ワープロ専用機の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 03:57 UTC 版)
「ワードプロセッサ」の記事における「ワープロ専用機の特徴」の解説
1980年代、デジタル文房具として急速な普及を見せたワープロは、従来の手書き、あるいは和文タイプによる文書作成にはない特長を備えていた。また、パーソナルコンピュータの普及が始まっていた時代であったが、専用機としての利点によって一定の商品性があった。以下にそれらをあげる。 いわゆるオールインワン製品であること。特に出力(印刷)に関して、パソコン用プリンタで漢字を扱うには当時は色々と難しさがありコスト高であったが、ワープロからの出力に特化したスペックを持つ内蔵プリンタを持っていることは高い利点であった。 専用機は電源を投入して即文章を書き始めることができるものが多い。(ある程度の起動待ち時間が必要な物、メニューでワープロ機能を選ぶものもある)。 キーボード入力に熟達すればかなり高速かつ少ない労力で文書作成が可能。 五十音入力キーボード機の提供。 カナから漢字に変換することが出来るため、難しい漢字を辞書に頼ることなく使用できる。 文字、行、段落の挿入、削除、複写、移動が容易に出来る。また、行や段落に依存せず、指定した範囲(表計算ソフトの範囲指定にあたる機能を文字単位で実行)の操作も可能。 文章をフロッピーディスクなどの記憶媒体に保存し、再編集が可能。 熱溶融型の熱転写プリンタを内蔵し、誰にでも読みやすい活字書体(明朝体のビットマップフォント)での出力が可能。(手書きと比較して) 仮名遣いの間違いや漢字の誤字を減らせる。 任意の単語を変換辞書に登録できる。 デフォルトでは使用できない文字・記号を作字することができ、またそれを外字として登録できる。 長文の中から任意の文字列を検索・置換できる。 フォント指定や飾り、文字の大きさなどの修飾・強調が可能(ただし、80年代初期の機種にはほとんど搭載されていなかった機能ではある)。 簡易な図形の描画ができる。 単色のインクリボン(黒・赤・青・白・金・銀など)を複数使用した、多色刷りのカラー印刷ができる。 OHPシート・官製はがきなどの特殊紙に印刷することができる。 これらのほか、さらに次のような機能をもつ機種もあった。 はがきの宛名書きなどを住所録を利用して半自動化できる。 表を容易に作成でき、その表からグラフを作成することもできる。 目次の自動作成・アウトライン編集が可能。 外字として登録された絵文字を、挿絵の代用として使用することが可能。 データベース・家計簿・ゲーム(テトリス・倉庫番等)・プログラミング言語の搭載。 アウトラインフォントの搭載。 複数の書体(ゴシック体・丸ゴシック体・勘亭流・行書体など)の搭載。 親指シフト・新JIS配列・M式など、特殊な配列のキーボード。 スキャナー・タッチパネル・タッチペン・マウス。 内蔵モデムを使用したパソコン通信の利用・FAXの送信。 イーサネット経由(NetWare)による文章やプリンタの共有。 作成文書のスペルチェック・自動校正。 MS-DOS形式のプレーンテキストの読み書き、一太郎形式のテキストファイルの書き出し。 別売りのシートフィーダを接続することで、ロール紙・連続帳票に印刷したり、印刷用紙を大量に供給することができる。 ACアダプタを本体に内蔵。 以上のような特長は今となってはワープロ独自の機能とはいえないが、その多くはワープロ専用機で培われた機能であり、パソコンでの文書作成が主流となった現在でも、日本語文書の編集にまつわる多くの機能は、ワープロ専用機をベースにしたものとなっている。
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