初期の前輪駆動車とは? わかりやすく解説

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初期の前輪駆動車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 03:46 UTC 版)

前輪駆動」の記事における「初期の前輪駆動車」の解説

20世紀初頭、後の第一次世界大戦後高速戦車開発成功を収めるアメリカ合衆国発明家ジョン・W・クリスティーが、ガソリン前輪駆動車開発先鞭をつけた。クリスティー1904年以降、約10年間にわたって特異な前輪駆動車設計取り組み1905年ヴァンダービルト杯1906年フランスグランプリなど、初期の大レースにも盛んに参加したクリスティー前輪駆動車巨大なV型4気筒エンジン車両前部に横置きし、そのエンジンクランクシャフト両端クラッチを介して直接左右前輪接続するという、変速機搭載しない極めて粗野な構造であった(ただしスライディングピラー前輪独立懸架付きであった)。最大排気量19,981 ccにも及んだ大出エンジンによって高速走行実現したが、操縦難しくクリスティー本人も含む運転者重傷事故多発し死者出ている。 その後クリスティー1909年市販企図したタクシー向けの前輪駆動車開発した。それははるか後年ジアコーサ方式にも似たエンジンとトランスミッションを横置きで直列配置し真下前車軸に動力伝達する手法採用前輪独立懸架採用していた。さらに1912年には、既存馬匹牽引式蒸気消防車前方前輪駆動走行ユニット組み付けタイプ自走消防車開発した。しかしクリスティー開発した各種野心的な前輪駆動車は、当時技術水準に対して着想が高度すぎた上に商業的に高価で、いずれも成功しなかった。クリスティー第一次世界大戦中戦車開発注力するようになり、前輪駆動車開発からは離れいった。 1920年代には、変速機差動装置一体化したトランスアクスル備えるより現実的な前輪駆動車出現した四輪自動車前輪駆動に関する理論的な解析概して乏しい状態であったが、感覚的に後輪による推進よりも、前輪による牽引の方が安定性優れているであろう」と考えた技術者たちが、レーシングカー前輪駆動導入していた。1925年から1926年にかけて、アメリカ自動車設計者であるハリー・ミラー英語版)による1.5 L 8気筒エンジンの「ミラー・レーサー」と、フランス技術者ジャン=アルベール・グレゴワール(フランス語版)およびピエール・フナイユ (Pierre Fenaille) による1.1 L 4気筒エンジンの「トラクタ・ジェフィ (Tracta Gephi)」が世に送り出された。いずれも重心シャーシ過給器付き高性能エンジンとの組み合わせ潜在能力高く前者インディ500数年間にわたって上位入賞後者ル・マン24時間レース1927年設計者自身の手完走1930年には1,100 ccクラスの1位2位入賞達成するなど、サーキット優れた成績収めた。 この実績活かしてミラー自動車ディーラーのエレット・ロヴァン・コードの依頼大型高級車コード英語版)・L29」(1929年)を、グレゴワールは「トラクタ英語版)」の市販モデル1927年)をそれぞれ開発したが、いずれも少量生産終わっている。 時を同じくして、ミラー成功刺激されアメリカ大手自動車メーカー前輪駆動方式検討するうになるが、ジョイント問題から頓挫した。 これらを含めて第二次世界大戦以前開発された初期の前輪駆動車の多く商業的技術的に成功しなかったのは、前輪駆動するジョイント円滑性・耐久性の面で未熟であったことや、前輪車体最先端に置き、エンジンそれより後方に縦置きするという、同時代後輪駆動車に影響されレイアウトいわゆるフロントミッドシップ)を採用しており、駆動輪荷重不足で十分な駆動力得られなかったためである。これは発進時登坂路において顕著な問題となった前車軸が車体最先端位置したコードL29場合前後輪の荷重比率38:62で、駆動輪である前輪荷重の不足が甚だしかったまた、ジョイント制約から回転半径大きくなった。 これらとは別に1920年代アメリカでは前輪駆動が主となるフォークリフト開発普及始まった

※この「初期の前輪駆動車」の解説は、「前輪駆動」の解説の一部です。
「初期の前輪駆動車」を含む「前輪駆動」の記事については、「前輪駆動」の概要を参照ください。

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