中華法系の形成と繁栄とは? わかりやすく解説

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中華法系の形成と繁栄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 18:53 UTC 版)

中華法系」の記事における「中華法系の形成と繁栄」の解説

中華法系において、漢字圏使われている「法律」という用語の登場遅くそれぞれ「刑」、「法」や「律」が使われていた。この三文字はみな法律のことを意味していたが、二文字連用はずっと後のことである。清末法制近代化過程で、『大清刑律』という法律草案公表されたが、その刑律とは、刑事法意味し、広い概念法律意味するものではなかった。中国法制史上では、法律としての用語は刑から始まり、法を経て、律に定着したのである。夏、商、西周王朝から春秋時代まで、法律のことは「刑」と呼ばれていた。春秋時代に入ると、法律のことは「法」と呼ばれるようになった法律のことが「律」として呼ばれたのは、秦国での法制改革推進した時である。それ以降清代に至る2100年間において、宋代に『刑統』、元代に『通制』と呼ばれた以外は、全て「律」と呼ばれていた。唐代は、中華法系爛熟させた王朝としてその功績歴史残している。律令法体系は、「律」「令」「格」「式」の4種類法典から構成される法典体系であるが、ここでいう「律」とは、「○○せよ」「○○するな」という規範と、それに違反した者への罰則規定した刑罰基本法典である。『武徳律』から737年開元25年)の「律」に至るまで、いずれの「律」も、隋時代の『開皇律』と同じく名例律衛禁律職制律戸婚律厩庫律擅興律賊盗律闘訟律詐偽律雑律捕亡律断獄律12篇目構成されていた「律」の文意逐条的に明らかにする公的注釈書として作成された「律疏」も「律」と同等効力をもった。一般に「唐律」といえば開元25年の唐律を指す。この年完成された『唐律疏議』は正に中華法系集大成法典といってよい。現存している『唐律疏議』は法律注釈合わせて30巻、12502箇条からなる第1編名例律」は、法定罪名刑名および量刑適用原則定め唐代立法指導思想法制原則定める。第2編衛禁律」は、皇帝宮殿太廟陵墓および関津軍隊駐屯国境防衛要塞守衛について定める。第3編職制律」は、国家機関設置定員国家官吏選抜任用賞罰に関する行政的規定である。第4編戸婚律」は、戸籍土地賦役婚姻家庭相続に関する民事法規定である。第5編厩庫律」は、家畜飼養管理倉庫管理および官有管理定める。第6編擅興律」は、徴兵軍事指揮武器管理戦闘規律および官有所有関わる規定である。第7編賊盗律」は、謀反反乱殺人強盗誘拐官私財産不法占有社会的犯罪取り締まる規定である。第9編「詐偽律」は、詐欺偽造偽証等の犯罪行為懲罰定める。第10編「雑律」は、前記各編に収められない犯罪規定し内容交通計量造幣市場管理医療衛生公共施設環境保護倫理関係等を定める。第11編「捕亡律」は、主に捜査逮捕等の手続きに関する規定である。第12編「断獄律」は、審判判決刑罰執行監獄管理に関して定める。この法典は、法体系構成条文簡潔さ概念明晰さ、用語使用適切さ論理綿密さ、注釈理論的工夫等のあらゆる点で中華法系空前絶後の高み達したと言われるまた、この法典中華法系歴史終止符がうたれた1911年まで歴代法制深甚影響与えたのみならず東アジア隣国にも多大な影響与えた例え日本の『大宝律令』のうち11編の題名順序は唐律と全く同じであり、内容似ているものが多かった朝鮮においては高麗一代制度は大体唐を模倣したものであり、刑法についても唐律を採用した」と『高麗史』にも記されている。また、ベトナム琉球王国および中央アジア諸国古代法典の中からも唐律との源流関係を持つ法条文を見出すことができる。

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