二重契約問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 06:06 UTC 版)
「ギド・ヴァン・デル・ガルデ」の記事における「二重契約問題」の解説
ギド・ヴァン・デル・ガルデはスーパーアグリF1チームと2007年シーズンのリサーブ&テストドライバーとして契約し、FIA契約承認委員会に2007年1月23日提出された。しかし、後日行われたスパイカーF1の新車発表会にテストドライバーとして参加。本人も『僕はスパイカーの一員だ』と話した。これに対しスーパーアグリは契約は我々と結んでいると主張。実際に契約承認委員会に承認されている契約はスーパーアグリF1チームのもので、スーパーライセンスの申請権もスーパーアグリにあった。 ガルデがスーパーアグリのマシンで走行したのは契約後の2月1日に行われたバルセロナ合同テストで4周しか走らなかったため、突然の移籍を表明したという見方もできるが、こうなった理由は存在した。元々、『資金の持ち込みを前提に契約したが、期日までに入金がなされなかったのでテスト途中段階でお引き取り頂いた。既に弁護士を通じ裁判段階に入っている。ギドはどうやったってスパイカーには乗れないよ』とスーパーアグリのチームオーナーである鈴木亜久里が話したように、ガルデがスーパーアグリとの契約条件を満たしていなかった結果である。その資金の持込というのはガルデのパーソナルスポンサーであるテルフォートからの500万ドル(約6億円)のことであるが、ガルデの出身国であるオランダはF1へのスポンサーシップに積極的な国で、さらにオランダ系の企業のスポンサーを見つける可能性もあった。 この契約トラブルについては、本人の意思と言うよりもマネージメントサイドの問題であることは間違いないが、本人がインタビューに対し『2つのチームが自分を取り合うのは、自分が魅力的なドライバーである証拠だから、決して悪いことではない』という見当違いな発言をするなど、自身へ与える印象に更なる悪影響を及ぼすこととなった。 彼は「違約金を払ってスーパーアグリを離れる」か、「スパイカーが契約を買い取る」か、もしくは「スポンサーに入金を頼んでスーパーアグリの一員となる」かが彼に残された道となった。だが、スパイカーのマネージングディレクターであるコリン・コレスは、すでに『ギドの契約問題は彼自身が解決すべき問題』と発言し、チームとして彼を擁護する意向は無く、言わば四面楚歌の状態となった。彼自身にドライバーとしての能力が充分にあったとしても、彼のマネージメントがF1チームからの信頼を失う状況となってしまった。その結果、F1でのテストドライバーのポジションを失っただけでなく、ステップアップの機会も失うこととなった。そのため、2008年はワールドシリーズ・バイ・ルノーで2年目のシーズンを戦った。
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二重契約問題
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「ジェレミー・パウエル」の記事における「二重契約問題」の解説
2008年1月11日にオリックス・バファローズが入団合意を発表。年俸約5500万円(推定)+出来高払いの単年契約で、背番号は50となり、メディカルチェックを経て近日中に正式契約を結ぶ予定だった。それまでの球界の常識として「獲得を発表した選手には手を出さない」のが暗黙のマナーであったが、1月29日に福岡ソフトバンクホークスが獲得の発表を行った。これに対しオリックスは「問題がある」としてパシフィック・リーグ連盟(パ・リーグ)に異議申し立てを行った。この時点ではオリックス球団公式サイトの選手名簿や、春季キャンプ参加メンバーにパウエルも背番号と顔写真付きで掲載されていた。 オリックス側は「球界の暗黙の良識の根幹を揺るがす事態」であり、22日早朝にファックスで送られた自署入りの契約書のコピーが契約合意の根拠と主張した。パウエルの行為は二重合意で、ソフトバンクの獲得取り下げと不当性を訴えた。オリックス球団本部長の中村勝広も「寝耳に水。契約の盲点を突かれた」と漏らしたほか、清原和博からは「登録名を『お金』にしろ」と皮肉られた。一方、ソフトバンク側は「日本では統一契約書が正式な所属を決定付ける唯一の物」と主張し、署名・押印も済ませた統一契約書を持っていることを根拠とした。 オリックスの異議申し立てを受け、パ・リーグは1月30日に両チームから事情聴取を行った。その結果、パ・リーグ会長の小池唯夫は「両球団とも正当な手続きを踏んでおり、二重契約である可能性が濃厚」との判断を示し、両球団で持ち帰って再検討するように指示した。この判断に対し、オリックス側は契約の有効性が認められたことから「前進した」と評価したものの、「こんなことがまかり通れば『外国人天国』になる」と懸念を示した。 その後、両球団での解決の進展が全く見出せなかったため、2月4日に小池は、パウエルのソフトバンクへの支配下選手登録申請を認める見解を示し、両球団に勧告した。球界を混乱させたという点を重視し、申請の受理は6月23日以降として実質的に、パウエルの開幕から3ヶ月間の出場停止措置を取った(ただしオリックス側の合意があればそれ以前の受理も可能とした)。この勧告に対してオリックス側は「何の解決にもならない」と不満を示し、ソフトバンク側も受け入れる姿勢を見せたものの、二重契約との印象を植え付けたとしてパ・リーグを批判した。 2月5日にパウエルが来日して記者会見を行い、二重契約はしておらずソフトバンクとの契約は正当だと主張。オリックスがフィジカルチェック後にチーム側に有利になるよう契約内容の変更を求めてきたと発言し、「不誠実で道義に反していた」と契約を破棄した理由を説明した。結局、この勧告でも解決には至らなかったため、2月13日にオリックスが「球界に悪しき前例を残さないため」としてコミッショナー代行・根來泰周へ向けて提訴状を提出した。この提訴を受けて根来は、2月21日に小池が提示した勧告の提示を白紙に戻すことを表明し、改めて判断を示すこととなった。同日にはパウエルの代理人が会見し、オリックス側がパウエルにファックスで送信した文書は統一契約書でサインが必要な1・4ページのみで、中間の2・3ページは提示されておらず、「手続きには法的に非常に問題がある」と主張した。 2月27日、根來は両球団から提出された支配下選手登録申請を不承認とした上で、改めてパウエルと合意を取り付けた球団の申請を認めるように小池へ要請した。小池もこれに従うこととなり、パウエルのソフトバンク入団が事実上確定した。根來は今回の事件を契機として、外国人選手との契約についての対策を考慮するように実行委員会へ提案することを明らかにした。ソフトバンクは実質的に主張を認められたとして「勝訴」と受け止め、提訴が結果的に仇となったオリックスは、中村が「予想外。最悪の結末だ」と語ったものの、コミッショナー代行の判断ということもあって、この決定を受け入れる姿勢を示した。 パ・リーグは、前回の反省から支配下選手登録には統一契約書の他にパウエル本人の意思確認文書が必要とし、ソフトバンクが改めて申請を提出。同年3月4日、パウエルは福岡ソフトバンクホークスの支配下選手として公示され、正式に所属となった。
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