上野天神祭のダンジリ行事とは? わかりやすく解説

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上野天神祭のダンジリ行事(三重県)


上野天神祭のダンジリ行事

名称: 上野天神祭のダンジリ行事
ふりがな うえのてんじんまつりのだんじりぎょうじ
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 上野文化美術保存会
指定年月日 2002.02.12(平成14.02.12)
都道府県(列記): 三重県
市区町村(列記): 伊賀市
代表都道府県 三重県
備考 毎年10月2324・25
解説文: 上野天神祭のダンジリ行事は三重県上野市菅原神社秋祭りとして行われ、印【しるし】、ダンジリ、鬼行列などが町内を巡行する行事である。
 この行事が行われる上野市は、北は京都府、西は奈良県接し大和街道伊勢街道沿いに位置する近世初頭以来城下町である。現在、上野市東町鎮座する菅原神社はもと上野城内の東南隅に祀られていたが、藤堂高虎とうどうたかとら】によって現在の地に移されたと伝えられている。この菅原神社は、一般に上野天神宮天神さん呼び慣わされ、上野城下町氏神としての信仰集めてきた。
 この行事十月二十三・二十四二十五日菅原神社秋祭りとして行われる上野城下町祭りである。神輿巡幸関わる車坂町【くるまさかまち】、田端町【たばたまち】、緑ヶ丘地区(旧平野地区)五町、農人町のうにんまち】、北平野地区神輿町【みこしまち】と呼ばれ、印とダンジリを出す新町しんまち】、東町【ひがしまち】、中町【なかまち】、西町【にしまち】、向島町【むかいじまちょう】、鍛冶町【かじまち】、魚町【うおまち】、小玉町【こだまちょう】、福居町ふくいちょう】の九町ダンジリ町と呼ばれるまた、行列を出す、相生町あいおいちょう】、紺屋町【こんやまち】、三之西町【さんのにしまち】、徳居町【とくいまち】の四町は鬼町と呼ばれており、このうち相生町紺屋町、三之西町三町合同三鬼会を結成している。このダンジリ町と鬼町をあわせた一三町を特に祭り町と称している。
 祭りの準備梅雨明け行われる土用干しから始まる。土用干しは各ダンジリ町ごとに町民総出一日がかりで行われる。この土用干しが終わると祭礼事始籤取式【さいれいことはじめくじとりしき】が毎年九月九日行われ祭りのときのダンジリ巡行順を決め籤引きが行われる。九月十九日には上野天神宮に、氏子総代、宮総代協力委員他が集まり例大祭打ち合わせが行われ、この席で各町へ祭り諸役割り振りが行われる。九月中旬以降祭り町では頻繁に祭礼行事打ち合わせが行われるようになり、十月になるとダンジリ町では囃子稽古が始まる。十月十八日には東御旅所境内で幟立【のぼりた】てが行われ、翌、十九日早朝には神輿東御旅所渡御し、遷座祭せんざさいが行われる。
 二十三日になると、各ダンジリ町では印、ダンジリを曳き出して飾りつけ行い、夜は宵山で、ダンジリ提灯雪洞ぼんぼり】に点灯する東御旅所では宵宮祭が行われ、近隣人びと宵宮詣よいみやもつで】に訪れ二十五日午後神幸式しんこうしき】に供奉する稚児も、親と当該町の宮総代とともに宵宮詣訪れる。
 二十四日足揃の儀で、午後になると各ダンジリ町ではそれぞれ町付近を中心にダンジリ巡行し、鬼町では鬼行列相生町から西へ向かって三之町筋を練る。この日の夜も宵山で、提灯点灯したダンジリを自町内付近中心に巡行し、前夜同様に東御旅所では宵宮祭が行われ、稚児宮参りする
 二十五日本祭で、ダンジリ町では朝まだ暗いうちに起こし太鼓が町内を回りその後各町のダンジリ、印が次々行列出発点である車坂町に集結する。鬼行列東御旅所北の三叉路最後尾として西側向かって集結しダンジリは鬼行列最後尾に一番が続き、以下順次東側向かって並ぶ。
 午前九時ころになると神輿行列出発し続いて行列ダンジリの順に出発する。鬼行列は、町々の悪疫退散五穀豊穣祈念するのである三鬼会は山伏峯入り模した趣向といわれる行列で、印の大御幣【だいごへい】や、役【えん】の行者ぎょうじゃ】、悪鬼などのさまざまな面を付けた仮装行列である。徳居町鎮西八郎為朝ちんぜいはちろうためとも】が鬼を従える趣向行列で、印の鬼王剣先【きおうけんさき】や鎮西八郎為朝様々な鬼の面付けた仮装行列である。いずれも風流的に行われたものがその始まりであるといわれている。
 ダンジリ九つダンジリ町が籤の順に、それぞれ印、ダンジリの順に並んで巡行し、時折拍子木合図休み祭礼本部に着くと籤改【くじあらた】めを行う。印は新町白楽天はくらくてん】、東町が逆熨斗【さかさのし】、中町菊慈童きくじどう】、西町羯鼓【かつこ】、向島町日月扇【じつげつせん】、鍛冶町月鉾魚町が琴【きんこう】高仙人小玉町が三社託宣たくせん】、福居町幟山【のぼりやま】と呼ばれている。ダンジリ新町薙刀鉾【なぎなたほこ】、東町本【きりもと】、中町が其神【きしん】山、西町花冠【かかん】、向島町英剣鉾【てつえいけんほこ】、鍛冶町二東【にとう】、魚町が紫【しりん】、小玉町が小蓑山【こみのやま】、福居町三明【さんめい】と呼ばれている。
風俗習慣のほかの用語一覧
社会生活(民俗知識):  上州白久保のお茶講  粟生のおも講と堂徒式
祭礼(信仰):  三上のずいき祭  上野天神祭のダンジリ行事  亀崎潮干祭の山車行事  京都祇園祭の山鉾行事  佐原の山車行事

上野天神祭

(上野天神祭のダンジリ行事 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/02 08:20 UTC 版)

上野天神祭の様子

上野天神祭(うえのてんじんまつり)は、三重県伊賀市上野地区にある菅原神社で行なわれる、秋祭りである。ユネスコ無形文化遺産、国の重要無形民俗文化財に指定されている。

概要

天正13年(1585年筒井定次伊賀の領主となり菅原神社(別名「上野天満宮」)を祀ったことに起源を発し、慶長13年(1608年)には藤堂高虎が天満宮の新改築、寄進等に力を注いだ。その後天和2年(1682年)に天神祭礼倹約令により省略されているが、元禄元年(1688年)には復活し藤堂高久が祭礼を城内假御殿より見物、田楽狂言等が行われ、三之町の鬼行列も始められたとされ、おおよそ現在の形態を整えたとされる。

京都祇園祭山鉾に似た、だんじり(楼車)の巡行と、鬼行列が有名であり、神輿の渡御を中心とする祭りに仮装の行列や作り物が加わり、現在のような鬼行列や印、だんじりで賑わう形態を整えるようになったものである。印は依代と考えられるもので、それを囃すだんじり、そして奴振りを伴った鬼行列が続く、類例の少ない貴重な行事であり、「上野天神祭のダンジリ行事」として2002年重要無形民俗文化財に指定された。なお、巡行の経路には伊賀鉄道伊賀線の踏切があり、天神祭開催時には架線のかさ上げが実施される[1]。また、2016年12月1日に、全国33ヶ所の「山・鉾・屋台行事」の一つとして、ユネスコ無形文化遺産に登録された[2]

だんじりの上で奏でられるお囃子は、祇園祭で奏でられるものが元になったといわれている。だんじりを有する町衆の中で奏者は受け継がれてきたが、近年は後継者不足で、公募で奏者を募っているところもある。だんじりの最初の稽古には神社へ行き、「お祓い」をしてもらう所もある。

本祭りのだんじりの順番はくじで決められる。

鬼行列、神輿、だんじりの参加はそれぞれを所有している町民が基本的に供奉する。

祭りの日程

2016年までは毎年10月23日から25日までの3日間で行われていたが、2017年からは10月25日までの直近の日曜日の前3日間に変更されている[3]。なお、上野天神祭の例大祭は従来どおり10月25日。

  • 10月25日の直近の日曜日の前々日 - 各だんじり町では印、だんじりを引き出して飾り付けを行う。
  • 10月25日の直近の日曜日の前日 足揃えの儀 - 上野車坂町の「東御旅所」よりだんじりがそれぞれの町内を巡行し、鬼行列も相生町から三之町筋を練る。
  • 10月25日の直近の日曜日 本祭 - 神輿の渡御に続いて鬼行列、印、だんじりが巡行する。

巡行するだんじり

以下の9基が巡行する[2]

  • 紫鱗(上野魚町)
  • 桐本(上野東町)
  • 鉄英剣鉾(上野向島町)
  • 其神山・葵鉾(上野中町)
  • 三明(上野福居町)
  • 小簑山(上野小玉町)
  • 薙刀鉾(上野新町)
  • 二東・月鉾(上野鍛冶町)
  • 花冠(上野西町)

鬼行列

上野相生町、上野紺屋町、上野三之西町の「役行者列」と、上野徳居町の「鎮西八郎為朝列」からなる4町によって伝統が引き継がれている[2][4]

だんじり会館 

だんじり会館
Danjiri Museum
施設情報
収蔵作品数 だんじり3基
来館者数 22,274人(2014年)
管理運営 一般社団法人 伊賀上野観光協会
延床面積 1,499m2
開館 1989年4月
所在地 518-0873
日本 三重県伊賀市上野丸之内122-4
位置 北緯34度46分10.6秒 東経136度7分50.9秒 / 北緯34.769611度 東経136.130806度 / 34.769611; 136.130806座標: 北緯34度46分10.6秒 東経136度7分50.9秒 / 北緯34.769611度 東経136.130806度 / 34.769611; 136.130806
最寄駅 伊賀鉄道上野市駅」から徒歩約5分
最寄IC 名阪国道上野東IC」から北へ約5分、名阪国道「中瀬IC」から西へ約5分
外部リンク だんじり会館 一般社団法人 伊賀上野観光協会
プロジェクト:GLAM
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  • 祭の様子を紹介するだんじり会館が設置されている[2]。上野天神祭で実際に使われるだんじり3基と、鬼行列が再現展示されている[5]

脚注

  1. ^ 毎日新聞伊賀面(2009年10月24日)
  2. ^ a b c d 伊賀上野観光情報紙 いがぐり (第61号、2017年春号 16ページ) 伊賀上野観光協会
  3. ^ 上野天神祭のダンジリ行事開催日の変更について-伊賀上野観光協会
  4. ^ ユネスコ無形文化遺産 鬼とだんじり 上野天神祭公式サイト
  5. ^ だんじり会館 一般社団法人 伊賀上野観光協会

外部リンク



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