を以て之に代へつゝあることは、各種演習に於ける部隊の編成上明白なる所であるが、歐洲戰爭に直接の關係を有つてゐた英佛伊の三國中、英伊のみ依然として水雷戰隊嚮導艦なる名稱を附し、大型驅逐艦に酷似するものを建造しようとするのは、大正十一年六月佛國兩院を通過した同國の製艦計畫に對抗するの意ではないかを疑ふのである。(以下略)[6]
  4. ^ a b 「五、水雷戰隊」/驅逐艦は、分離別働し得べき最少單位ではありますが、其の戰闘力は小さすぎて、一隻丈では成功の望みが少いために、其の幾隻かを集めて一隊を編制し、其の兵力を集合して有力なる戰闘單位としなければなりません。これが即ち驅逐隊であります。そして驅逐隊の本務は水雷戰を其の職分とし、特に夜間の接戰を重要なる任務とする關係上、之に適するやうな編制が必要であります。現今四隻編制が最も良いと考へられますが、三隻編制としてゐる處もあります。
    そして多數の驅逐艦を運用、指揮統率し、協同動作を遂げさせるために編制せられたものを、水雷戰隊と稱するのであります。通常一隻の旗艦と數隊の驅逐隊とから編成せられ、その指揮統率のため将官を配し、別に快速巡洋艦一隻を其の旗艦とし全隊の指揮統率を司るのであります。[7]

出典

  1. ^ a b #海軍参考年鑑(大正13年)、コマ25-26(原本17-19頁)「(二)水雷戰隊嚮導艦及驅逐艦」
  2. ^ #最新国防叢書(1938)、コマ16-17(原本12-14頁)「三、嚮導驅逐艦」
  3. ^ #海軍参考年鑑(大正13年)、コマ25(原本17頁)
  4. ^ #最新国防叢書(1938)、コマ18(原本16-17頁)「四、列國の嚮導驅逐艦 米國」
  5. ^ #最新国防叢書(1938)、コマ17(原本14-15頁)「日本」
  6. ^ #海軍参考年鑑(大正13年)コマ25(原本19頁)
  7. ^ #最新国防叢書(1938)、コマ20-21(原本21-22頁)「五、水雷戰隊」
  8. ^ #最新国防叢書(1938)、コマ20(原本20-21頁)「列國新嚮導驅逐艦」


「嚮導艦」の続きの解説一覧

嚮導駆逐艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/21 05:58 UTC 版)

アメリカ海軍駆逐艦一覧」の記事における「嚮導駆逐艦」の解説

1975年フリゲート(ミサイル・フリゲート)の艦種廃止される。そのため、DLG-6 ファラガットからDLG-15 プレブルまではDDG-37~DDG-46に、またDLG-16 リーヒからDLGN-40 ミシシッピまではCG-16~CGN-40にそれぞれ艦種変更されている。DL-1からDL-5はこの時、既に退役していたため艦種変更はされていないノーフォーク (USS Norfolk, DL-1) ミッチャー (USS Mitscher, DL-2) ジョン・S・マケイン (USS John S. McCain, DL-3) ウィリス・A・リー (USS Willis A. Lee, DL-4) ウィルキンソン (USS Wilkinson, DL-5) ファラガット (USS Farragut, DL-6):DDG-37に艦種変更ルース (USS Luce, DL-7):DDG-38に艦種変更マクドノー (USS Macdonough, DL-8):DDG-39に艦種変更クーンツ (USS Coontz, DL-9):DDG-40に艦種変更キング (USS King, DL-10):DDG-41に艦種変更マハン (USS Mahan, DL-11):DDG-42に艦種変更ダールグレン (USS Dahlgren, DL-12):DDG-43に艦種変更ウィリアム・V・プラット (USS William V. Pratt, DL-13):DDG-44に艦種変更デューイ (USS Dewey, DL-14):DDG-45に艦種変更プレブル (USS Preble, DL-15):DDG-46に艦種変更リーヒ (USS Leahy, DLG-16) ハリー・E・ヤーネル (USS Harry E. Yarnell, DLG-17) ウォーデン (USS Worden, DLG-18) デイル (USS Dale, DLG-19) リッチモンド・K・ターナー (USS Richmond K. Turner, DLG-20) グリッドレイ (USS Gridley, DLG-21) イングランド (USS England, DLG-22) ハルゼー (USS Halsey, DLG-23) リーヴス (USS Reeves, DLG-24) ベインブリッジ (USS Bainbridge, DLGN-25) ベルナップ (USS Belknap, DLG-26) ジョセファス・ダニエルズ (USS Josephus Daniels, DLG-27) ウェインライト (USS Wainwright, DLG-28) ジョーエット (USS Jouett, DLG-29) ホーン (USS Horne, DLG-30) スタレット (USS Sterett, DLG-31) ウィリアム・H・スタンドレイ (USS William H. Standley, DLG-32) フォックス (USS Fox, DLG-33) ビドル (USS Biddle, DLG-34) トラクスタン (USS Truxtun, DLGN-35) カリフォルニア (USS California, DLGN-36) サウス・カロライナ (USS South Carolina, DLGN-37) ヴァージニア (USS Virginia, DLGN-38) テキサス (USS Texas, DLGN-39) ミシシッピ (USS Mississippi, DLGN-40) アーカンソー (USS Arkansas, CGN-41):1975年艦隊再編成後承認されたため、艦種としてはフリゲートではないがヴァージニア級フリゲートである。

※この「嚮導駆逐艦」の解説は、「アメリカ海軍駆逐艦一覧」の解説の一部です。
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